• TSRデータインサイト

「東日本大震災」関連倒産(1月)

 2019年1月の「東日本大震災」関連倒産は6件で8カ月ぶりに前年同月を上回った。また、1月の被害型では、震災で事務所や工場などが直接損壊を受け、経営への打撃が大きかった「直接型」が4件あり、いまだに傷あとの大きさをみせた。関連倒産は95カ月連続で発生し、震災から8年を前にして累計件数が1,901件(1月31日現在)に達した。

東日本大震災関連倒産 震災後月次推移

1月の倒産事例

 輸入オートバイ販売の(株)モト・プロ仙台(TSR企業コード:142216933、宮城県)は、外国メーカーの代理店として営業活動を行っていた。しかし、東日本大震災により在庫など約4,000万円にのぼる被害を受け、多額の災害損失の計上から債務超過状態が続いた。今後の業績好転の見通しが立たないことから破産を申請した。
仙台味噌、醤油製造販売の玉松味噌醬油(株)(TSR企業コード:140016686、宮城県)は、大正10年(1921年)創業の老舗企業。梅ジュースや、しそジュースの通販なども行っていたが、東日本大震災で取引先が被災したことで売上が大きく減少した。その後は、業績回復の見通しが立たず、さらに、原材料や人件費の上昇などで経費が嵩み、財務体質が悪化したことで破産申請に踏み切った。

1月の地区別では、東北がすべて6件(宮城3、福島2、岩手1)を占めた。
また、累計件数1,901件の都道府県別で、最も多かったのは東京の565件。次いで、宮城172件、北海道85件、岩手80件、神奈川79件、千葉と茨城が各75件、福島74件、福岡70件、群馬と栃木が各61件、静岡50件、山形48件、埼玉46件、大阪45件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は429件(構成比22.5%)だった。
産業別では、最多が宿泊業や飲食業などを含むサービス業他の504件(構成比26.5%)。次いで、製造業437件(同22.9%)、卸売業348件(同18.3%)、建設業223件(同11.7%)、小売業180件(同9.4%)、運輸業79件、情報通信業64件と続く。
被害型で分類すると、「間接型」1,699件(構成比89.3%)に対して、「直接型」が202件(同10.6%)だった。

東日本大震災関連倒産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ