• TSRデータインサイト

「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産動向 (11月)

 2016年11月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産は5件(前年同月10件)にとどまり、6カ月連続で前年同月を下回った。
 金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じるなどの金融支援や、中小企業向け貸出の増加などから、企業倒産は依然として低水準で推移している。

円滑化法関連倒産推移

11月の負債総額、2カ月連続で前年同月を上回る

 2016年11月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産での負債総額は34億9,200万円(前年同月比32.7%増、前年同月26億3,000万円)で、2カ月連続で前年同月を上回った。負債10億円以上の大型倒産が2件(前年同月1件)発生したことが影響した。

1-11月の累計件数、前年同期より4割減

 2016年1-11月の累計件数は71件(前年同期比44.5%減、前年同期128件)になり、前年同期より4割減で推移している。負債総額は371億4,400万円(同25.4%減、同498億5,100万円)で前年同期より約3割下回っている。負債額別では、10億円以上の大型倒産が9件(前年同期13件)で、最多は1億円以上5億円未満の32件(同53件)だった。

 1-11月の産業別では、最多が製造業22件(同40件)。次いで、建設業18件(同15件)、卸売業12件(同21件)、サービス業他9件(同22件)と続く。
 原因別では、販売不振35件(同68件)が最も多かった。次いで、既往のシワ寄せ(赤字累積)が29件(同31件)と続く。
 形態別では、最多が事業消滅型の破産が43件(同87件)だったのに対し、再建型の民事再生法は7件(同7件)にとどまった。業績不振から事業継続を断念するケースが依然として多い。
 従業員数別では、5人未満が26件(同51件)で最も多かった。次に5人以上10人未満の19件(同34件)だった。この結果、従業員数10人未満は45件(構成比63.3%、前年同期85件)で、小規模企業が全体の6割を占めた。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ