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「新型コロナウイルス」関連倒産状況【5月27日17:00 現在】

 5月27日の「新型コロナ」関連の経営破たんは、17時現在で5件判明し、全国で合計186件(倒産127件、弁護士一任・準備中59件)に達した。
 新型コロナ関連の経営破たんは、2月2件、3月23件から4月は84件に急増。5月も27日までに合計77件が判明した。21日1件、22日2件、25日4件と、数日は小康状態が続いたが、全国の緊急事態宣言が解除された後の26日は5件、27日も5件と、再び月末に向けて増勢をうかがっている。
 都道府県別では、42都道府県で発生し、空白は福井、和歌山、鳥取、高知、長崎の5県。
 件数は、東京都が39件(倒産35件、準備中4件)と突出。以下、北海道16件(同14件、同2件)、大阪府15件(同8件、同7件)、静岡県と兵庫県が各10件で、10件以上は5都道府県。
 業種別では、最多はインバウンド需要の消失、国内旅行・出張の自粛でキャンセルが相次いだ宿泊業の33件(同23件、同10件)。次いで、外出自粛で来店客の減少や臨時休業、時短営業に追い込まれた飲食業が28件(同16件、同12件)、百貨店や店舗の臨時休業が影響したアパレル関連が23件(同14件、同9件)と、個人消費関連の業種が上位に並ぶ。
 また、小・中学校の学校給食中止、イベント中止などが影響した食品製造業も14件と目立つ。この他、バス・タクシーが4件、パチンコ店と人材派遣業が各3件、葬祭業が1件など、幅広い。
 経営破たんした企業の多くは、もともと人手不足や消費増税の影響で資金繰りが厳しかったところに、新型コロナで業績が急激に悪化した企業が多い。
 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小・零細企業・商店の倒産のほか、制度融資や支援策などを活用せずに休廃業を決断するケースも水面下で増えているとみられる。
 緊急事態宣言が解除され、事業再開で一時的に売上が増加しても、新型コロナで失われた客足や売上がすぐにコロナ前の状態に戻る可能性は低い。休業から事業再開には、仕入資金や人件費などの資金も必要になる。手元資金に余裕の乏しい企業・商店が事業継続するには、融資や助成金の実行が欠かせない。さらに、返済猶予や経営指導など、長期の視点での支援も求められる。


※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものを集計している。


コロナ日本地図0527

5月27日 経営破たんは5件発生、累計は186件に

 新型コロナ関連の経営破たんは、2月から5月27日までの合計は186件に達した。5月は27日17時までに77件が判明し、4月の84件を超える可能性も出てきた。
 27日の主な倒産事例:冷凍蟹や蛸などの水産物卸売の(株)ラハイナ(大阪府)は、代表者の急死で事業継続が困難となり、5月26日までに事業を停止し、破産手続きを弁護士に一任した。

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