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「チャイナリスク」関連倒産調査(4月)

 4月の「チャイナリスク」関連倒産は7件、負債総額は15億1,700万円で、件数・負債ともに前年同月を下回った。前年に負債総額711億円を抱え東京地裁に民事再生法を申請した江守グループホールディングス(株)(TSR企業コード:600000702、法人番号:6210001000419、福井県)の大型倒産があった反動で、負債は大幅に減少した。
2016年1月-4月の累計件数は42件に達し、前年同期27件から1.5倍増(55.5%増)となった。42件を業種別でみると、アパレル関連業種が「繊維・衣服等卸売業」12件、「繊維工業」6件、「なめし革・同製品・毛皮製造業」3件の合計21件で、全体の5割(50.0%)を占めた。チャイナリスクは、アパレル関連業種を直撃している格好だ。
なお、倒産に集計されないが事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は4月はなかった(前年同月は1件)。

  • 「チャイナリスク」関連の集計基準
    「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の8項目のどれかに該当するものを集計している。
    1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
    2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
    3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
    4. 売掛金回収難(サイト延長含む)
    5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
    6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
    7. 価格競争(中国の在庫調整に伴う相場下落、安価製品との競合など)
    8. その他
    ※ 2016年4月の発表分から、より実態に即した集計とするため、集計基準に「7.価格競争」、「8.その他」を追加した。2016年3月以前の発表分についても遡って計上している。
    ※ 「チャイナリスク]関連の経営破綻は、下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「破産申請の準備中」などは、倒産とは区別し「実質破綻」としている。
  • 倒産の定義(対象:負債額1,000万円以上の法人および個人企業)
    A. 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
    B. 手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
    C. 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)
    ※「チャイナリスク」関連倒産の集計開始は2014年1月。

チャイナリスク関連倒産月次推移

 4月のチャイナリスク関連倒産は7件で、11カ月ぶりに前年同月を下回った。ただ、1-4月の累計は42件と前年同期比1.5倍増(55.5%増)に達しており、チャイナリスクの影響は今後も注意深く見守る必要がある。
業種別では、アパレル関連が21件と全体の半数を占めた。産業別では、製造業が16件(前年同期比60.0%増)と大幅に増加している。これまでチャイナリスク関連倒産は、卸売業が中心だったが、中国国内の人件費上昇による費用負担の増大や景気減速に伴う受注不振から製造業にも波及している。
中国は2008年のリーマン・ショック後に総額4兆元(当時のレートで約57兆円)規模の経済対策を実施し、鉄道や道路などの社会インフラの整備や低所得者向け住宅供給を推進した。こうした特需がひと段落し、中国向けの投資計画を策定した日本企業は業績下振れや計画修正を迫られている。また、中国指導部は「供給側(サプライサイド)改革」として、製造設備などの「過剰」の解消に乗り出しており、日本企業が期待する中国の成長力と実態が大きく乖離していく可能性がある。
日本国内の需要低迷を中国市場でカバーする戦略を立てていた企業は、早急に練り直しが必要となっている。沈静する兆しがみえない卸売業、機動的な戦略練り直しが難しい製造業者などを中心に、今後もチャイナリスク関連倒産は昨年を上回るペースで推移する可能性が高い。

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