• TSRデータインサイト

てるみくらぶ、過去6年で総額3億1,000万円の配当

 最大9万人の旅行申込者に被害を出した(株)てるみくらぶ(TSR企業コード:296263001、東京都)が、2011年9月期~2016年9月期の6年間で総額3億1,000万円を株主へ配当していたこと分かった。
 破産管財人の調査により、てるみくらぶは費用の取り消しや架空利益の計上などによる粉飾を2013年9月期より行っていたことが判明している。それ以降も旅行申込者より前金で旅行代金を集め、運転資金に充てていたほか配当として社外へ流出させていた。


てるみくらぶの資本構成

 配当は2011年9月期に6,000万円、2012年9月期に2億円、2014年9月期に5,000万円が実施されていた。
 てるみくらぶの「破産手続開始申立書」によると、同社の株主は(株)てるみくらぶホールディングス(TSR企業コード:298593343、東京都、以下てるみHD)のみ。てるみHDの破産手続開始申立書によると、同社の株主はてるみくらぶの山田千賀子社長(持分25%)とA氏(同75%)の2人。
 山田社長は11月6日の債権者集会で、粉飾に手を染めた理由について「IATA(国際航空運送協会)の資格を守るため」と、運転資金の確保が目的であったことを強調していた。しかし、配当による社外流出が明らかになったことで、これまでの説明の正当性が問われそうだ。

2014年9月期に債務超過

 てるみくらぶは黒字決算を装っていたが、実際は2013年9月期から当期純損失を計上し、2014年9月期には債務超過へ転落していたことが、破産管財人の調査によって明らかになっている。純資産額の水増しは、破産直前の2016年9月期で86億3,000万円に上っており、この大半が旅行者から前金で集めた旅行代金で補填されていたとみられる。


てるみくらぶ決算比較

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年11月9日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ