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「新型コロナウイルス」関連倒産状況【4月22日17:00 現在】

 4月22日17:00までに「新型コロナ」関連の経営破たんは、全国で累計81件に達した。
 2月25日、(株)冨士見荘(愛知県、3月30日破産開始決定)が中国人観光客の激減から閉館し、法的準備中が確認されてから、わずか2カ月で経営破たんが累計80件を突破した。
 「新型コロナ」関連の経営破たんは、2月2件、3月23件だったが、4月は22日までに56件に達し、急増ぶりが顕著になっている。
 都道府県別は、31都道府県で発生し、最多は東京都の16件(倒産16件、準備中ゼロ)。次いで、北海道11件(同10件、同1件)、静岡県と兵庫県が各6件、愛知県・大阪府が各4件、福岡県が3件。
 岩手県は全国で唯一、感染者数がゼロ、経営破たんもゼロを守っている。
 経営破たんは、インバウンド依存の宿泊業が14件で最多。次いで、外出自粛の浸透で来店客が減少し売上が落ち込んだ飲食業、アパレル関連が各9社の順。
 ただ、食品製造業や催事販売見送りで影響を受けた衣料品販売業、リユース着物販売業など、BtoC業種が直撃を受けている。また、パチンコ店も1件発生し、地域、規模、業種を問わず様々な業種に広がりを見せている。
 新型コロナの感染拡大は終息が見通せず、4月8日の「緊急事態宣言」発令から2週間が過ぎ、小・零細企業は閉塞感を強めている。上場企業も、手元資金を厚くするため、判明している36社だけでも4兆円以上の資金調達を準備している。中小企業の多くは、人手不足による人件費上昇、消費増税などで、厳しい収益環境が続いていた。そこに新型コロナの影響で事業継続の断念や、業績悪化から資金繰りが限界に達した企業が経営破たんを押し上げる構図が見えてくる。
 ※企業倒産は、負債1,000万円以上の私的整理、法的整理を対象に、集計している。
 ※北海道すすきのでニュークラブ「Blan de Blan」を経営していた(株)エールカンパニー(破産)は負債が約700万円と1,000万円未満のため、集計の対象外。 


「新型コロナウイルス」関連倒産状況【4月22日17:00現在】

経営破たんが累計81件に

 4月22日、新たに経営破たん3件が発生した。これで経営破たんは累計81件を数え、約2カ月で80件を突破した。このうち、4月は22日までに56件に達し、全体の約7割(69.1%)を占める。
 4月の経営破たんは、第1週(3日まで)11件、第2週(10日まで)15件、第3週(17日まで)15件と高水準で推移。第4週は3日間で15件と急増ぶりが目立つ。
 中小企業は疲弊感を強めている。政府や自治体も資金繰り支援策を進めるが、日ごとに企業の資金繰りはひっ迫しており、資料の簡素化、手続きの迅速さが急がれている。 

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