• TSRデータインサイト

「東日本大震災」関連倒産(11月度速報値)

 2019年11月の「東日本大震災」関連倒産は2件(速報値:11月29日現在)で、前年同月(5件)を3カ月ぶりに下回った。
震災当月の2011年3月以来、震災関連倒産は105カ月連続で発生、累計件数は1,933件(11月29日現在)に達した。ただし、2019年累計(1-11月)は37件(前年同期比11.9%減、前年同期42件)にとどまり、通年では8年連続で前年を下回る可能性が強まっている。

11月の倒産事例

 (有)ロイヤルグリーン(TSR企業コード:280329288、法人番号:8050002009135、茨城県)は、ゴルフ練習場「ロイヤルグリーン勝田」のほか、スイミングスクール、フィットネスクラブ、バッティングセンター等の各スポーツ施設の運営を手掛けていた。しかし、各施設とも業績不振だったところに、東日本大震災ではスイミングスクールの建物が損壊し、死亡者が出たことで多額の損害賠償金の支払が発生した模様で、急激な経営悪化を招いた。その後、不動産の大半が差押や競売を経て第三者に所有権が移り、当社は休眠状態のまま、10月29日、水戸地裁より破産開始決定を受けた。

東日本大震災関連倒産 震災後月次推移

 都道府県別で、最も多かったのは東京の569件。次いで、宮城182件、北海道85件、岩手82件、福島80件、神奈川79件、茨城78件、千葉76件、福岡71件、栃木と群馬が各61件、静岡50件、山形48件、埼玉と大阪が各46件と続く。東北6県の倒産件数は449件(構成比23.2%)だった。
産業別では、最も多かったのが宿泊業や飲食業などを含むサービス業他の512件(構成比26.4%)。次いで、製造業449件(同23.2%)、卸売業353件(同18.2%)、建設業224件(同11.5%)、小売業184件(同9.5%)、運輸業79件、情報通信業64件と続く。
被害型で分類すると、「間接型」1,717件(構成比88.8%)に対して、「直接型」が216件(同11.1%)だった。

「東日本大震災」関連 企業倒産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ