アジア特殊製鋼(株)(TSR企業コード:297169459、北九州市若松区向洋町43-1、設立平成19年7月、資本金45億円、代表取締役:奥原征一郎氏、従業員92名)は4月6日、福岡地裁小倉支部に破産を申請した。破産管財人は中野敬一弁護士(大手町法律事務所、北九州市小倉北区大手町11-3、電話093-571-0220)。負債総額は債権者102名に対し205億8100万円。
平成19年7月に寿工業(株)(TSR企業コード:740037862、広島県呉市)、POSCO Steel Service&Sales Co.,Ltd.(韓国)などの出資により、日本で初めての鍛造用鋼塊(インゴット)専門メーカーとして設立。専用岸壁を備えた約15万平米の敷地に約150億円を投じ、同21年10月に年間約15万トンの供給能力を備えた最新鋭の工場を完成。敷地内には親会社の寿工業が大型鋳鋼工場を設置するなど、グループで連携した生産体制を整え、主に韓国のマーケットを対象に大型船舶や産業機械、風力発電設備などの高強度部品の素材となるインゴット製造を開始した。
しかし、リーマン・ショックによる営業環境の急激な冷え込みが響き、当初の計画から操業を延期。平成22年9月にようやく本格稼働となったが、同22年12月期の売上高は10億8600万円にとどまり、減価償却などの経費負担が損益を圧迫して最終損益は26億700万円の赤字を計上。期中に実施した15億円の増資で債務超過を回避したものの、シンジケートローンで調達した借入返済を棚上げするなど、当初から苦戦を強いられていた。
平成23年12月期は通年稼働となり、4月から月産約4000トンを確保していたが、夏場以降は円高ウォン安が直撃して受注が激減し、売上高は34億5500万円にとどまった。また、経常損失は35億6800万円となり減損損失31億1800万円の特損により最終損失は67億2500万円、期末時点で61億1600万円の債務超過に転落し、2012年3月末で事実上生産活動を休止していた。
(財)秋田県市町村職員互助会(TSR企業コード:220246289、秋田市山王4-2-3秋田県市町村会館内、設立昭和48年3月、代表清算人:佐々木哲男氏(現:東成瀬村村長))は4月2日、東京地裁から破産手続開始決定を受けた。破産管財人は小林克典弁護士(麹町パートナーズ法律事務所、電話03-3234-2941、千代田区麹町4-2-1MKビル8階)。負債総額は100億6700万円。
同会は、県内市町村職員等の互助会事業を行う財団法人として設立、県内18市町村と事務組合など30団体で構成され、掛け金返還のほか、祝い金・見舞金・弔慰金給付、医療費・人間ドック助成、貸付他生活支援事業等を行ってきた。このうち、会員の脱会、退職の際に掛け金を払い戻す掛け金返還に関して、従来公費で一部を負担してきたが、自治体職員互助会への公費負担をめぐって、平成22年9月に県外の互助会団体に対し最高裁が公費負担は違法と認定したため、当団体を監督する秋田県の指導を受け、同23年度より公費負担を廃止した。
この結果、制度継続が困難として、平成23年4月の理事会で返還金制度自体廃止を決定したが、廃止による清算で返還金が以前より減少することが会員の不満を膨らませ、脱会が相次ぎ今後の運営が困難と判断。同23年8月に法人の清算業務に入っていたが債務を整理し切れず、破産手続きに移行した。返還金対象者は約5400人、医療助成対象者は8424人にのぼり、返還金引当金、給付引当金を主体とした負債総額は100億6700万円にのぼった。
(株)小野プランニング(TSR企業コード:297351567、港区六本木3-17-10、設立平成20年2月、資本金100万円、小野俊夫社長)は4月4日、東京地裁に破産を申請した。破産管財人は上田慎弁護士(梶谷綜合法律事務所、千代田区丸の内2-4-1、電話03-3212-1451)。負債総額は債権者29名に対し68億800万円。
不動産会社で不動産を転売目的に保有し、平成21年4月に破産した貸金業者(株)SFCG(TSR企業コード:291549519、東京都中央区、同21年4月21日破産開始決定)およびグループ会社から融資を受け、受取賃料や転売益の収受を事業目的としていた。しかし、不動産市況の低迷に伴い賃料収入などが見込めなくなり、融資を受けていたSFCGが破産したことからSFCGグループの保有債権が金融機関や債権回収会社などに譲渡され、弁済も滞っていた。これに伴って債権者による担保賃料差押や租税債権の滞納処分も行われていた。このため債権者を含めた整理を進めていたが、再建スキームが成り立たなくなり今回の破産となった。
フジテック・インターナショナル(株)(TSR企業コード:670261238、たつの市揖西町南山3-8、設立平成13年4月、資本金3000万円、藤本隆洋社長)は3月30日、再度の資金ショートを起こした。事業は継続の意向で、善後策を廣田稔弁護士(廣田稔弁護士事務所、大阪市北区西天満5-16-3西天満ファイブビル10F、電話06-6365-6588)と協議中。負債総額は平成23年3月期末で63億円。
平成7年1月に創業した特殊ガス配管設備工事及び、関連機器製造業者。特殊配管工事と真空技術を背景に積極的な営業で、国内外の電機メーカー、エンジニアリング会社に受注地盤を形成。クリーンルームや液晶パネル、太陽電池関連の製造設備なども手掛け、同18年3月期以降は急成長を辿っていた。
しかし、事業拡大に伴う本社工場の建設や機器開発への先行投資から借入金が増大。また、工事、機器製造の多くは完成後の一括入金となり、仕掛期間の資金立替が大きく受注拡大とともに資金運営は多忙化していた。平成23年4月からは、新規事業への新たな資金投下など、資金運営の多様化手段として中小企業金融円滑化法の適用を受け、借入金の元金返済の猶予も受けていた。こうしたなか、1月、2月末決済にあてこんでいた、輸出用大型プラント代金の資金化に狂いが生じ、1月31日の決済で1回目の資金ショートが発生。その後は、関係先への支援要請や手形ジャンプでしのいでいたが、輸出用大型プラント代金の資金化が難航し、資金繰りに行き詰まった。
福岡スプリットン工業(株)(TSR企業コード:880311037、北九州市門司区丸山1-20-7、設立昭和47年5月、資本金4580万円、中島祥次郎社長、従業員88名)は4月2日、福岡地裁小倉支部に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は柴田耕太郎弁護士(柴田法律事務所、福岡市中央区大名2-12-9赤坂ソフィアビル8F、電話092-737-3666)。負債総額は37億3400万円。
産炭地域事業団の誘致工場として進出した昭和産業(株)(設立昭和41年3月)から福岡県小竹町にあるスプリットン工場を譲り受け、操業を開始した。主力製品である煉瓦サイズのインターロッキングブロック(カラーブロック)は景観歩道に使用されて高い販売シェアを誇り、U字溝、縁石などの汎用二次製品やブロックなども製造。得意先は大手ゼネコンから地元建設会社まで幅広く、ピークとなる平成9年4月期には42億3016万円を売り上げ2149万円の当期利益を計上した。
同期末には大栄コンクリート(株)(福岡県鞍手町)を買収。グループ4社を傘下に抱える中核企業として順調に業容を拡大していた。
しかし、以降は公共工事の縮小に伴い受注減に歯止めがかからず、M&Aによる相乗効果も発揮できにくくなり次第に業況が悪化。営業面では北九州市建設リサイクル資材商品認定や福岡県リサイクル製品認定を取得し、品揃えの強化に努める一方、昭和産業(株)の解散、外構造園業を手がける福昭住園(株)の吸収合併や大栄コンクリート(株)の事業継承などグループ再編に着手していたが、設備投資や新工場建設予定地の取得により膨らんだ過剰な金融債務が経営を圧迫していた。
このため、平成19年7月には金融機関から財務担当者を迎え入れ、同21年3月には代表取締役会長(CEO)が就任。以後、主力金融機関が企業再生手法のひとつで既存の債権を劣後化するデット・デット・スワップ(DDS)を実行したほか、サブメインバンクからは一定期間の債務棚上げなどの協力を得て財務の見直しを急ぎ再生に取り組んでいた。だが、受注環境は厳しく、同23年4月期の売上高は約24億6000万円にまで落ち込み、240万円の純損失で5期連続の最終赤字となるなど不振が続いていた。
関連サービス
人気記事ランキング
ラーメン店と好対照、中華料理店の倒産が低水準の謎
ラーメン店の倒産が過去最多ペースを辿るなか、中華料理店は対照的な動きをみせている。2024年1-8月の倒産はラーメン店が44件、中華料理店は7件と好対照だった。なぜ中華料理店の倒産は少ないのか。
2
全国の三セク鉄道 売上高トップは 「つくばエクスプレス」 三セク鉄道の約9割が輸送人員増も、6割が経常赤字
全国の第三セクター鉄道運営会社は、コロナ禍を経て9割が売上を伸ばした一方で6割が経常赤字から抜け出せず、地域によって明暗を大きく分けたことがわかった。 61社の2023年度の業績は、55社(構成比90.1%)が前年度から増収だった。ただ、経常赤字は37社で6割(同60.6%)と半数を超えた。
3
三井住友銀行をメインとする企業が10万社突破、東京・大阪・兵庫で強く
三井住友銀行をメインバンクする企業数が初めて10万社(10万442社)を超えた(8月21日号掲載、2024年全国メインバンク調査)。調査対象158万5,849社の6.3%がメインバンクに三井住友銀を選んでいる。
4
「想定為替レート」 平均は1ドル=143.5円 3期連続で最安値を更新
株式上場する主要メーカー109社の2024年度決算(2025年3月期)の期首の対ドル想定為替レートは、1ドル=145円が54社(構成比49.5%)と約半数にのぼることがわかった。 平均値は1ドル=143.5円で、前期から14.5円の円安設定だった。期首レートでは2023年3月期決算から3期連続で最安値を更新した。
5
企業が選ぶ次の自民党総裁は高市早苗氏 立憲民主党は野田佳彦氏
野党第一党の立憲民主党の代表選は9月7日に告示され、4人が立候補し、23日に開票される。また、与党第一党の自民党総裁選は9月12日に告示され、過去最多の9人が立候補し、27日に開票される。 世代交代も注目されるなか、企業に景気や自社ビジネスの発展に寄与すると思う候補者を聞いた。