• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連破たん状況【6月5日17:00 現在】

 6月5日17時現在、「新型コロナ」関連の経営破たんが全国で219件(倒産157件、弁護士一任・準備中62件)に達した。2月2件、3月23件、4月は84件に急増し、5月も83件と高水準で推移した。6月は1日が5件、2日が1件だったが、3日は12件に急増。4日4件、5日には5件判明した。

 都道府県別では、福井、和歌山、鳥取、高知、長崎の5県を除く、42都道府県で発生。東京都が47件(倒産42件、準備中5件)で最も多く、大阪府は20件(同13件、同7件)に乗せた。次いで、北海道17件(同14件、同3件)、静岡県11件、兵庫県10件の順。
 業種別では、宿泊業と飲食業が34件で並んだ。政府による外出自粛や休業要請の影響に加え、インバウンド需要の消失などが経営にダメージを与えた。また、外出自粛で百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連が27件など、個人消費関連の業種が上位に並ぶ。このほか、休校やイベント休止などが影響した食品製造業17件、結婚式場4件や葬祭業3件の冠婚葬祭など、幅広い業種に経営破たんが広がっている。
 経営破たんした企業は、人手不足に加え、消費増税、暖冬、新型コロナなどが業績悪化に拍車を掛けた。
 集計対象外だが、負債1,000万円未満の倒産は、6月5日までに3件発生している。ただ、休業していた企業・商店が制度融資や支援策などを活用せず、そのまま廃業や倒産を決断するケースも出ている。表面化した経営破たんの数字以上に、水面下の動きが注目される。
 緊急事態宣言の解除を受け、各地で休業要請が大幅に緩和された。だが、新型コロナ感染防止のため制限も多く、消失した売上がコロナ前に戻るまでには時間が必要だ。
 感染者が再び増加した北九州市、東京アラートが発動された東京都など、「第2波」の恐れも払しょくできない。資金繰り支援も企業に届き始めたが、経営体力が限界に近づいた中小・零細企業は資金調達との戦いが続いている。

 ※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
 ※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものを集計している。 


日本地図0605

6月5日 2月からの合計219件に

 新型コロナ関連の経営破たんは、6月5日に5件判明し、2月からの累計は219件に達した。
 従業員数が判明した208件をみると、従業員5人未満が62件(構成比29.8%)、同5人以上10人未満が43件(同20.7%)で、10人未満の小・零細企業が105件(同50.4%)と半数を占める。
 従業員数は合計7,889人に達する。パート、アルバイトなど非正規雇用を含むと、雇用喪失はこの数倍に及ぶとみられる。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ