• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連倒産状況【5月14日17:00 現在】

 5月14日17時現在、「新型コロナ」関連の経営破たんは全国で147件(倒産99件、弁護士一任・準備中48件)に達した。
 「新型コロナ」関連の経営破たんは、2月と3月で累計25件にとどまったが、4月は単月で84件に急増した。さらに、5月に入ってからも増勢は続き、14日までに累計38件が発生、月間100件に迫る勢いが続いている。

 都道府県別では、14日に新たに徳島県で初めて経営破たんが発生し、39都道府県まで拡大した。件数は、東京都が32件(倒産28件、準備中4件)と突出。以下、北海道(同13件、同ゼロ)と大阪府(同6件、同7件)が各13件、静岡県と兵庫県が各7件、新潟県と福岡県が各6件と続く。
 業種別では、最多が宿泊業の30件(同19件、同11件)。温泉旅館やホテルはインバウンド消失に加え、国内旅行や出張の自粛によるキャンセルで、経営が圧迫されている。次いで、緊急事態宣言で、来店客の減少や臨時休業が響いた飲食業が21件(同13件、同8件)、アパレル関連が19件(同10件、同9件)など、BtoC関連業種の経営破たんが上位に並ぶ。
 経営破たんの企業は、もともと人手不足や2019年10月の消費増税などもあって苦戦を強いられ、厳しい資金繰りを余儀なくされていた企業が多い。そこに新型コロナの感染拡大が、業績悪化に拍車を掛け、“最後の一押し”となって経営に行き詰まるケースが多い。
 また、倒産に集計されないが、先行きを見通せず事業継続を断念し、廃業を決断する小・零細企業や商店も多い。休業協力金や支援金、緊急融資などが迅速に中小・零細企業へ行き渡らないと、経営破たんや廃業する企業が増加することが懸念される。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものを集計している。


日本地図0514

5月14日 経営破たんが新たに4件発生、累計147件に

 経営破たんは5月の大型連休明けも増勢をたどり、14日は徳島県と群馬県、兵庫県で新たに合計4件が判明。5月は14日17時までに38件が判明し、2月から5月14日までで累計147件に達した。
 14日の主な倒産事例:徳島県初の「新型コロナ」関連の経営破たんとなった(株)愛染観光は、パチンコ店「GET PLAZA」を運営していた。新型コロナ感染拡大による来店客の減少で、5月6日までに事業を停止し、破産手続きを弁護士に一任した。パチンコ店の経営破たんは3件目。
 金属熱処理業者のアームストロング(株)(群馬県)は、地場大手の自動車部品メーカーなどに事業基盤を築いていたが、新型コロナ感染拡大で取引先から受注が落ち込み、4月29日までに事業を停止し、破産手続きを弁護士に一任した。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ