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「東日本大震災」関連倒産(12月度速報値)

 2019年12月の「東日本大震災」関連倒産は6件(速報値:12月27日現在)で、前年同月(2件)を2カ月ぶりに上回った。2019年間では、10月(7件)に次いで1月と並び、2番目の水準だった。
震災当月の2011年3月以来、震災関連倒産は106カ月連続で発生、累計件数は1,940件(12月27日現在)に達した。
なお、2019年(1-12月)の年間集計は前年同数の44件で、2012年以来、初めて前年を下回らなかった。震災発生の2011年(544件)と比較して12分の1にとどまり、収束傾向をみせるが、震災発生から9年弱を経てもなお、影響を引き摺る企業の破たんが依然として散見される。

12月の倒産事例

 (株)フジセイ(TSR企業コード:170060080、法人番号:9400001007409、岩手県)は、1954年1月に設立された鋼材・建材類の販売商社。地元製鉄会社との取引を軸に業容を拡大、土木・建築工事を併営し、ピーク時の1980年3月期には20億円を超える売上高を計上していた。しかし、2011年3月に発生した東日本大震災では本社及び倉庫など全ての建物が全壊した。関係筋の支援により同年中には新事務所及び倉庫2棟が復旧したものの、近年の売上高は2億円台から4億円台で推移していた。また、数年にわたる連続赤字で債務超過に陥ったため資金繰りにも支障を来し、12月20日、盛岡地裁遠野支部に破産を申請した。

東日本大震災関連倒産 震災後月次推移


2019年12月の地区別は、東北4件、関東2件だった

 累計件数1,940件の都道府県別で、最も多かったのは東京の570件。次いで、宮城185件、北海道85件、岩手83件、福島81件、神奈川と茨城が各79件、千葉76件、福岡71件、栃木と群馬が各61件、静岡50件、山形48件、埼玉と大阪が各46件と続く。東北6県の倒産件数は454件(構成比23.4%)だった。
産業別では、最も多かったのが宿泊業や飲食業などを含むサービス業他の514件(構成比26.4%)。次いで、製造業451件(同23.2%)、卸売業354件(同18.2%)、建設業224件(同11.5%)、小売業185件(同9.5%)、運輸業80件、情報通信業64件と続く。
被害型で分類すると、「間接型」1,720件(構成比88.6%)に対して、「直接型」が220件(同11.1%)だった。

「東日本大震災」関連 企業倒産

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