(株)アーム電子(八王子市叶谷町1055、設立昭和55年6月、資本金10億6647万円、佐藤雅美社長、従業員200名)は、8月23日東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には渡辺昭典弁護士(成和明哲法律事務所、港区虎ノ門4-3-1城山トラストタワー31階、電話03-5408-6160)が選任されている。負債総額は約62億円。
同社は、産業用電子機器から民生用機器に至る電子・電気機器の試作用プリント基板設計・製造を手がけ、少量・多品種・短納期の生産に強みを持っていた。本社工場と八王子四谷工場を開設する他、神奈川県、栃木県、千葉県、長野県、愛知県、大阪府、福岡県にも営業所を開設し、平成16年12月株式をジャスダック市場に上場、同20年5月期の売上高は41億4000万円を計上していた。
しかし、価格競争激化から売上の低迷と収益の低下を余儀なくされ、リーマン・ショック後の世界的な不況に伴う需要減退もあり、平成21年5月期の売上高は29億2900万円まで落ち込み、損益は当期損失12億9200万円と4期連続の赤字計上に転落。また、不動産取得を含めた設備投資に加え、子会社買収のための借入負担が財務を圧迫していたこともあり、取引金融機関に対し借入金の返済スケジュールの緩和を要請。同期の有価証券報告書において、「継続企業の前提に関する事項」(ゴーイングコンサーン)が注記されていた。そのような状況下、販売単価の見直し、経費削減等により収益の改善に取り組んでいたが、同22年2月、子会社である(株)ダイヤテックにおいて不適切な会計処理が発覚したことで信用が低下、受注減少に歯止めがかからず、自主再建を断念し、民事再生法適用申請による再建を選択した。
香流産業(株)(名古屋市名東区藤見が丘56、設立平成19年8月、資本金8000万円、廣瀬隆偉社長、従業員4名)は、8月4日岐阜地裁より破産手続開始決定を受けた。破産管財人には小椋功弁護士(小椋法律事務所、岐阜市美江寺町1-27、電話058-266-6951)が選任された。負債総額は43億5000万円。
同社は、リニモ公園西駅近くにおける宅地開発事業を目的として、岐阜県の富加工業(株)(岐阜県加茂郡、廣瀬隆偉社長)が70%、残りの30%を半田市の建設業者が出資する形で法人化した。しかし、平成22年5月末に親会社の富加工業(株)が資金繰りに窮し経営破たん(平成22年7月破産申請)したことで事業継続が困難となり、連鎖する形で今回の措置に至った。
和田金属工業(株)(多可郡多可町八千代区下野間33-169、設立平成5年7月、資本金1000万円、青木良治社長、従業員80名)は、事後を茂木立仁弁護士(神戸H.I.T法律事務所、神戸市中央区御幸通7-1-15、電話078-200-3066)、他3名に一任し、破産を申請した。負債総額は約39億円。
同社は、各種機械の板金製品製造業者。前身は昭和29年5月設立の和田金属工業(株)(大阪府豊中市)で、同社の経営不振から、メインバンク主導で平成18年1月会社分割により優良な資産(事業)を現・和田金属工業(平成5年7月設立)に移管して再スタートしたもの。自動販売機、ATM、OA機器、医療機器等のフレーム、筐体の板金製作により、分割後の2期目にあたる同19年6月期には売上高20億8605万円を計上していた。
しかし、平成20年6月期以降は、増産態勢にあった「たばこ用自動販売機」の需要に急ブレーキがかかったほか、世界同時不況による全般的な需要落ち込みにより業績が低迷。そのため同22年3月にはメインバンクとの間でDDS(デット・デット・スワップ)契約を締結し、資金運営の改善をもとに経営再建に努めたが、思うように受注環境は改善せず、先行きの見通し難から事業継続を断念した。
石本紙工(株)(東大阪市新喜多1-1-34、設立昭和44年1月、資本金7300万円、石本由起子社長、従業員120名)は、事後を宮崎裕二弁護士(宮崎法律事務所、大阪市北区西天満2-6-8堂ビル211、電話06-6363-1678)に一任して、8月18日大阪地裁に破産を申請した。負債総額は約39億4300万円。
同社は、昭和40年創業のオフセット印刷および製本加工業者。折り込みチラシ、パンフレット、ポスター、DM、カタログなど幅広いニーズに対応、大手・中小印刷業者の下請受注を主体に一般企業などにも受注基盤を形成。平成4年8月期には年商約48億5000万円を計上していた。以降も年商は40億円台で一進一退の推移をたどり、業界環境が低迷する中でも一定の売上高を維持していた。同18年12月には兵庫県丹波市の氷上工業団地にて大型の工場用地を取得し、同20年6月の操業をめざして10数億円の投資を実施していた。
ところがその後の経済情勢の悪化により、同20年4月には建築工事の継続を断念。この大型投資負担が重荷となり資金繰りは急速に悪化することとなった。
この影響などから金融機関に追加担保を供与させられたほか、債権譲渡登記も複数設定されるなど資金調達手段は手詰まりの状態にあった。そうしたなか平成21年10月には代表者の交代などもあり信用不安が急速に高まりを見せるなかで業績も低迷、直近年商も30億円以下まで低下した。最近も受注環境が改善せず、ここへきて事業継続が困難になった。
(株)シモカネ(下関市椋野町3-18-12、設立昭和26年2月、資本金1000万円、真部良孝社長、従業員35名)は、8月30日山口地裁下関支部から破産手続開始決定を受けた。破産管財人には臼井俊紀弁護士(下関第一法律事務所、山口県下関市細江町1-6-1、電話083-228-2070)が選任された。負債総額は約38億円。
同社は、大正7年に金物店として創業、昭和26年2月に法人化と同時に家庭電化製品の卸売を併営した。平成13年から自社ホームページによるネット販売にも着手し業務を拡大、低価格路線で一般顧客にも拡販してきた。同21年1月期では液晶テレビ、カーナビ、エアコン関連の販売が好調に推移して売上は98億円を計上していたが、薄利多売で利益率は低下、有価証券の売却損もあって損失計上であった。その後、大幅な消費低迷と同業者間との競合激化で販売量が激減、同22年1月期では売上は55億円にまで落ち込み、加えて回収不能の大口の不良債権が発生、資金繰りに支障を来たすようになり、同22年2月山口県中小企業再生支援協議会の下、再生計画を模索していた。
こうした中、8月2日に資金がショートし、取引先との交渉も不調に終ったことから法的手続に踏み切った。
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