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「東日本大震災」関連倒産(8月度速報値)

 2018年8月の「東日本大震災」関連倒産は、人的被害や施設などが被害を受けた直接型が2件(速報値:8月31日現在)だった。3カ月連続で前年同月を下回ったが、震災から90カ月連続で関連倒産が発生した。累計件数は震災から7年半を前にして1,882件(8月31日現在)に達した。

2018年8月の倒産事例

 温泉施設経営、不動産賃貸の(株)信陽(TSR企業コード:170211096、岩手県)は、東日本大震災の津波で釜石市内にあった賃貸店舗物件が壊滅的な被害を受けた。店舗物件の閉鎖により賃貸収入が途絶え、温泉施設についても業績不振から2017年3月末で閉店し実質休業状態になった。温泉施設は、閉店後も事業売却を円滑に進めるため定期的に修繕維持作業を行っていたが、関連経費の負担が重かったことで事業再開を断念した。グループとして新体制による経営再建を図るため、このたび特別清算を申請した。
土木工事の(有)山巳建設(TSR企業コード:170076202、岩手県)は、東日本大震災の津波で、設備の大半が流失する甚大な被害を受けた。営業再開のめどが立たたず、長らく休業状態を続けてきたが、旧債務の整理を目的に、このたび破産手続きに踏み切った。ただし、津波で多くの経営資料が失われているため、今後の債権調査も困難が予想される。

東日本大震災関連倒産 震災後月次推移

 2018年8月の地区別は、東北2件(岩手2件)だった。
累計件数1,882件の都道府県別で、最も多かったのは東京の563件。次いで、宮城164件、北海道85件、岩手79件、神奈川78件、千葉と茨城が各75件、福岡70件、福島68件、群馬61件、栃木60件、静岡50件、山形48件、埼玉46件、大阪45件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は414件(構成比21.9%)だった。
産業別では、最多が宿泊業や飲食業などを含むサービス業他の501件(構成比26.6%)。次いで、製造業430件(同22.8%)、卸売業347件(同18.4%)、建設業223件(同11.8%)、小売業175件(同9.2%)、運輸業78件、情報通信業63件と続く。
被害型で分類すると、「間接型」1,689件(構成比89.7%)に対して、「直接型」が193件(同10.2%)だった。

東日本大震災関連倒産

震災関連の集計基準

「震災関連」の経営破綻は、原則として次の3つのどれかに該当するものを集計している。

  1. 震災により施設・設備・機械等に被害を受けて経営破綻した(直接型)
  2. 以前から経営不振だったが、震災による間接影響を契機に経営破綻した(間接型)
  3. 震災の影響による経営破綻が、取引先や弁護士等への取材で確認できた(直接・間接型)
  • 集計では、すでに震災前に再建型の法的手続を申請しながら、震災による影響で再建を断念し破産手続に移行したケースなどは、倒産件数のダブルカウントになるため集計から除外している。
  • 「震災関連」の経営破綻は下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「弁護士一任」、「破産手続き中」などの企業は、今後の展開次第で事業再開の可能性もあるため、「実質破綻」として区別した。

倒産の定義(対象:負債額1,000万円以上の法人および個人企業)

  • 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
  • 手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
  • 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)

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