• TSRデータインサイト

「チャイナリスク」関連倒産(2020年1月)

 2020年1月の「チャイナリスク」関連倒産は6件(前年同月比200.0%増)で、2カ月ぶりに前年同月を上回った。負債総額は7億2,800万円(同39.2%減)だった。
 2019年(1-12月)は36件(前年比25.0%減)で前年を下回ったが、2020年1月は大幅に増加し、チャイナリスクの影響が注目される。
 中国・武漢市が発生源とされる「新型コロナウイルス」の感染拡大に歯止めがかからず、日系企業を含め、多くの企業が工場の稼働停止や事務所、店舗の休止に追い込まれている。
 世界の工場であり、大消費地でもある中国には多くの日系企業が進出している。だが、製造・販売の集積が進んだことで、中国の経済活動の停滞に日系企業が直撃された格好だ。


  • 「チャイナリスク」関連の集計基準
    「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の8項目のどれかに該当するものを集計している。
    1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
    2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
    3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
    4. 売掛金回収難(サイト延長含む)
    5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
    6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
    7. 価格競争(中国の在庫調整に伴う相場下落、安価製品との競合など)
    8. その他

チャイナリスク 月次推移


 「チャイナリスク」関連倒産は、これまで現地の人件費高騰などによる「コスト高」、安価製品との競合による「価格競争」を要因とするものが多かった。だが、1月は中国の規制変更に伴う倒産が2件発生、経営に影響を及ぼす「チャイナリスク」の内容が変化しつつある。
 ペットボトルなどの回収・輸出を手がける(株)エコスポット・ソリューションズ(埼玉県)は、2017年から段階的に中国が廃プラスチックや古紙などの廃棄物の輸入制限を強化したことで、取引が大幅に低下し、経営に行き詰った。負債総額は約4億9,500万円。また、古紙回収を手がけていたリサイクルサービス(株)(神奈川県)は、中国が古紙を輸入制限したことによる古紙相場の下落が経営を直撃した。負債は8,800万円。
 規制変更に加え、「新型コロナウイルス」感染被害の広がりは日本だけでなく、世界の企業に影響が及びかねない。2020年は中国進出や取引傾注のリスクが顕在化するかも知れない。

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

政策金利引き上げ 「1年は現状維持」が59.6% すでに「上昇」が52.0%、借入金利は上昇局面に

企業の59.6%が、これ以上の政策金利の引き上げに「待った!」を希望していることがわかった。今後の望ましい政策金利の引き上げ時期は、「向こう1年は現状維持」が59.6%で最多だった。「引き下げ」も23.6%あり、企業経営の観点では利上げを望む声は少数(16.6%)にとどまった。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業の12.2%が事業資金を個人名義で調達 保証債務に上乗せ負担、債務整理や廃業を複雑に

事業資金を代表者名義で調達したことのある中小企業は12.2%に達することがわかった。政府や金融界は「経営者保証ガイドライン」(適用開始2014年2月)や「事業再生ガイドライン」(同2022年4月)などを通じ、企業が抱える債務を整理する際に個人保証が足かせにならないよう取り組んでいる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年「早期・希望退職募集」は 1万7,875人 、リーマン・ショック以降で3番目の高水準に

2025年の「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は43社(前年57社)で、募集人数は1万7,875人(同78.5%増)に達したことがわかった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年7-9月の客室単価 1万6,975円 稼働率80%超え 人手不足の解消が課題

ホテル運営の上場12社(13ブランド)の2025年7-9月期の平均客室単価は、1万6,975円(前年同期比8.9%増)で前年同期を上回った。7-9月期で、13ブランドの平均が前年を上回るのは3年連続。平均稼働率は83.9%で前年同期を2.9ポイント上回り、 稼働率も3年連続で上昇している。

5

  • TSRデータインサイト

【最新決算】 私立大学、半数以上が赤字に転落 売上高トップは順天堂、利益トップは帝京大学

全国の私立大学を経営する545法人のうち、半数を超える287法人が直近の2025年3月期決算で赤字だったことがわかった。  

TOPへ