「東日本大震災」関連倒産 3月は15件、2013年度は約4割減 (4月7日現在)
2014年3月の「東日本大震災」関連倒産は15件で、23カ月連続で前年同月を下回った。ただし、震災関連倒産の累計は1,419件(4月7日現在)に達し、このほかに、事業停止や法的手続準備中の「実質破綻」が21件があって、震災から3年を経過したが、震災関連倒産は緩やかな収束傾向を辿りながらも、依然として発生が止まらない。
2013年度は前年度より約4割減
2013年度(2013年4月-2014年3月)の関連倒産の累計は282件(前年度比36.1%減、前年度442件)で、前年度から約4割減少した。
都道府県別では、東京の90件(前年度150件)が最多。次いで、宮城36件(同38件)、茨城20件(同10件)、神奈川15件(同23件)、群馬14件(同17件)、岩手13件(同8件)、千葉13件(同20件)、山形12件(同5件)と続き、直接被災県が上位に並んだ。
産業別では、宿泊業・飲食店などを含むサービス業他が81件(前年度112件)で最も多く、次いで、製造業54件(同114件)、卸売業53件(同78件)、小売業38件(同37件)、建設業22件(同55件)と続く。軒並み減少が目立つなかで、小売業が前年度を上回った。
産業別
「震災関連」倒産の累計1,419件を産業別にみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の359件(3月4件)。次いで、製造業が336件(同5件)、卸売業が257件(同5件)、建設業が186件(同ゼロ件)、小売業が131件(同ゼロ件)と続く。
地区別
2014年3月の地区別では、関東11件、東北4件だった。このうち、東北は岩手2件、青森と宮城が各1件だった。
「震災関連」倒産の累計1,419件を都道府県別にみると、最多は東京の422件(3月5件)。次いで、宮城103件、北海道81件、神奈川と福岡が各61件、千葉55件、岩手と群馬が50件、茨城45件、大阪43件、静岡40件、福島38件、石川37件と続く。直接被害地の東北6県の倒産件数は255件(構成比17.9%)だった。
パターン別
累計1,419件を被害型で分類すると、「間接型」1,309件(構成比92.2%)に対し、「直接型」は110件(同7.7%)だった。3月は「直接型」が発生なしだった。
3月の倒産事例
切り餅製造の(株)高橋フーズ(TSR企業コード:170041794、岩手県)は、ピーク時の平成20年7月期には14億8,000万円の売上をあげていた。しかし、震災による原発事故発生で風評被害が広がり、売上減少に歯止めがかからなかった。さらに、原材料高と燃料価格高騰が重なり資金繰り悪化から民事再生手続きを申請した。
精密機器・コネクター製造の船越電子工業(有)(TSR企業コード:172573343、岩手県)は、高性能精密コネクターの加工組立を主力にしていたが、震災の影響で一時休業を余儀なくされた。その後も受注回復ができず、業績悪化から破産を申請した。
電柱広告取付の東海電業(株)(TSR企業コード:360199348、神奈川県)は、電柱広告の取り付け作業を中心に行い、ピーク時には約2億5,000万円の売上をあげていた。しかし、震災による広告減少で、平成24年9月期の年商は約9,000万円まで下落し、資金難から破産を申請した。
震災関連の集計基準
「震災関連」の経営破綻は、原則として次の3 つのどれかに該当するものを集計している。
- 震災により施設・設備・機械等に被害を受けて経営破綻した(直接型)
- 以前から経営不振だったが、震災による間接影響を契機に経営破綻した(間接型)
- 震災の影響による経営破綻が、取引先や弁護士等への取材で確認できた(直接・間接型)
- ※集計では、すでに震災前に再建型の法的手続を申請しながら、震災による影響で再建を断念し破産手続に移行したケースなどは、倒産件数のダブルカウントになるため集計から除外している。
- ※「震災関連」の経営破綻は下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「弁護士一任」、「破産手続き中」などの企業は、今後の展開次第で事業再開の可能性もあるため、「実質破綻」として区別した。
倒産の定義(対象:負債額1,000 万円以上の法人および個人企業)
- 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
- 手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
- 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)