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2017年全上場企業「不適切な会計・経理の開示企業」調査

 2017年(1-12月)に「不適切な会計・経理(以下、不適切会計)」を開示した上場企業は53社で、2016年の57社から社数は4社減少(前年比7.0%減)した。
 不適切会計の開示企業は、調査を開始した2008年の25社から2016年には57社と9年間で2.2倍に増えた。2017年は2016年に比べ4社減少したが、依然として高水準の開示が続いている。
 なかでも東証1部上場の増加が目立ち、2017年は調査開始以来、最多の30社を記録した。内容別では、経理や会計処理ミスなどの「誤り」のほか、会社資金の「着服横領」を開示する企業も後を絶たない。また、厳格な運用が求められる企業会計で、会計処理に誤謬が発生するケースも見られる。産業別では、最多は「製造業」で、26社(構成比49.0%)と半数を占めた。
 適正会計に対するコンプライアンス意識が求められる中、不適切会計は高止まりしている。

  • ※本調査は、自社開示、金融庁、東京証券取引所などの公表資料を基に、上場企業、有価証券報告書提出企業を対象に「不適切な会計・経理」で過年度決算に影響が出た企業、今後影響が出る可能性を開示した企業を集計した。
  • ※同一企業で調査期間内に2回以上内容を異にした開示の場合、社数は1社、件数は2件としてカウントした。
  • ※業種分類は、証券コード協議会の業種分類に基づく。上場の市場は、東証1部、同2部、マザーズ、JASDAQ、名古屋1部、同2部、セントレックス、アンビシャス、福岡、Qボードを対象にした。

開示企業数 2017年は53社

 2017年(1-12月)に「不適切な会計・経理(以下、不適切会計)」を開示した上場企業は53社で、前年の57社から4社(前年比7.0%減)減少した。2015年5月に発覚した東芝の不適切会計が問題以降、開示資料の信頼性確保や企業のガバナンス強化の取り組みを求める声が強まった。
 金融庁と東京証券取引所は上場企業が守るべき行動規範として、2015年6月に「コーポレートガバナンス・コード」を公表、関係各所に体制強化を求めている。
 上場企業は、国内市場の成熟化で各産業とも売上拡大を海外の事業展開に求めている。だが、拡大する営業網のなかでグループ各社へのガバナンスが行き届かず、不適切会計の開示に追い込まれる企業は少なくない。また、経営側に時価会計や連結会計などの厳格な会計知識が欠如する一方、現場でも適切な対応をできずに会計処理を誤る事例も生じている。これは事業のグローバル化にガバナンスが機能しなくなったり、会計処理の高度化や現場の人手不足などが背景にあり、こうした状況を改善できない場合、今後も不適切会計が増える可能性を示している。

不適切会計開示企業推移

内容別 「誤り」が最多の28社

 内容別では、経理や会計処理ミスなどの「誤り」が28社(構成比52.8%)で最多だった。次いで、「架空売上の計上」や「水増し発注」など、営業ノルマの達成を推測させる「粉飾」が14社(同26.4%)と続く。
 また、子会社・関係会社の役員や従業員による着服横領は11社(同20.7%)で、「会社資金の私的流用」、「商品の不正転売」など、個人の不祥事についても監査法人が厳格な監査を求めた結果が表れているようだ。

不適切会計 内容別

発生当事者別 「会社」および「子会社・関係会社」が23社でトップ

 発生当事者別では、最多は「子会社・関係会社」の23社(構成比43.3%)で、2016年の24社から1社減少した。子会社による売上原価の過少計上や架空取引など、見せかけの売上増や利益捻出のための不正経理が目立つ。
 「会社」は21社(同39.6%)だったが、会計処理手続きの誤りや事業部門で売上の前倒し計上などのケースがあった。「会社」と「子会社・関係会社」を合わせると44社で、社数全体の83.0%と圧倒的多数を占めた。

発生当事者別

市場別 東証1部が30社でトップ

 市場別では、「東証1部」が30社(構成比56.6%)で最も多かった。「ジャスダック」が12社(同22.6%)、「東証2部」が8社(同15.0%)と続く。2013年までは新興市場が目立ったが、2015年から国内外に子会社や関連会社を多く展開する東証1部の増加が目立っている。

産業別 最多は製造業の26社

 産業別では、「製造業」の26社(構成比49.0%)が最も多かった。製造業は、国内外の子会社、関連会社による製造や販売管理の体制不備に起因するものが多い。卸売業では、子会社が不明瞭な外部取引で売上架空計上や循環取引を行っていたケースなどが目立った。


 2017年の不適切会計の開示企業数は53件で、高水準が続いている。この背景には2015年5月に発覚した東芝の不適切会計を契機に、監査の信頼性確保が強く求められている事も一因だ。
 2017年7月、金融庁は会計不祥事の防止策として、監査法人を定期的に交代させる「ローテーション制度」の導入論議を開始した。大手企業の不正会計が後を絶たず、企業と監査法人とのなれ合いを断ち、厳格な監査を促す事を狙いとしている。
 監査法人と企業のなれ合いを防ぐ制度では、公認会計士が一定期間で交代する制度がある。2003年の公認会計士法改正で、一定規模の上場企業を同じ会計士が監査できる期間は最長7年となった。さらに、2007年の改正で大規模監査法人の筆頭会計士が監査できる期間は5年に短縮された。しかし、会計不祥事の開示が相次ぎ、監査法人の交代制度についての議論も本格化している。
 また、企業の相次ぐ不祥事で、公認会計士の職業倫理に関する規則が2019年4月から厳格化される。会計士は監査を請負う企業で違法行為を発見した場合、監督官庁などへの通報が義務化される。ただ、会計士側のローテーション制や職業倫理に関する規則ができても、企業側の会計倫理が向上しないと絵に描いた餅になりかねない。
 ビジネスのグローバル化で事業規模が拡大し、海外子会社との取引に伴う不適切会計も増えている。コーポレートガバナンスやコンプライアンスへの意識向上と同時に、社員の働きやすい環境や風通しの良い組織を整えない限り、不適切会計が繰り返される可能性は残るだろう。

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