(株)人間と産業開発研究所(大阪市淀川区西中島4-2-6、設立昭和48年8月、資本金3237万円、倉原忠夫社長)は10月31日、大阪地裁から破産手続開始決定を受けた。破産管財人は野村剛司弁護士(なのはな法律事務所、大阪市北区西天満4-3-4御影ビル、電話06-6311-7087)。現時点で債権者は1万人以上が見込まれ、1人当たり100万円程度の被害から推定し、負債総額は100億円。
同社は、昭和53年2月に通称「H&M研究所」として実質的に事業を開始。経営心理トレーナー、ビジネスカウンセラーとして経営コンサルタント業を展開。また、その傍らで、未公開株の投資セミナーや講演などを多数開催し、個人投資家に出資を募るなどして業容を拡大。平成17年2月期には年商90億8427万円を計上し、13億6414万円の当期純利益を計上していた。
しかし、業容拡大をする一方で、平成19年頃から、価値の低い未公開株購入を参加者に対して勧誘し購入させ損害を与えたとして、損害賠償を求めて複数の訴訟提起がなされていた。その後も、「上場間近」「値上がり確実」として1口30万円以上で未公開株の購入を勧めていたほか、匿名の投資組合への出資を募るなどして投資家の勧誘を進め、多数の被害者が出ていた。
そうした中、未公開株の被害者から損害賠償を求める裁判で敗訴判決を受けたものの、その支払い能力がないとして平成22年12月20日、債権者から破産を申し立てられていた。
名阪開発(株)(伊賀市西之沢1598、設立昭和49年8月、資本金7000万円、河井隆廣社長、従業員40名)は、11月28日大阪地裁へ民事再生法の適用を申請した。監督委員は苗村博子弁護士(苗村法律事務所、大阪市北区西天満2-6-8堂島ビルヂング711、電話06-4709-1170)。ゴルフ場は通常通り営業を行っている。負債の大部分は会員からの預託金で、総額約100億円。
同社は、昭和56年9月に当地で名阪ロイヤルゴルフクラブをオープン。平成8年頃には大阪市内の企業の傘下に入り運営を続け、近年3~4億円の売上高を計上していた。
しかし償却負担などから数年間は大幅赤字が続き、平成20年12月期は年商4億2237万円に対し7億9336万円の赤字を計上、大幅な債務超過に陥っていた。同21年12月期は年商4億8867万円に拡大し黒字を計上したが、同22年12月期は猛暑の影響などで年商3億5078万円に低下し1160万円の赤字に転落していた。
会員からの多額にのぼる預託金の大部分については、同期決算で会員の了解を得て資本剰余金に振り替えることで、債務超過を解消していた。しかし、賃借しているクラブハウスについて物件の所有者とトラブルが発生、事業継続を優先するため民事再生手続を進めることとした。
東金属(株)(江戸川区松江1-22-14、設立昭和30年6月、資本金5000万円、坂本清彦社長、従業員43名)は11月24日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は青木丈介弁護士(銀座ファースト法律事務所、中央区銀座1-7-6、電話03-3538-1011)ほか。負債総額は87億3100万円。
同社は、業歴が半世紀を超える総合リサイクル会社。同業他社の買収や吸収合併を繰り返し、産業廃棄物収集・運搬・処理業許可、フロン・蛍光灯回収破砕処理許可を取得するほか、非鉄金属・鋼材販売、建造物・設備総合解体業に業容を拡大。資源高を背景とするスクラップ相場の上昇も寄与し、ピークとなる平成20年5月期には年商107億9999万円を計上した。
しかし、リーマン・ショック後の急激な景気後退からスクラップ相場が急落し、平成21年5月期の年商は74億1122万円に低下、さらに同22年5月期には65億3525万円にまで落ち込み連続して赤字を計上した。同23年5月期は東日本大震災の発生により一時的に受注が減少したものの、その後受注を持ち直したほか、スクラップ相場の上昇もあり年商は81億7957万円に回復。反面、収益は仕入値高騰分を価格転嫁できず営業損失を免れず、3億8931万円の赤字となり債務超過に転落した。
今期は年商90億円を計画していたが、東日本大震災による東北地方の震災屑の影響で期初から受注が伸び悩み、さらにスクラップ相場の落ち込みもあり、売上は下げ止まらず赤字が拡大して自力再建を断念し今回の措置となった。
米山紙商事(株)(品川区大井1-22-13、設立昭和29年6月、資本金9000万円、米山和夫社長、従業員80名)は、11月7日東京地裁に破産を申請した。破産管財人は永沢徹弁護士(永沢総合法律事務所、中央区日本橋3-3-4、電話03-3273-1800)。負債総額は70億円9600万円。
同社は、昭和24年に創業した紙の専門商社。品川区を拠点に横浜、川崎、相模原などに支店を設け、洋紙を中心に板紙、封筒、カードなど幅広い分野の商品を扱っていた。また一時は同業卸問屋と共同で立ち上げた運輸、物流倉庫業にも進出したが上手くいかず資金的な負担を招いていた。販売先は全国の印刷業者や出版社などに地盤を構築し、ピーク時の平成10年5月期は約170億円を計上していた。
しかし、取引先への不良債権が散発していたほか採算の悪化で業績は右肩下がりを続け、平成23年5月期には年商81億5155万円、赤字1149万円となっていた。このため、主力仕入先の商社から支援を受け再建を目指していたが、業績改善には結びつかず、同23年8月には主力仕入先の商社から債権譲渡登記を設定されていた。
赤字の累積から平成23年5月決算時点では6億2613万円の債務超過となり、10月末の支払い見通しも立たないことから今般の措置に至った。
協栄観光(株)(糸魚川市大野1161、設立平成1年4月、資本金5480万円、木島允社長)は11月17日、新潟地裁高田支部から破産開始決定を受けた。破産管財人は馬場秀幸弁護士(馬場秀幸法律事務所、上越市大手町7-1、電話025-521-0533)。負債総額は56億1700万円。
同社は、平成3年2月に「ホテル糸魚川」を開業し、約20年にわたりホテル業を手がけてきた。しかし、開業当初から慢性的な赤字経営が続いており、同21年3月期末時点では約56億円の債務超過にまで膨らんでいた。
また、平成22年にはホテル建物について債権回収会社からの不動産担保権の行使が行われ、2度の競売の結果、同23年1月に地元企業が落札。売却決定後も当該企業と営業継続の交渉を続けてきたが不調に終わり、同23年7月15日をもって全従業員を解雇、ホテル営業を終了した。そのため再建も営業継続もできない中で多額の固定資産税等の支払の見通しが立たなくなり、今回の措置となった。
関連サービス
人気記事ランキング
「介護事業者」の倒産が急増 過去最多を上回るペース コロナ禍、人材獲得、物価高の三重苦で「息切れ」が加速
長引く人手不足とコロナ禍のダメージ蓄積、物価高など、厳しい経営環境が続く介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産増に歯止めがかからない。1-8月の「介護事業者」倒産は114件(前年同期比44.3%増)で、介護保険法が施行された2000年以降、同期間最多の2020年(85件)を大幅に上回った。
2
1-8月「税金滞納(社会保険料含む)」倒産が123件に 新たな再生支援への取り組みには、金融支援がカギ
「税金滞納(社会保険料含む)」を一因とした倒産が、2024年1‐8月で合計123件(前年同期比127.7%増)と急増している。すでに、7月までに年間最多だった2018年の105件を上回り、年間200件を超える可能性も出てきた。
3
2024年1-8月 上場企業「早期退職」募集41社 募集人数は前年1年間の2.2倍、7,104人に急増
2024年1-8月に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は41社(前年同期28社)で、2023年の1年間の41社に並んだ。また、対象人員は7,104人(同1,996人)と前年同期の3.5倍に達し、2023年の年間3,161人の2倍以上に急増している。
4
1-8月「粉飾決算」倒産 コロナ禍以降で最多の11件 バンクミーティング、支援要請での「粉飾」発覚が増加
赤字や資金の不正流出などを隠ぺいする「粉飾決算」の発覚による倒産が、2024年は1‐8月で11件(前年同期比83.3%増)と急増している。このペースで推移すると、2020年の14件を上回り、コロナ禍以降では年間最多を更新する可能性が出てきた。
5
「想定為替レート」 平均は1ドル=143.5円 3期連続で最安値を更新
株式上場する主要メーカー109社の2024年度決算(2025年3月期)の期首の対ドル想定為替レートは、1ドル=145円が54社(構成比49.5%)と約半数にのぼることがわかった。 平均値は1ドル=143.5円で、前期から14.5円の円安設定だった。期首レートでは2023年3月期決算から3期連続で最安値を更新した。