• TSRデータインサイト

「人手不足」関連倒産(1月)

 企業倒産が低水準で推移している一方で、中小企業を中心に人手不足が深刻化している。厚生労働省が発表した2018年12月の有効求人倍率は、前月と同水準で高率の1.63倍だった。堅調な雇用環境を背景に人手不足感が強く、引き続き求人が増えている。


1月は30件、「求人難」型が過去2番目に多い12件

 2019年1月の「人手不足」関連倒産は、30件(前年同月比3.2%減、前年同月31件)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が12件(前年同月29件)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が12件(同1件)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が4件(同1件)、中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が2件(同ゼロ)だった。このうち、「求人難」型は2018年8月(13件)に次いで過去2番目に多かった。

人手不足関連倒産月次推移

産業別、サービス業他と運輸業が最多

 産業別では、最多がサービス業他6件(前年同月8件)と運輸業6件(同1件)だった。次いで、製造業5件(同4件)、建設業4件(同7件)、小売業4件(同3件)、卸売業3件(同7件)、不動産業1件(同ゼロ)、情報通信業1件(同1件)の順。

地区別、9地区のうち、6地区で倒産が発生

 地区別では、全国9地区のうち、北海道・北陸・中国を除く6地区で倒産が発生した。内訳は関東12件(前年同月13件)を筆頭にして、九州6件(同3件)、中部5件(同5件)、近畿5件(同3件)、東北1件(同3件)、四国1件(同1件)の順。

都道府県別、最多は東京5件

 都道府県別では、東京5件(前年同月2件)、大阪4件(同2件)、福岡4件(同1件)、愛知3件(同3件)の順だった。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ