• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

2012年「倒産企業の財務データ分析」調査 ~ 倒産企業 減収が62.6%、赤字率は55.3% ~

2012年(1-12月)に倒産した企業は、全体の6割が減収で、過半数が赤字企業だった。また、有利子負債構成率が平均51.1%と高く、過剰債務を抱える企業が多いことが明らかになった。

  • ※本調査は、東京商工リサーチが保有する71万4,059社の財務データベースから、2012年の倒産企業のうち3期連続の財務データ678社(個人企業を含む)を無作為に抽出、同条件の生存企業(18万4,713社)データと比較、分析した。最新決算データは2012年12月期まで。

2012年倒産企業 6割が減収

2012年に倒産した678社の最新期の総売上高は、1兆1,085億8,373万円(前期比1.5%減、前期1兆1,259億605万円)だった。このうち、減収企業が425社(構成比62.6%)で全体の6割を占めた。
これに対し生存企業は、最新期の総売上高は前期比1.9%増で、増収企業が過半数(構成比54.7%)を占めるなど、生存企業と倒産企業の業績回復の違いが鮮明になった。

external_image

倒産企業の赤字企業率55.3% 前期比7.4ポイント上昇

2012年に倒産した678社の赤字企業率(当期純損失を計上した企業数の比率)は、55.3%(前期比7.4ポイント上昇)で、全体の約6割が赤字経営だった。倒産企業の赤字企業率は、前々期50.4%→前期47.9%→最新期55.3%と上昇傾向をたどり、業績悪化に歯止めがかからない実態を浮き彫りにした。
一方、生存企業の赤字企業率は、前々期31.5%→前期29.2%→最新期26.2%と年々低下し、経営の持ち直しがみられた。

external_image



倒産企業の有利子負債構成率 平均51.1%

2012年に倒産した678社の借入依存度を示す有利子負債構成率(総資産に対する長短借入金、社債などの割合)は平均51.1%で、生存企業の平均30.5%と比べ極めて高率だった。
生存企業の有利子負債構成率は、前々期31.3%→前期31.0%→最新期30.5%と落ち着いて推移しているのに対し、倒産企業は前々期51.2%→前期51.0%→最新期51.1%と50%台で推移し、過大な有利子負債(過剰債務)が経営の重荷になっていたことを示している。

external_image

倒産企業の総資産 前期比1割減

2012年に倒産した678社の総資産額は、前期比11.9%減だった。生存企業の最新期の総資産は同2.6%減で、倒産企業の減少が目立った。倒産企業は、現預金、売掛債権、在庫の減少、また有形固定資産の売却などが総資産の減少につながったとみられる。

external_image


倒産企業の自己資本比率 約半数が債務超過

2012年に倒産した678社の自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)は平均15.2%だった。自己資本比率は企業の基礎体力や安全性を示す指標で、この比率が低いほど借入金等への依存度が高く、比率のマイナスは債務超過を示す。生存企業の自己資本比率37.6%に比べて、倒産企業の財務内容の脆弱さが浮き上がった。
最新期での自己資本比率別の構成比をみると、生存企業では自己資本比率30%以上が全体の47.5%を占めたのに対し、倒産企業678社では全体の10.3%にとどまり、債務超過が48.3%(328社)で最も多かった。

external_image


倒産企業の当座比率 49.4%

2012年に倒産した678社の当座比率は平均49.4%だった。当座比率は、企業の短期支払能力を判断する指標。短期間に支払い期限が到来する「流動負債」に対し、当座資産(短期間に現金化しやすい現金預金、受取手形、売掛金など)をどれだけ保有しているかを示す。比率が高いほど短期的な支払担保能力があるとみられ、当座比率が100%以上が安全性の目安とされる。
生存企業の当座比率は平均76.7%で、倒産企業は資金繰りに余裕を欠いていたことがわかる。

external_image


経常利益率 倒産企業は平均▲6.6%(▲はマイナス)

経常利益率(売上高に占める経常利益の割合)は、2012年に倒産した678社の平均は▲6.6%だった。生存企業が平均3.9%だったのに比べ、倒産企業の収益力が極めて低いことがわかる。
経常利益率は、金融収支などを含めた総合的な収益性を反映するため、一般的に比率が高いほど良好といえる。倒産企業は、売上確保のための値引きなどで利益率が低下したほか、多額の有利子負債を抱えて金利負担が収益を圧迫していたり、経常利益の減少などで比率が低下したとみられる。

external_image


2012年に倒産した企業のうち、無作為に抽出した678社の3期連続の財務データをみると、倒産企業は多くが売上減少と過剰債務に苦しんでいたことがわかった。元々、倒産企業は体力が脆弱で、経営不振に陥ると財務悪化が一気に進み、自力再建を図ることが難しいことを示している。
今年3月末で中小企業の資金繰り支援に効果を発揮した「中小企業金融円滑化法」が期限切れを迎えた。金融円滑化法を利用して金融機関から貸付条件変更を受けながら、業績低迷から抜け出せない企業は数多い。政府の中小企業政策は「資金繰り支援」から「成長支援」に軸足を移しつつある。だが、中小企業は業績改善や経営力の強化を求められても、財務内容が脆く資金調達力も限界を抱えており、自律的な業績改善はかなり高いハードルになってきている。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

4

  • TSRデータインサイト

「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。10月1~8日企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明

デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。

TOPへ