• TSRデータインサイト

「東日本大震災」関連倒産(2017年)

 2017年12月の「東日本大震災」関連倒産は10件だった。収束傾向が続いているなかで、9カ月ぶりの2桁になった。累計件数は震災から6年半を経て、1,851件(2017年12月31日現在)に達した。また、12月の負債総額は2017年としては最大の119億8,700万円で、3カ月ぶりに前年同月を上回った。

東日本大震災関連倒産 震災後月次推移

2017年12月の倒産事例

 海藻加工品製造の大元昆布海産(株)(TSR企業コード:151055807、法人番号:6380001013230、福島県)は、看板商品の「きざみ昆布」を製造するほか、大手食品メーカー向けのPB商品も手がけていた。平成16年12月期には3億5,000万円の売上高を計上したが、東日本大震災の津波で工場が全壊した。仮設工場で事業を再開したものの、原発事故の風評被害の影響を受けて業績低迷から抜け出せず、資金繰りが悪化した。

震災関連倒産の2017年(1-12月)の年間集計は71件(前年比26.8%減、前年97件)で、前年より約3割減で推移した。しかし震災の影響をいまだに引きずり、業績不振から脱却できない企業がみられる。

 2017年12月の地区別は、東北5件(福島5)、関東5件(東京2、栃木・群馬・千葉が各1)。
「震災関連」倒産の累計1,851件を都道府県別でみると、最多は東京の555件。次いで、宮城158件、北海道85件、神奈川76件、千葉74件、岩手と茨城が各73件、福岡70件、福島64件、群馬61件、栃木59件、静岡50件、山形47件、埼玉46件、大阪45件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は397件(構成比21.4%)だった。
「震災関連」倒産の累計1,851件を産業別でみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の490件(12月3件)。次いで、製造業が419件(同4件)、卸売業が342件(同2件)、建設業が222件(同ゼロ)、小売業が174件(同1件)と続く。
被害型で分類すると、「間接型」1,678件(構成比90.6%)に対し、「直接型」は171件(同9.3%)だった。

東日本大震災関連倒産

震災関連の集計基準

「震災関連」の経営破綻は、原則として次の3つのどれかに該当するものを集計している。

  1. 震災により施設・設備・機械等に被害を受けて経営破綻した(直接型)
  2. 以前から経営不振だったが、震災による間接影響を契機に経営破綻した(間接型)
  3. 震災の影響による経営破綻が、取引先や弁護士等への取材で確認できた(直接・間接型)
  • 集計では、すでに震災前に再建型の法的手続を申請しながら、震災による影響で再建を断念し破産手続に移行したケースなどは、倒産件数のダブルカウントになるため集計から除外している。
  • 「震災関連」の経営破綻は下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「弁護士一任」、「破産手続き中」などの企業は、今後の展開次第で事業再開の可能性もあるため、「実質破綻」として区別した。

倒産の定義(対象:負債額1,000万円以上の法人および個人企業)

  • 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
  • 手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
  • 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

破産の秀和グループ、9億円の債務超過

6月17日に東京地裁から破産開始決定を受けた(株)秀和グループ(TSRコード:027747050、江東区)の財務内容が一部判明した。

2

  • TSRデータインサイト

止まらない建設業の倒産、職別工事が総合工事を抜く ~ 施工力が「希少資源」、動き始めた内製化 ~

2025年の建設業の倒産は、2,014件(前年比4.6%増)で、4年連続で前年を上回り、2013年(2,421件)以来、12年ぶりに2,000件を超えた。 コロナ禍の2021年に1,065件と2000年以降では最少を記録。その後は増勢に転じ、わずか4年で約2倍に増加した。

3

  • TSRデータインサイト

倒産データからみる「倒産が多い住所」 ~ 一等地のイメージと与信リスク ~

「倒産が多発する住所」は、現代のビジネスモデルの結果だ。ネット全盛期のいま、企業の実体が見えにくいのは普通なのかも知れない。だが、そんな風潮のなか、登記上住所の一等地に惑わされず経営実体をいかに見極めるか。ここでもまた、外形に惑わされない“目利き力”が問われている

4

  • TSRデータインサイト

【2026年3月期決算】役員報酬額1億円以上の開示 過去最多の934人に 社数も387社で最多を更新 上位5人中、外国人4人

2026年3月期決算の上場企業2,198社のうち6月26日12時までに有価証券報告書の提出を確認できたのは9割(90.7%)の1,995社だった。例年と異なり株主総会前に有価証券報告書を提出する上場企業が増えた。報酬額1億円以上の役員を開示した企業は387社、人数は934人で前年の364社・887人を上回った

5

  • TSRデータインサイト

環境経営総合研究所の「粉飾の手口」

(株)環境経営総合研究所(TSRコード: 294046615、渋谷区、以下ERI)が3月26日、東京地裁から破産開始決定を受けた。東京商工リサーチ(TSR)が独自入手した資料や関係者が「実際の売上は100分の1程度」と語る粉飾の実態がみえてきた。

TOPへ