(株)ゆたか環境緑化(土浦市沖宿町3476、設立平成9年6月、資本金3000万円、加藤一夫社長、従業員37名)は、12月7日東京地裁に破産を申請した。破産管財人は桑島英美弁護士(坂井・三村・相澤法律事務所、東京都港区虎ノ門4-13-13神谷町セントラルプレイス4階、電話03-6721-3111)。債権者はメンバーを中心に約7500名で、負債総額は414億9500万円。
同社は、ゴルフ場「ホワイトバーチカントリークラブ」の運営会社で、同ゴルフ場は所有企業からコースの賃貸契約を結び営業を行ってきた。しかし、経済環境の悪化等によるゴルフ人口の減少や、同業ゴルフ場との競争激化により来場者数が伸び悩み資金繰りも悪化、賃借料の遅延が発生した。このため、ゴルフ場の所有企業が水戸地裁に対し明け渡し請求訴訟を提起して請求容認判決を取得、同判決に基づき強制執行の申立を行ったことから12月5日に営業を停止、今回の措置となった。
陸山会事件で注目されていた水谷建設(株)(桑名市大字蛎塚新田328、設立昭和35年12月、資本金1億4550万円、水谷正之社長、従業員354名)は、12月31日大阪地裁から会社更生開始決定を受けた。12月1日、元社長で8月22日付けで解任された水谷紀夫氏から大阪地裁へ会社更生法の適用を申し立てられ、12月1日に同地裁から保全管理命令が下っていた。
これに対し、水谷建設は水谷正之社長名で大阪高裁に対し保全命令の取り消しを求めて即時抗告を行っていたが、同高裁は12月27日、「水谷一族の内紛問題であり、一族が経営者や株主であることは取引先にとって望ましくない」とし、抗告棄却を決定したことから更生手続が進められていた。
更生管財人は天野勝介弁護士(北浜法律事務所、大阪市中央区北浜1-8-16、電話06-6202-1099)ほか。負債総額は金融機関16社を含めた債権者約500名に対し約353億円。
同社は昭和8年1月創業で、重機械土木工事では国内大手の1社。大手ゼネコンと共同受注や下請けでダムや橋梁工事を手がけ、ピークの平成15年8月期の完工高453億7800万円を計上していた。最近はアルジェリアの高速道路建設、スリランカの道路工事など海外にも進出し、同22年8月期の海外売上高比率は約56%を占めていた。
こうした一方で、政治家との繋がりも噂され、小沢一郎民主党元代表の資金管理団体・陸山会をめぐる政治資金規正法違反事件で、水谷建設から陸山会へ約1億円の裏献金が渡った疑惑でも注目されていた。
(株)下村産業(枚方市山之上北町5-1、設立昭和49年10月、資本金5000万円、下村潔社長)は、11月22日に大阪地裁へ破産を申請、12月14日破産手続開始決定を受けた。破産管財人は大石武宏弁護士(北浜法律事務所・外国法共同事業、大阪市中央区北浜1-8-16大阪証券取引所ビル、電話06-6202-9548)。負債総額は208億5600万円。
同社は昭和26年創業で、土地を購入しその後自社で造成して販売することを主業務とするほか、土木や解体・建築工事なども手がけていた。官公庁や地元の有力企業を対象に営業地盤を形成し、昭和59年3月期には年商46億960万円を計上していた。
しかし、平成9年3月期には業況厳しく4億8684万円の赤字を計上し債務超過に転落、同12年頃から公共工事削減に加え工事単価が下落し一層業況は厳しくなった。同16年頃からは大阪府内で大規模な土地を取得し宅地造成を手掛けようとしたものの、造成許可が下りず多額の棚卸資産を抱えるようになった。これ以降、資金繰りが逼迫、同21年3月期には年商も6億7195万円にとどまるなど業績は低迷。その後の業況改善も期待薄と判断し、今回の措置を採った。
ドーヴァル海運(株)(中央区新川1-16-3、設立昭和48年8月、資本金4800万円、柳智啓社長、従業員45名)は、12月2日東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員は加々美博久弁護士(西内・加々美法律事務所、港区西新橋1-4-9、電話03-6203-2211)。負債総額は約149億1300万円(うち金融債務110億円で残額は未払傭船料が中心)。
同社は、日本とオーストラリア・ニュージーランド間の化学品類の輸送を目的に、昭和45年創業された。ケミカルタンカーに強みを持つDOVALグループの運行管理・保船業務を行うグループの中核会社で、メルボルン(豪)、ヒューストン(米)、ロンドン(英)に現地法人、大連に駐在事務所を構え、一時は自社船10隻含め約40隻を抱え船を増やしてきた。グループの資金調達窓口会社的な機能も担い、ピーク時の平成20年9月期には自社グループ所有の新造船や傭船3隻を南米・米国航路に投入したこともあって、年商235億8048万円を計上していた。
しかし、以降はリーマン・ショックに端を発する世界的な経済環境の悪化を受け、運航量・単価が下落。さらに、借入負担とともに船舶燃料油価格が高止まりするなどで運航経費負担が増加。平成22年9月期の年商は219億8458万円にとどまり営業損失も膨らんだことから、2億6678万円の最終赤字となっていた。ここ最近は自社船4隻含め9隻保有し、海外の金融機関からの資金調達などで凌いでいたが、円高に伴いドルベース収入が落ち込み、厳しい経営だった。
藤成商事(株)(大阪市北区芝田2-6-30、設立昭和58年3月、資本金2億5000万円、藤井伸貫社長、従業員22名)は、12月28日大阪地裁へ破産を申請した。申請代理人は森直也弁護士(WILL法律事務所、同区西天満4-6-8OLCビル、電話06-6130-8008)。負債総額は平成23年3月期末ベースで124億200万円。
同社は、セメント、生コンなどの建設資材の卸売業者として大手ゼネコンや商社筋に販路を築くほか、運送業者向けに燃料や潤滑油の販売なども手がけていた。東京にも支店を構え、グループ会社で生コンプラント工場を運営するほか、生コン輸送・販売などを手がける企業なども抱えてグループ力を強化。また、同業者の買収やグループ会社の統合などの効果により業容を年々拡大し、平成22年3月期に売上高177億6686万円を計上していたのに続き、同23年3月期には192億9704万円にまで業容を伸長させていた。
しかし、過去から売上に比して収益率は低く財務強化は進まず、関連会社への多額の支援のほか、積極的な拡大策によって不良債権の発生も見られ資金面は余裕のない推移が続いていた。そうした中、11月30日の決済目処が立たなくなったことから、今回の措置となった。
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