• TSRデータインサイト

東芝、債務超過を解消の見通し

 1月18日、経営再建中の(株)東芝(TSR企業コード:350323097、東京都、東証2部)は、ウエスチングハウスグループ(以下、WH)の株式とWHへの求償権など、関連資産の譲渡契約を締結したと発表した。今回の譲渡により、2018年3月期連結決算で少なくとも4,100億円程度の株主資本が改善し、同期末の債務超過を回避できる見込み。

 東芝が保有する東芝原子力エナジーホールディングス(米国)社と、東芝原子力エナジーホールディングス(英国)社の全株式をBrookfield Business Partners LP(カナダ)とその関連会社に1ドル(113円)で譲渡する。求償権などは、アメリカ資産運用会社のBaupost Group LLC傘下のコンソーシアムに21億6,000万ドル(2,441億円)で譲渡する。東京商工リサーチの取材に対し東芝の担当者は、「求償権などの売却代金2,441億円は2018年1月末までに現金で受領する予定。この分がキャッシュフローにプラスとなる」とコメントした。

 これまで東芝は、2018年3月期の連結決算は7,500億円の債務超過との見通しを公表していた。2017年12月に実施した6,000億円の増資と、今回の株式や求償権など譲渡による税効果を単純計算すると株主資本は2,600億円のプラスとなる。この点について東芝の担当者は「今回の発表の数字のみから計算するとそうなるが、事業活動での利益の上下もあるため実際の着地はぶれる。ただ、債務超過は解消される見通しだ」とコメントした。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年1月22日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ