• TSRデータインサイト

「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産動向(7月)

2017年7月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産は前年同月同数の4件)だった。月次倒産は2016年5月(11件)以来、14カ月連続で前年同月を上回らず推移している。金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じていることに加えて、国内景気の緩やかな拡大も影響して、企業倒産は依然として低水準で推移している。

円滑化法関連倒産推移

負債総額、低水準ながら3カ月ぶりの増加

 2017年7月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産での負債総額は、5億6,200万円(前年同月比0.1%増、前年同月5億6,100万円)で、3カ月ぶりに前年同月を上回った。

1-7月の累計件数、前年同期より半減

 2017年1-7月の累計は29件(前年同期比49.1%減、前年同期57件)で、前年同期よりほぼ半減で推移している。一方、負債総額は367億2,200万円(同33.3%増、同275億4,600万円)で前年同期を上回った。負債額別では、10億円以上の大型倒産が6件(前年同期5件)で、最多は1億円以上5億円未満の16件(同26件)だった。

 産業別では、最多が製造業の10件(同15件)だった。次いで、卸売業5件(同9件)、サービス業他4件(同9件)、建設業3件(同15件)、小売業3件(同7件)と続く。
 原因別では、販売不振19件(同30件)が最も多かった。次いで、既往のシワ寄せ(赤字累積)が5件(同20件)と続く。
 形態別では、最多が事業消滅型の破産が18件(同36件)だったのに対し、再建型の民事再生法は5件(同5件)にとどまった。業績不振から事業継続を断念するケースが依然として多い。
 従業員数別では、5人未満が5件(同22件)で最も多かった。次に5人以上10人未満の12件(同15件)だった。この結果、従業員数10人未満は17件(構成比58.6%、前年同期37件)で、小規模企業が全体の約6割を占めた。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ