• TSR速報

FUNAI GROUP(株)(旧:船井電機・ホールディングス(株))

FUNAI GROUPの登記上本社(TSR撮影)

FUNAI GROUPの登記上本社(TSR撮影)

FUNAI GROUP(株)(旧:船井電機・ホールディングス(株))が破産開始決定

 11月21日、東京地裁から破産手続きにおける保全管理命令を受けていたFUNAI GROUP(株)(旧:船井電機・ホールディングス(株)、大阪府)は1月7日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人は竹山拓弁護士(飯沼総合法律事務所、中央区銀座2-7-17)が選任された。
 負債総額は262億1543万円(2024年9月末時点)で、うち253億3660万円は子会社の船井電機(株)からの借入金。

 2024年10月24日に東京地裁より破産開始決定を受けている船井電機(株)(大東市)の持株会社。
 当初は事業会社として展開し、「FUNAI」ブランドでリーズナブルな価格帯の液晶テレビなどを供給するAV機器メーカーとして、2000年3月には東証1部(当時)に上場。特に北米での高いシェアを誇り、2005年3月期には単体売上高3535億9200万円をあげた。

 しかし、その後は中国・台湾などのメーカーとの競合激化もあって低迷。2016年には、(株)ヤマダデンキ(高崎市、商号は現在)への独占供給を柱とする業務提携などで再起を図ったが、この間の2017年に創業者の船井哲良氏が死去。事業の再建と承継を模索するなかで2021年5月、(株)秀和システムホールディングス(江東区)が株式公開買付を実施し、同社の完全子会社となり、2021年8月26日に上場を廃止した。その後、同社の親会社である秀和システムの傘下となり、2023年3月末に会社分割により船井電機へ事業を移管。当社は船井電機・ホールディングス(株)へ商号変更のうえ、上田智一氏が代表取締役に就任し、中間持株会社となった。

 2023年4月には脱毛サロン運営の(株)ミュゼプラチナム(現:(株)MIT、大田区)を買収した。しかし、上田氏の代表就任後、事業多角化の裏で多額の資金が関連会社への貸付金などとして流出し、グループの資金繰りは急速に悪化。また、2024年3月に当社名義の本社と東京支店の不動産に対して創業家より100億円を超える根抵当権設定仮登記が設定され、5月には役員構成が入れ替わるなかで、当社より明確な説明がなされず、信用不安が高まった。
 ミュゼプラチナムはネット広告企業に対する債務約22億円の支払いが滞る事態も発生。債務を連帯保証していた当社の保有する船井電機株式に対して仮差押が申し立てられ、5月2日に仮差押決定の発令を受けた。

 船井電機は2024年10月3日に経営体制の刷新を発表したものの、支払遅延が発生し、材料仕入なども困難となり10月24日、東京地裁に準自己破産を申請し同日、開始決定を受けていた。当社はこの間、9月27日に古寺誠一郎氏が代表取締役に就任(登記は10月11日)。10月31日、現商号に変更し同日、登記上本社を大阪府大東市から東京都千代田区の現在地に移転。古寺氏らは船井電機の破産開始決定に対して東京地裁に即時抗告を申し入れ、12月2日には船井電機に対して東京地裁に民事再生法の適用を申請する書類を提出するなどしていた。その後、即時抗告は12月26日に棄却されていた。
 なお、当社は1月8日、債権者の(株)秀和システム(江東区)から民事再生法の適用を申し立てられている。

※FUNAI GROUP(株)(旧:船井電機・ホールディングス(株)、TSR企業コード:570182948、法人番号:2122001015871、大阪府大東市中垣内7-7-1、登記上:東京都千代田区外神田4-11-5、設立1951(昭和26)年1月、資本金1億円)
※(株)秀和システム(TSR企業コード:292007680、法人番号:1010401013986、江東区)
※船井電機(株)(TSR企業コード:697425274、法人番号:3122001036719、大東市)
※(株)ヤマダデンキ(TSR企業コード:134237650、法人番号:2070001036729、高崎市)
※(株)秀和システムホールディングス(TSR企業コード:136862659、法人番号:2010601058062、江東区)
※(株)ミュゼプラチナム(現:(株)MIT、TSR企業コード:300036639、法人番号:3011001092832、大田区)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【TSRの眼】「トランプ関税」の影響を読む ~ 必要な支援と対応策 ~

4月2日、トランプ米国大統領は貿易赤字が大きい国・地域を対象にした「相互関税」を打ち出し、9日に発動した。だが、翌10日には一部について、90日間の一時停止を表明。先行きが読めない状況が続いている。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

3

  • TSRデータインサイト

ホテル業界 インバウンド需要と旅行客で絶好調 稼働率が高水準、客室単価は過去最高が続出

コロナ明けのインバウンド急回復と旅行需要の高まりで、ホテル需要が高水準を持続している。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の2024年10-12月期の客室単価と稼働率は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に、前年同期を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年度の「後継者難」倒産 過去2番目の454件 代表者の健康リスクが鮮明、消滅型倒産が96.6%に 

2024年度の後継者不在が一因の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は、過去2番目の454件(前年度比0.8%減)と高止まりした。

5

  • TSRデータインサイト

2025年「ゾンビ企業って言うな!」 ~ 調達金利の上昇は致命的、企業支援の「真の受益者」の見極めを ~

ゾンビ企業は「倒産村」のホットイシューです、現状と今後をどうみていますか。 先月、事業再生や倒産を手掛ける弁護士、会計士、コンサルタントが集まる勉強会でこんな質問を受けた。

TOPへ