(社)青い森農林振興公社(TSR企業コード:180176471、青森市新町2-4-1、設立昭和46年4月、鳴海勇蔵理事長)は、8月2日付けで青森地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。監督委員は石岡隆司弁護士(石岡法律事務所、青森市古川2-20-3朝日生命青森ビル7階、電話017-735-4838)が選任された。負債総額は債権者16名に対し367億円で、青森県で過去最大の倒産となった。
青森県が50%出資する第三セクターで、昭和46年4月に設立。農家の規模拡大を進める「農地保有合理化事業」およびスギなどを植林して森林資源を計画的に造成する「分収造林事業」を主業として実施。国の「拡大造林政策」を背景に森林所有者が整備し難い地域において、当公社が土地所有者と分収造林契約を結び森林整備を手がけてきた。この事業遂行には植付から伐採までが多年に亘り、この間継続した投資が必要となるもので、当公社はその大半を青森県及び金融機関からの借入金にて調達し、伐採後の造林木の販売により借入金を返済する予定にあった。
しかし、木材価格の低迷など林業を取巻く環境が激変、分収造林事業の採算悪化が顕著となり、この間は県の助成による各種制度利用から経営改善策を続けてきたが、抜本的な対策を打ち出せないまま、企業体力は低下の一途を辿っていた。こうした中、平成24年4月には分収造林事業以外の全事業を公益法人あおもり農林業支援センターに事業譲渡。当公社は分収造林事業のみに特化したが、分収林の資産価値を時価評価した処、評価額が約6億8500万円に留まり、大幅な債務超過に陥ることが判明した。
当公社の事業は森林資源の造成以外にも県内経済振興、土砂災害防止など極めて公益性を有する重要事業で、このため青森県が事業を引継ぎ、再生を図ることとなった。青森県では平成25年までの措置となっている第三セクター等改革推進債(三セク債)を活用し、金融機関の債務処理を行う方針を固めた。
シコー(株)(TSR企業コード:350419973、大和市中央林間西3-9-6、設立昭和51年7月、資本金33億5102万円、白木学社長、従業員59名)は8月10日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員は竹村葉子弁護士(三宅・今井・池田法律事務所、新宿区新宿1-8-5、電話03-3356-5251)が選任された。負債総額は85億900万円。
携帯電話向け小型モータ製造会社。平成16年8月東証マザーズに上場した。携帯電話用小型カメラのオートフォーカスモータ、パソコン用・車載向けファンモータなどを製造し、ピーク時の同22年12月期には年商137億8300万円を計上していた。
しかし、大手メーカーのスマートフォンのモデルチェンジに伴い、モータの需要が減退し平成23年11月以降、大幅に受注が落ち込み、同23年12月期年商は95億7500万円に減少。さらに設備投資による減価償却費の負担が重荷となったことやレアメタルの原材料価格の高騰、中国国内での人件費高騰などにより経営環境が悪化。昨今の円高によるデリバティブ損失による多額の資金流出も生じていた。今期は米アップル社などのスマートフォン向けや自動車分野への製品供給に取り組んでいたものの、業況は好転せずここにきて資金繰りも限界に達し今回の措置となった。
(株)フーディーズ(TSR企業コード:295958472、豊島区南池袋1-12-7、設立平成16年3月、資本金1億3762万5000円、久保田恭章社長、従業員23名)は8月31日、東京地裁から破産手続開始決定を受けた。破産管財人は橘田洋一弁護士(橘田法律事務所、千代田区麹町4-3、電話03-3221-6451)が選任された。負債総額は80億2800万円。
数社の子会社を経て、平成20年12月に中小企業飲食機構(株)(TSR企業コード:297664310)、中小企業保証機構(株)(TSR企業コード:575360470)が取得し、日本振興銀行を中心とした中小企業振興ネットワークに参加するようになった。「刻」、「きざみ」、「やきとんと黒おでん」等の店舗名でチェーン展開。また、「黒字ネット」としてFC加盟を募集するなどして、平成23年3月末時点で加盟店は122店舗あった。
積極的な出店などから平成23年3月期には売上高30億6416万円を計上した。しかし、同22年9月にメーンバンクで、中小企業振興ネットワークの中核であった日本振興銀行(株)(TSR企業コード:299000370)が民事再生法の適用を申請した。このため、同23年、同24年3月期決算ともに、日本振興銀行関連の損失処理を行ったとみられ、多額の赤字決算を余儀なくされ、同24年3月期決算時点で25億5074万円の債務超過となった。
花巻管理(株)(TSR企業コード:170057364、中央区八重洲2-10-3、設立大正15年9月、資本金9600万円、代表清算人:永井清氏)は8月1日、東京地裁から特別清算開始決定を受けた。負債総額は56億3000万円。
大正12年8月に台温泉からの引き湯にて開業し、「佳松園」、「ホテル千秋閣」、「ホテル紅葉館」、「ホテル花巻」の4館を中心に、秋田県鹿角で「ホテル鹿角」を経営するなど、当地でも岩手県内でも有数の規模を誇っていた。
しかし、バブル期での過大な設備投資により多額の借入金を抱え、また旅行スタイルの変化から業績は低迷し、慢性的な赤字体質となっていた。このため、親会社である国際興業(株)(TSR企業コード:290051029、東京都中央区)と協議を重ねた結果、平成23年12月22日に観光庁及び厚生労働省から産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法に基づく「経営資源再活用計画」の認定を受け、各種支援を受けることとなった。これにより、同23年12月27日に事業の受け皿会社である新花巻温泉(株)(現:花巻温泉(株)、TSR企業コード:172600600、岩手県花巻市)が設立され、同24年3月1日に会社分割が行われ、6月21日株主総会の決議により解散するとともに、現所在地に本社を移転した。
五十嵐貿易(株)(TSR企業コード:350007667、横浜市中区相生町6-113、設立昭和22年1月、資本金3億円、五十嵐和夫社長、従業員35名)は8月14日、東京地裁から破産手続開始決定を受けた。破産管財人には池田靖弁護士(三宅・今井・池田法律事務所、新宿区新宿1-8-5、電話03-3356-5251)が選任された。負債総額は31億8500万円。
昭和6年12月創業の老舗企業。繊維製品の輸出入などを手がけ、大手繊維業者や金融機関も株主となるなど業歴相応の信用度を構築。平成4年3月期には年商231億9735万円を計上し、地区では有力な一社に数えられていた。
しかし、市況後退に伴う優良取引先からの受注減などで業績は下降線を辿り、リストラなど固定経費削減を迫られ、事業規模も徐々に縮小。平成24年3月期には年商52億9560万円まで落ち込み、特別損失において旧:大阪支店の火災に伴う損害賠償金等の計上から大幅な赤字となった。長引く不況の影響から多額の不良債権も抱え、多忙な資金繰りを余儀なくされていたが、遂には資金繰りを維持することが不可能となり今回の措置となった。
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