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2019年「休廃業・解散企業」動向調査

 2019年に全国で休廃業・解散した企業(以下、休廃業企業)は4万3,348件(前年比7.2%減)で、2年ぶりに減少した。11年ぶりに前年を上回った企業倒産(8,383件、前年比1.8%増)とは対照的な結果となった。休廃業・解散と企業倒産の合計は5万1,731件で、全企業358万9,000者の1.4%が2019年に市場から撤退・消滅したことになる。
 休廃業企業の代表者の約4割が70代で、60代以上でみると8割(構成比83.5%)を超える。これは2018年(83.7%)より0.2ポイント低下したが、代表者の高齢化が休廃業・解散を加速する要因になっている。
 産業別では、建設業が7,027件(前年比22.6%減)と大きく減少した。高水準の公共工事や東京オリンピック・パラリンピックに向けた工事や再開発で、市場の活性化が背景にある。
 業歴別では、10年未満が2019年の休廃業企業の27.4%を占め、構成比は前年(26.4%)より1.0ポイント増加した。創業支援への取り組みが進むが、創業後の支援に課題を残してる。
東京商工リサーチが保有する企業データベースから、「休廃業・解散」が判明した企業を抽出した。「休廃業・解散」は、倒産(法的整理、私的整理)以外で事業活動を停止した企業と定義した。
全企業(大企業と中小企業・小規模事業者)数は、中小企業庁2018年11月30日発表に基づく(2016年6月時点)。

  • ※東京商工リサーチが保有する企業データベースから、「休廃業・解散」が判明した企業を抽出した。「休廃業・解散」は、倒産(法的整理、私的整理)以外で事業活動を停止した企業と定義した。
  • ※全企業(大企業と中小企業・小規模事業者)数は、中小企業庁2018年11月30日発表に基づく(2016年6月時点)

休廃業解散1

休廃業解散2

産業別 10産業のうち、7産業で減少

 産業別でみると、最多は飲食業や宿泊業、非営利的団体などを含むサービス業他の1万3,245件(構成比30.6%)だった。次いで、建設業7,027件(同16.2%)、小売業5,749件(同13.3%)と続く。
 増減率は、情報通信業が2,268件(前年比26.9%増)と大幅に増加した。ソフトウェア開発を含む情報通信業は参入障壁の低さが利点だが、ここに来て市場からの退出が目立っている。
 建設業は前年比22.6%と大幅に減少した。

休廃業解散3

業歴別 10年未満の休廃業・解散が目立つ

 業歴別の構成比は、最多は10年以上20年未満の20.8%だった。次いで、20年以上30年未満の17.5%。100年以上は0.06%にとどまる。
 業歴10年未満は27.4%で、前年(26.4%)より1.0ポイント増加した。政府は2013年6月に日本再興戦略を閣議決定し、開業率を欧米並みの10%台に引き上げることを目標に設定している。東京商工リサーチの調査では、2018年の新設法人数は12万8,610社で、閣議決定後の2014年の11万9,726社から1万社近く増えている。ただ、業歴の比較的短い企業の休廃業・解散も目立ち、ライフステージ初期の企業に対する取り組み強化が求められる。

  • ※2018年新設法人数は、2019年5月14日発表「2018年『全国新設法人動向』調査」に基づく。

休廃業解散4

損益別 最新期黒字が6割

 休廃業・解散する直前期の決算をみると、2019年では企業の61.4%が当期純利益が黒字だった。
 2017年以降は黒字率が緩やかに低下する一方で、赤字率が上昇傾向にある。2019年は赤字率が38.6%と4割に迫っており、廃業支援の遅れは休廃業企業の「稼ぐ力」の減退につながりかねない。

  • ※直前期は、休廃業・解散から最大2年業績データを遡り、以降で最新のものを採用した。

休廃業解散5

代表者年齢別 70代の構成比が4割に迫る

 休廃業・解散した企業の代表者の年齢別(判明分)は、70代が最も多く39.0%だった。次いで、60代の27.5%、80代以上の16.9%と続き、60代以上が全体の83.5%を占めた。
 60代の構成比が前年より1.5ポイント低下する一方、70代以上は1.2ポイント増加した。60代の事業承継が進むが、承継相手を見出せないまま、70代を迎えた代表者も多いとみられる。

休廃業解散6



 2019年の「休廃業・解散」は4万3,348件(前年比7.2%減)で、2年ぶりに前年を割り込んだ。中小企業庁は、2017年度を初年度とする「事業承継5カ年計画」を策定。各都道府県に事業承継ネットワークを展開し、事業承継診断を含むプッシュ型の支援などに取り組み、民間も金融機関などを中心に取り組みが加速している。こうした官民一体の承継支援が、休廃業・解散の抑制に一定の成果をあげているとみられる。
 2019年12月、中小企業庁は「第三者承継支援総合パッケージ」を公表。その中で、「価値ある中小企業の廃業に歯止めがかからず、地域における雇用や技術が失われるおそれがある」と危機感を示し、2025年までに黒字廃業の可能性がある約60万者の第三者承継を促す目標を掲げた。
 今回の調査では、休廃業企業の直前期の損益は約6割が黒字だった。ただ、黒字率は年々、低下傾向にある。休廃業・解散の意思決定の遅れや、事業承継が円滑に進まない場合、事業価値そのものが毀損し、「稼ぐ力」を阻害することも危惧される。
 政府は、事業承継税制や補助金など承継支援策を矢継ぎ早に取りまとめている。親族外への承継支援にも踏み込み、今後は将来性を見据えた事業価値への評価が一層重視されるだろう。単年度黒字やバランスシートの資産超過が企業の持続可能性を担保するとは限らず、「価値ある中小企業」の定義の深堀りも必要かもしれない。
 シェアホルダー(株主)や経営者のみならず、従業員や取引先、地域など幅広いステークホルダーにとって最良な選択が必要な時代に突入している。

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