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2015年1-9月「老人福祉・介護事業」の倒産状況

 介護報酬が今年4月から9年ぶりに引き下げられたなか、2015年1-9月の「老人福祉・介護事業」の倒産は57件に達した。9月集計時点ですでに前年の年間件数(54件)を上回り、介護保険法が施行された2000年以降では、過去最悪ペースで推移している。介護職員の深刻な人手不足という難題を抱えながら、業界には厳しい淘汰の波が押し寄せている。


  • 調査対象の「老人福祉・介護事業」は、有料老人ホーム、通所・短期入所介護事業、訪問介護事業などを含む。

2015年1-9月の倒産は4割増の57件

 全体の企業倒産が低水準に抑制されるなか、2015年1-9月の老人福祉・介護事業の倒産は57件(前年同期比42.5%増、前年同期40件)に達し、著しい増加をみせている。
 また、負債総額も50億9,600万円(同11.6%増、同45億6,400万円)と前年同期を上回っている。ただし、負債10億円以上の大型倒産がゼロ(前年同期ゼロ)だったのに対し、負債5千万円未満が38件(前年同期比58.3%増、前年同期24件)と増加し、小規模企業の倒産が多い。

老人福祉・介護事業関連倒産年次推移

「通所・短期入所介護事業」の増勢が目立つ

 2015年1-9月の老人福祉・介護事業倒産の内訳をみると、施設系のデイサービスセンターを含む「通所・短期入所介護事業」が23件(前年同期比109.0%増、前年同期11件)と倍増で、増勢が目立つ。また、「訪問介護事業」も23件(同27.7%増、前年同期18件)と増加している。

設立5年以内の事業者の倒産が過半数を占める

 従業員数別でも5人未満が38件(前年同期比100.0%増、前年同期19件)と倍増し、小規模事業所の倒産が全体の約7割(構成比66.6%)を占めた。また、2010年以降に設立した事業所が29件(構成比50.8%)と過半数を占め、設立から5年以内の新規事業者の倒産が目立つ。このように小規模かつ新規事業者が倒産増加の中心になっていることがわかった。

形態別、破産が9割

 原因別では、最多が販売不振(業績不振)の25件(前年同期比19.0%増、前年同期21件)。次いで、事業上の失敗が15件、既往のシワ寄せが6件の順だった。
 形態別では、事業所の解体・消滅である破産が56件(前年同期比51.3%増、前年同期37件)と全体の9割(構成比98.2%)を占めた。この一方で、再建型の民事再生法は1件(前年同期1件)にとどまり、業績不振の事業所の再建が難しいことを物語った。


 老人福祉・介護事業は高齢化社会の有望業種として期待され、将来性を見込んで新規参入が相次いだ。だが、ここにきて倒産が増加している背景には、介護事業への熱意はあっても、経営は全くの素人で経営能力に欠ける事業者が少なくないことが挙げられる。また、本業不振の穴埋めや経営多角化をめざし異業種から安易に新規参入したが、過剰投資や勝手の違う業種で経営に苦慮するケースも指摘される。
 さらに、深刻な「人手不足」が人件費アップとして経営を圧迫している。アベノミクスで景気が上向きになった2012年から一転して倒産が増加に転じているが、この背景には雇用状況が深くかかわっている。景気低迷期は雇用の悪化で介護業種に人材が集まりやすかったが、景気の好転と同時に人材が他業種に流出し、景気動向とは逆の動きを示しているのが注目される。
 懸念された介護報酬のマイナス改定の影響にはタイムラグがあるとみられることから、収益改善が遅れている事業者の今後の動向から目を離せない。

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