• TSRデータインサイト

「チャイナリスク」関連倒産(2017年度)

 2017年度(4-3月)の「チャイナリスク」関連倒産は、件数が53件(前年度比36.9%減)、負債総額は348億6,900万円(同39.3%減)だった。上半期(4-9月)の31件(前年同期比31.1%減)に対し、下半期(10-3月)は22件(同43.5%減)と、下半期にかけ減少幅が広がり、沈静化を印象付けた。
 3月は1件(前月比66.6%減)と大幅に減少。2015年3月は単月最多の16件を記録したが、その後は沈静化している。負債総額は3,000万円(同97.0%減)だった。倒産に集計されない事業停止や破産準備中など「実質破綻」は、3月は1件(前年同月1件)。


  • 「チャイナリスク」関連の集計基準
    「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の8項目のどれかに該当するものを集計している。
    1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
    2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
    3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
    4. 売掛金回収難(サイト延長含む)
    5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
    6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
    7. 価格競争(中国の在庫調整に伴う相場下落、安価製品との競合など)
    8. その他

チャイナリスク関連倒産月次推移

 2017年度のチャイナリスク関連倒産は53件で前年度より約4割減少した。2月から2カ月連続で1件にとどまり、チャイナリスクの日本企業への影響は小康状態を保っている。
 ただ、「価格競争」を要因とする倒産の構成比は、前年度(2016年度)の16.6%(84件中14件)から、2017年度は26.4%(53件中14件)に上昇した。安価な中国製品の流入増加と品質の向上が日本製品の競争力を奪いつつある。
 今後も中国製品の流入増は避けられず、チャイナリスク関連倒産で「価格競争」を要因とする比率は高水準での推移が見込まれる。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ