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2013年度の倒産発生率 5年連続で前年水準を下回る

 2015年3月公表の国税庁統計法人税表(平成25年度分)に基づく普通法人の2013年度の全国倒産発生率は0.34%(前年度比0.04ポイント低下)で、5年連続で前年水準を下回った。
2013年度の企業倒産は、「中小企業金融円滑化法」の終了に伴い実施された中小企業金融モニタリング体制の効果や、金融機関が中小企業のリスケ要請に応じたことで全国的に抑制され、倒産発生率もこれを反映する結果になった。

  • 本調査は、2013年度の都道府県別の倒産発生率(普通法人)をまとめた。倒産発生率は、普通法人倒産件数÷普通法人の申告法人数×100で算出した。分子は東京商工リサーチ調べの個人企業等を除いた普通法人倒産件数とし、分母は2015年3月公表の国税庁統計法人税表(平成25年度分)に基づく法人数で、小数点第3位を四捨五入した。 普通法人は、会社等(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、協業組合、特定目的会社、相互会社)、企業組合、医療法人を含む。

倒産発生率

倒産発生率、29道県で全国平均を下回る

 2013年度の倒産発生率は全国平均で0.34%(前年度0.38%)と前年水準を下回り、都道府県別では29道県で全国平均を下回った。倒産発生率が最も低かったのは福島の0.09%(前年度0.13%)だった。2013年度の福島の倒産件数(個人企業を含む)は、前年度比32.0%減(50→34件)で5年連続で前年度を下回った。原発事故の賠償金なども影響した。福島の産業別では、製造業(10→4件)や卸売業(6→2件)で減少が目立った。上位10番以内には東日本大震災の東北被災3県が顔を揃え、復興工事や各種支援の効果がうかがえる。

倒産発生率、最も高率は静岡の0.49%

 一方、倒産発生率が最も高かったのは静岡の0.49%(前年度0.43%)で、前年度9位から上昇した。2013年度の静岡の倒産件数(個人企業を含む)は、前年度比4.7%増(339→355件)で3年連続で前年度を上回った。静岡の産業別では、飲食業を中心にサービス業他が前年度比25.4%増(51→64件)、卸売業が同30.0%増(40→52件)、小売業が同29.2%増(41→53件)と増加した。
次いで、大阪0.43%(前年度0.46%)、石川0.41%(同0.49%)、東京0.40%(同0.43%)、秋田0.39%、鳥取0.39%、岐阜0.39%、京都0.39%の順だった。

地区別発生率、最高が近畿 最も低率が東北

 2013年度の地区別では、最も比率が高かったのは近畿の0.40%(前年度0.42%)だった。都道府県別ランキングにおいて、大阪、京都、奈良の3府県が高率な10番以内にランクインするなどで比率を押し上げた。
次いで、中部0.37%(前年度0.38%)、関東0.36%(同0.40%)、北陸0.35%(同0.48%)、北海道0.29%(同0.39%)、九州0.28%(同0.31%)、中国0.28%(同0.32%)、四国0.23%(同0.32%)、東北0.23%(同0.23%)の順だった。全国9地区のうち東北を除いた8地区で前年度を下回った。

産業別発生率、情報通信業が5年連続で最も高率

 産業別の倒産発生率は、ソフトウェア業、出版業、広告制作業などを景気動向に敏感な業種を含む情報通信業が0.60%(前年度0.66%)で5年連続で最も高かった。次いで、卸売業0.56%(同0.61%)、運輸業0.49%(同0.51%)、建設業0.45%(同0.58%)、製造業0.44%(同0.47%)、小売業0.32%(同0.32%)、サービス業他0.24%(同0.25%)、農・林・漁・鉱業0.21%(同0.26%)、金融・保険業0.14%(同0.13%)、不動産業0.10%(同0.12%)の順だった。

 2013年3月末の「中小企業金融円滑化法」終了後も各種支援効果で倒産が抑制され、2013年度の倒産発生率は押し下げられた。ただし、公共工事の増加や震災復興事業が進む地区での低い比率が目立つ一方で、業績回復の遅れによる息切れ倒産の増加で、比率が高い地区もあって、景気の「まだら模様」を浮き彫りにした。

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