• TSRデータインサイト

「チャイナリスク」関連倒産(4月)

 4月の「チャイナリスク」関連倒産は5件(前年同月比37.5%減)で、3カ月連続で前年同月を下回った。負債総額は6億9,700万円(同85.8%減)だった。負債10億円以上の大型倒産が発生せず、負債総額も3カ月連続で前年同月を下回った。
 なお、倒産に集計されない事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は、4月は1件発生した。(前年同月は2件)。


  • 「チャイナリスク」関連の集計基準
    「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の8項目のどれかに該当するものを集計している。
    1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
    2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
    3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
    4. 売掛金回収難(サイト延長含む)
    5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
    6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
    7. 価格競争(中国の在庫調整に伴う相場下落、安価製品との競合など)
    8. その他

チャイナリスク関連倒産月次推移

 2018年1-4月にチャイナリスク関連で倒産した14件を要因別でみると、最多は安価製品の日本国内への流入などによる「価格競争」の7件(前年同期比133.3%増)だった。家電や衣料品を取り扱う企業で、他社との明確な差別化を打ち出せない企業が「価格競争」で脱落するケースが目立つ。
 また、廃プラスチックの輸出を手掛けていた(株)栄盛(TSR企業コード:882219065、福岡県、負債4,200万円、要因:その他)は、2017年に主要輸出先だった中国が廃プラスチックなど廃棄物の輸入を禁止したため経営が悪化。韓国や台湾などへの輸出を模索したが奏功せず、2018年3月15日に福岡地裁飯塚支部より破産開始決定を受けた。
 このように中国当局の規制に伴い業績が悪化するケースも発生している。売上高の大半を中国に依存する企業は、中国当局の規制の動きに機敏に対応できる体制を構築すると同時に、中国以外の国にも輸出先を広げるなど、根本的なリスク分散を図る必要がある。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ