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2017年3月期決算 単独決算ベース「銀行114行 預貸率」調査

 2016年2月に日本銀行がマイナス金利を導入し、 2017年3月期決算が初の通期決算となった。国内銀行114行の2017年3月期の預貸率は、66.47%(前年同期67.59%)と3月期では調査を開始した2011年以降で最低を記録した。また、預金と貸出金の差額の預貸ギャップは前年同期(244兆円)より19兆円膨らみ、過去最大の263兆円に拡大した。
 業態別では、マイナス金利導入で「地元密着型金融」を強める地銀・第二地銀の多くが預貸率上昇させているのに対し、大手銀行では預貸率を下げるケースが目立った。
 預貸率は、預金残高に対する貸出残高の比率で、銀行預金の運用状況を示す経営指標の一つ。一般的に預貸率が100%を下回る状態は、貸出残高を上回って資金に余裕のあることを示す。


  • ※2017年3月期の単独決算ベースの預貸率を調査した。 預貸率(%)は、「貸出金÷(預金+譲渡性預金)×100」で算出。「貸出金」は貸借対照表の資産の部から、「預金」と「譲渡性預金」は貸借対照表の負債の部から抽出した。
  • ※2012年4月1日に住友信託銀行・中央三井信託銀行・中央三井アセット信託銀行の合併で発足した三井住友信託銀行は、過去データとの比較ができないため調査対象から除外した。

全体の預貸率は66.47%、前年同期より1.12ポイント低下

 銀行114行の2017年3月期の単独決算ベースの預貸率は、66.47%(前年同期67.59%)で、前年同期を1.12ポイント下回った。2011年以降の3月期本決算での預貸率は、2011年が68.59%、12年68.40%、13年68.00%、14年67.90%、15年67.74%、16年67.59%と年々低下し、マイナス金利の導入で注目された17年は、調査を開始した2011年以降で最も低い比率となった。
 114行の2017年3月期の総預金残高は前年同期比4.1%増だったのに対して、総貸出金残高は同2.4%増にとどまった。マイナス金利の導入で、コール市場なども金利が低下し相対的に利回りの高い預金に機関投資家の資金運用がシフトしたことも預金残高の伸びに影響した。

預貸ギャップは263兆円に拡大

 2017年3月期の「預貸ギャップ」(預金+譲渡性預金-貸出金)は、263兆6,597億1,600万円に膨らんだ。貸出金に対する預金の大幅超過が続いている。「預貸ギャップ」の拡大は、マイナス金利の導入後も伸び悩む銀行貸出を反映した格好となった。銀行貸出は、アパートローンを含めた不動産向けや医療・福祉、M&A(合併・買収)向けの増加が目立った。

銀行114行 預貸ギャップと預貸率の推移

約7割の銀行で預貸率が上昇

 114行のうち、前年同期より預貸率が上昇したのは75行(構成比65.7%、前年同期79行)で、前年同期より4行減った。伸び率トップは、山口銀行の7.05ポイント上昇(62.53→69.58%)。次いで、長崎銀行5.31ポイント上昇(91.00→96.31%)、東邦銀行4.28ポイント上昇(53.02→57.30%)、山陰合同銀行4.24ポイント上昇(67.10→71.34%)と続く。
 山口銀行は、組織改編で審査部を廃止し事業性評価部を新設するなど、コンサルティング力の強化を図り貸出金を伸ばした。長崎銀行は住宅ローンなどの個人向け貸出を中心に貸出残高が増加した。東邦銀行は事業性貸出、個人ローン、公共貸出ともに増加した。

 一方、前年同期より預貸率が低下したのは39行(構成比34.2%、前年同期35行)だった。預貸率の低下では、みずほ信託銀行の13.01ポイント低下(102.55→89.54%)を筆頭に、三菱東京UFJ銀行6.61ポイント低下(62.47→55.86%)、三菱UFJ信託銀行5.75ポイント低下(73.62→67.87%)、大分銀行3.96ポイント低下(65.12→61.16%)など、大手銀行が上位に入った。

銀行114行 貸出金と預金の推移

業態別、大手銀行が預貸率を下げる

 業態別の預貸率は、地銀64行が72.92%(前年同期71.88%、前年同期比1.04ポイント上昇)、第二地銀41行が75.06%(同74.43%、同0.63ポイント上昇)だった。これに対し、大手銀行9行は61.43%(同63.96%、同2.53ポイント低下)と前年同期を下回った。
 地銀64行のうち、預貸率が前年同期より上昇したのは46行(構成比71.8%)、低下が18行(同28.1%)で、預貸率の上昇行が7割にのぼった。第二地銀41行では、上昇が26行(同63.4%)、低下が15行(同36.5%)で、第二地銀も預貸率の上昇行が6割を占めた。
 これに対し、大手銀行9行は低下が6行、上昇が3行で預貸率の低下行が過半数を占めた。大手銀行の2017年3月期の総貸出金は、前年同期より1.2%増にとどまり、地銀(3.9%増)、第二地銀(3.2%増)と比べ貸出金の伸びが鈍かった。


 マイナス金利の導入以降、地銀と第二地銀はリスクは高いが、一定の収益が確保できる地元密着型の貸出を強化し、預貸率アップの銀行が目立った。
 預貸率の中央値(データを昇順または降順に並べ、真ん中に位置する値)は、2017年3月期は前年同期と同率の72.95%で、預貸率底上げの傾向が見て取れる。マイナス金利の導入で金利は低下したが、企業の投資意欲は思惑通りに高まっていない。預貸率が上昇ラインを描くまでにはしばらく時間が必要だろう。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年6月12日号に銀行114行の預貸率一覧を掲載予定)


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