• TSRデータインサイト

2020年度「賃上げアンケート」調査

 「新型コロナウイルス」感染拡大が、賃上げに影響を及ぼしている。2020年度(20年4月-21年3月)に賃上げを予定する企業は72.1%(1万6,175社中、1万1,668社)で、前年度(19年度)実績の80.9%から8.8ポイント下落し、過去5年で初めて8割を割り込み最低となった。
 規模別では、大企業(資本金1億円以上)が82.3%(2,605社中、2,144社)なのに対し、中小企業(同1億円未満・個人企業等)は70.1%(1万3,570社中、9,524社)にとどまった。19年度実績は大企業81.5%、中小企業80.8%で、大手企業は0.8ポイント増加したが、中小企業は10.7ポイントの下落と大幅に落ち込み、規模格差が広がった。
 新型コロナの感染拡大で政府は外出自粛を要請し、在宅勤務も増えているが、自粛の長期化は企業業績の悪化につながる。特に、中小企業は賃上げだけでなく、夏季賞与(一時金)への影響も懸念され、個人所得の低下が個人消費の落ち込みにつながる悪循環も現実味が出てきた。

賃上げ実施 推移


 東京商工リサーチが、3月27日~4月5日にインターネットでアンケート調査を実施し、全国1万6,175社から回答を得た(「19年度調査」は19年7月2日発表)。
 賃上げ予定の1万1,668社の「賃上げ内容」は、「定期昇給のみ」が57.7%(6,735社)で最多。「ベースアップ」予定は前年度(実績)の42.0%から、30.5%(3,561社)にダウンした。
 新型コロナの感染拡大で、先行きが見通せない状況が賃上げ相場にも影響を及ぼしている。5月6日までの自粛要請期間が長引けば、賃上げ実施企業はさらに落ち込む可能性もある。

  • 2020年3月27日~4月5日にインターネットでアンケートを実施し、有効回答1万6,175社を集計、分析した。
  • 資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。

2020年度賃上げ実施内容

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ