• TSRデータインサイト

2013年度上場企業の不動産売却 2年連続で前年度を上回る

 2013年度に国内不動産を売却した東証1部、2部上場企業は76社で、2年連続して前年度を上回り、増勢に転じた。景気の回復期待とアベノミクスによる大胆な金融緩和を背景に不動産取引が活発化し、さらに有力な買い手としての不動産投資法人の積極的な動きも影響したとみられる。

  • 本調査は、東京証券取引所1部、2部上場企業(不動産投資法人を除く)を対象に、2013年度(2013年4月~2014年3月)に国内不動産(固定資産)の売却契約または引渡しを実施した企業を調査した(各譲渡価額、譲渡損益は見込み額を含む)。
  • 資料は『会社情報に関する適時開示資料』(2014年5月9日公表分まで)に基づく。東証の上場企業に固定資産売却の適時開示が義務付けられているのは、原則として譲渡する固定資産の帳簿価額が純資産額の30%に相当する額以上、または譲渡による損益見込み額が経常利益または当期純利益の30%に相当する額以上のいずれかに該当する場合である。

東証1部・2部上場企業 不動産売却企業数推移

不動産売却企業は76社 2年連続で前年度を上回る

 会社情報の適時開示ベースで2013年度に国内不動産(固定資産)の売却契約、または引渡しを実施した東証1部、2部上場企業数は、前年度(60社)に比べて16社増(26.6%増)の76社で、2年連続で前年度を上回った。
なお、2013年7月に東証と大証の両証券取引所が市場統合し、大証のみに上場していた会社が東証に移ったが、不動産を売却した76社のうち大証単独上場会社は6社にとどまり、これを差引いても前年度を上回った。

公表売却土地総面積 63社で127万平方メートル

 2013年度の売却土地総面積は、内容を公表した63社合計で127万8,449平方メートル(一部子会社分を含む)。前年度より133.5%(前年度:公表52社、54万7,316平方メートル)増加した。売却土地面積が1万平方メートル以上は25社(前年度19社)にのぼった。
物件取得に積極的な不動産投資法人の動きが、不動産取引市場を牽引したことも増加の一因になった。

公表売却土地面積 トップは日産車体

 公表売却土地面積トップは、日産車体の15万9,500平方メートル。資産有効活用のため車両生産終了で遊休地になった湘南工場第1地区と第4地区を売却した。次いで、有利子負債の圧縮などを図るため、郡山市の工場用地を親会社の日本電産に売却した日本電産コパル(公表後に日本電産の完全子会社移行のため上場を廃止した)の12万7,370平方メートル。生産機能の移転で遊休地になっていた八王子市の土地を売却した、ロームの9万7,000平方メートルと続く。

譲渡価額総額 63社合計で3,475億円

 譲渡価額の総額は、公表した63社合計で3,475億7,900万円(見込み額を含む)。個別のトップは、成長資金の獲得のため、所有する商業施設6物件を、イオンリート投資法人に譲渡したイオンモールの646億円。施設は賃貸借契約を結んで引き続き管理運営する。次いで、総合特別事業計画に沿って東京電力病院、銀座支社本館を売却した東京電力の335億5,500万円。財務体質改善のため川崎市の遊休資産を売却した東京機械製作所の268億3,800万円の順。譲渡価額100億円以上は12社(前年度5社)だった。

譲渡損益 67社合計で1,479億円

 譲渡損益の総額は、公表した67社合計で1,479億5,800万円(見込み額を含む)だった。内訳は、譲渡益計上が51社(前年度43社)で合計1,593億5,100万円(前年度1,384億1,700万円)。
譲渡益トップは、東京電力の307億5,900万円。次に、東京機械製作所が187億円、日産車体が152億円、日本製紙が150億円と続く。これに対して譲渡損を公表したのは16社(前年度8社)で、譲渡損の合計は113億9,300万円(前年度34億8,600万円)にのぼった。

業種別 最多は機械の8社

 業種別社数では、機械8社が最も多かった。次いで、電気機器と不動産が各7社、卸売6社、建設5社、小売、繊維製品、輸送用機器、陸運が各4社と続く。業種別売却土地面積では、精密機器が17万5,153平方メートルでトップ、次いで、輸送用機器が17万1,916平方メートル、機械が16万9,228平方メートル、電気機器が13万7,385平方メートル、食料品が8万4,960平方メートル、建設が7万7,071平方メートルの順だった。

 2013年度の東証1部、2部上場企業の不動産売却は2年連続で前年度を上回った。事業見直しで工場、店舗、事務所の集約などから遊休地や遊休施設が増加傾向にあることや、買い手としての不動産投資法人の積極的な物件取得も後押しした。また、アベノミクスによる大胆な金融緩和を背景に、国土交通省発表の2014年1月1日時点の公示地価は、東京、大阪、名古屋の三大都市圏で、リーマン・ショック前の2008年以来、6年ぶりに上昇に転じた。今後の国内景気の改善が進むほど、上場企業の不動産売却増加に拍車がかかるとみられる。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「リファラル採用」 企業の半数に広がる 定着率はリファラルが新卒、転職エージェントを上回る

東京商工リサーチは、採用に関する企業向けアンケート調査を実施した。人手不足やAI・DXの普及で転職市場の活況が続き、近年はリファラルやアルムナイ採用も広がっている。特に、リファラル採用は、転職エージェントの紹介より従業員の定着率が高いと考える企業が多いことがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

大手ホテル好調 客室単価と稼働率が同時上昇 客室単価はコロナ禍の2倍超、稼働率は83.3%

インバウンド需要と国内旅行の復活で、大手ホテルの客室単価と稼働率が、コロナ禍以降で最高を更新した。 ホテル運営の上場12社(13ブランド)の2025年度の客室単価は、1万7,818円(前年度比8.6%増)で前年度より1,424円上昇した。稼働率は83.3%(前年度82.3%)で、高水準を維持した。

3

  • TSRデータインサイト

経営責任を取る事業再生、ジュピターコーヒーは黒字化へ ~ ネクスト・キャピタル・パートナーズ 単独インタビュー ~

2025年度の企業倒産は1万505件(前年度比3.5%増)で、2年続けて1万件を超えた。 こうしたなか、20年を超すファンド運営で事業再生を数多く手掛けてきたのがネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)だ。浅野晃司・取締役執行役員に特色や取り組みを聞いた。

4

  • TSRデータインサイト

企業の7.8%で退職金「増額・導入」  「減額・廃止」企業は月給などへ、資産形成は自己責任

これまで「年功序列」や「終身雇用」が前提の日本の会社では、長く勤め上げてまとまった退職金を受け取ることが一般的だった。だが、東京商工リサーチ(TSR)のアンケート調査で、2023年以降の退職金制度は「増額・導入」が7.8%に対し、「減額・廃止」は1.9%だった。

5

  • TSRデータインサイト

サッカーW杯 日本代表を支える40社 売上1兆円以上8社 設立10年未満も

2026年6月11日、米国・カナダ・メキシコの3カ国共催で、史上最大規模のFIFAワールドカップが開幕する。5月15日、日本代表メンバー26名も発表され、関心が集まるなか、スポンサーシップやパートナーシップなど、サッカー日本代表・日本サッカー協会を支援する企業40社を調査した。

TOPへ