• TSRデータインサイト

THEグローバル社(東証1部)がGC注記、コロナで業績悪化

 マンション分譲やホテル事業などを手掛ける(株)THEグローバル社(TSR企業コード: 298350343、東証1部、以下グローバル社)は5月15日に公表した2020年6月期第3四半期決算短信で、「継続企業の前提に関する注記」(GC注記)を記載した。


 グローバル社は、持株会社として連結子会社8社を中心にグループを形成。「ウィルレーナ」や「ウィルローズ」ブランドのマンション分譲のほか、京都や東京ではホテル運営、投資用ホテル開発を主軸に展開している。
 不動産デベロッパー事業で業容を拡大し、リーマン・ショック後の2010年にJASDAQに上場、2016年に東証1部へ指定変更した。近年はインバウンド需要を見越したホテル事業に注力し、2019年6月期は売上高358億6,400万円(連結ベース)をあげていた。
 しかし、有利子負債は同期末時点で400億6,400万円に増加。また、2020年6月期第2四半期はホテル事業の損失が響き、17億2,100万円の四半期損失を計上していた。

 こうしたなか、「新型コロナウイルス」感染拡大で、経営環境が急激に悪化。特に、ホテル運営は旅行客の急減や営業休止を余儀なくされ、ホテル開発も商談の休止などで計画通りの販売が難しくなった。
 グローバル社は、今期決算(2020年6月期)で当初予算を大きく下回り、営業損失を計上する見込みとしたうえで、金融機関への融資返済の期日延長と追加融資の交渉、施工費用などの支払条件の見直し協議を行っていることを明らかにした。しかし、ホテル市場の回復は不透明で、「現時点では金融機関等からの新たな資金調達について確実な見通しが得られていない」(決算短信)としている。

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年5月20日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ