• TSRデータインサイト

【タカタ破綻】上限38億円の弁済対象外は299社

 連鎖倒産が懸念されるタカタ(株)(TSR企業コード:295877413、東京都)の少額弁済の対象先が判明した。タカタが6月28日、東京地裁へ申請した「少額債権の弁済許可」に基づくもので、同日、東京地裁が許可した。これによると再生債権者1名あたり38億円が上限になっている。
タカタの試算では、5月31日時点で少額弁済の対象となる商取引債権の総額は約161億円。
「再生手続開始申立書」に基づく一般債権者748名(金融機関、屋号のない個人除く)に対し、「少額債権の弁済許可」の少額債権者は449名で、弁済先数カバー率は60.0%だった。また、金額では、一般債権額1054億5,013万円に対し、少額弁済の総額は161億4,782万円で、弁済額カバー率は15.3%にとどまる。

タカタの主な少額債権者と債権額

滋賀県にある企業が3割

 少額弁済の対象から外れ、再生手続で債権が圧縮される可能性が出ているのは299社で、一般債権者の40.0%を占める。地域的には、彦根製造所など4製造所がある滋賀県内に本社または拠点を置く企業は91社で、少額弁済の対象外企業(299社)の30.4%に上る。

滋賀県は7月4日、「セーフティネット保証1号」の発動を受け、タカタの取引先を対象にした資金繰り支援策を発表した。タカタ、またはタカタ九州(株)(TSR企業コード:930078128、佐賀県)に50万円以上の売掛金債権等を有する中小企業者などを「セーフティネット資金」の融資対象者とする。問い合わせは、滋賀県商工観光労働部中小企業支援課(電話077-528-3732)。
また、静岡県も7月4日、県内企業の連鎖倒産防止の資金繰り支援を発表した。タカタに25万円以上の売掛金債権、または前渡金返還請求権を有している中小企業者が対象。問い合わせは、経済産業部商工業局地域産業課(電話054-221-2812)。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年7月6日号に「少額弁済の対象先一覧」を掲載予定)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ