• TSRデータインサイト

ジャパンディスプレイ 1,000億円の当期純損失、自己資本比率は30%を割り込む

 2月14日、液晶パネル製造大手で経営再建中の(株)ジャパンディスプレイ(TSR企業コード:294505385、東京都、東証1部、以下JDI)は都内でアナリスト向け説明会を開いた。大島隆宣CFO は2018年3月期の連結売上高について、7,100億円程度(前期は8,844億円)との見通しを明らかにした。

 JDIはこれまで2018年3月期の業績見通しを公表していなかった。ただ、2017年8月に大島CFOは「前年度より(売上高が)15-25%程度減少する可能性」を示唆していた。今回も利益予想は開示されなかったが、1,000億円を超える当期純損失は避けられないとみられる。
 同時に発表した2018年3月期第3四半期(4-12月)の連結業績は、売上高5,655億円(前年同期比12.2%減)、営業利益389億円の赤字(前年同期104億円の黒字)、株主に帰属する当期純利益は1,006億円の赤字(同94億円の赤字)だった。
 アップルを中心とした主要顧客で有機ELの採用が進んだほか、中国市場でのスマートフォンの出荷減少などが響いた。ただ、有機ELを搭載したiPhoneは高価のため販売は軟調で、次期モデルには「揺り戻し」があるとの観測もある。
 当期純損失の計上に伴い、2017年12月末の連結自己資本は30%を割り込んだ。2018年3月末はさらに大幅に落ち込むことが避けられず、外部資本の導入を含めた資本対策が待ったなしとなっている。

 JDIは以前から「グローバル企業とのパートナーシップ」を進めるとしているが、一向に進捗がみられない。この点について大島CFOは「今日時点で想定よりも遅れがあるのは事実」と述べた。資本政策については「産業革新機構、ベンダーなどのステークホルダーと交渉している。この中で最適な解をみつけたい」と述べるにとどめ、具体名には言及しなかった。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年2月16日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ