(株)プロパスト(渋谷区恵比寿1-30-1、設立昭和62年12月、資本金41億6945万円、津江真行社長、従業員33名)は、5月14日東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には土岐敦司弁護士(成和明哲法律事務所、港区虎ノ門4-3-1、電話03-5408-6160)が選任された。負債総額は554億4700万円で、不動産会社の負債総額では今年最大。日本で初めてジャスダックにおける上場廃止基準の特例規定に従って、上場維持しながら民事再生法による再生を図るとしている。
同社は、不動産鑑定、コンサルティングを目的として昭和62年12月に(株)フォレストアイとして設立。平成4年1月にマンションディベロッパーに事業転換するとともに、社名を(株)プロパストに変更。デザイナーズマンションの自社分譲を手がけ、シリーズ展開はせず、マンション名称を1つ1つ違う名称とし、棟別の特性を活かした物件販売で同業との差別化を図り、業容を拡大してきた。
同18年12月にはジャスダック上場を果たし、連結子会社16社、持分法適用関連会社2社とともにグループを形成。最近では東京建物、伊藤忠都市開発との共同で江東区有明に大型分譲マンション「ブリリアマーレ」の販売をおこなっていたほか、従来の分譲に加え、SPCへの一棟販売も行い、業績は毎期伸張基調で推移。同20年5月期には売上高1021億5800万円をあげ、最終利益も110億8000万円を計上した。
しかし、平成21年5月期に入ってからは不動産市況の急激な悪化に伴い、売却が予定通りに進まず売上高は916億900万円に落ち込み、また都心部地価の大幅な下落による棚卸資産の評価損計上により最終利益は268億5900万円の損失となり、債務超過に転落した。
平成22年5月期に入り市況は改善せず、1月、2月には東京都及び東京国税局に販売用不動産及び預金口座が差し押さえられ、このため3月5日から社員24名を対象に15日間一時帰休を実施(3月23日終了)した。
(株)エービー産業(大阪市住吉区長居東4-11-4、設立昭和45年7月、資本金5000万円、福木宏幸代表清算人、従業員5名)は、5月10日特別清算手続の開始決定を受けた。申請代理人は片岡牧弁護士(堂島法律事務所、大阪市中央区北浜2-3-9八木ビル2F、電話06-6201-0361)。負債総額は約234億円。また、関連会社のオーエヌ信用(株)(大阪市東住吉区矢田3-6-4、設立平成1年10月、福木宏幸代表清算人)も、5月10日大阪地裁から特別清算の開始決定を受けた。負債総額は約12億円。(株)富士エステートコーポレーション(大阪市住吉区長居東4-11-4、設立平成2年1月、石﨑國男代表清算人)も、3月31日に解散し5月14日に大阪地裁へ特別清算を申請した。負債総額は約20億円。
(株)エービー産業は(株)富士工務店の商号で設立された会社で、建売を主業務とするほか、不動産賃貸業務も手がけていた。順調に業容を拡大し、バブル期の昭和63年2月期には年商85億円を計上していた。しかし、バブル崩壊以降はこれをピークに減収を余儀なくされ、建売事業から住宅建築事業に舵を切ったものの、多額の不良資産を抱え度々赤字を計上、平成16年2月期には債務超過に転落した。その後は保有不動産を売却するなどで売上を計上していたが、同21年2月期は年商17億円にまで減少した。こうした状況下でも借入の圧縮は進展しなかったため、同21年9月に(株)富士工務店(本社同所、平成20年12月設立、資本金50万円、福木宏幸社長)と(株)富士木材(本社同所、昭和25年9月、資本金3000万円、内田幸一社長)の2社に対し会社分割を行い、同社は清算する方針を採った上で、同22年3月31日の株主総会の決議により解散していた。
(株)富士エステートコーポレーションは神戸市内で不動産の売買を手がけていたが、その後休眠状態にあり、3月31日株主総会の決議により解散していた。オーエヌ信用(株)は不動産の売買等を事業目的としていた。
(株)コマーシャル・アールイー(中央区八重洲1-5-4、設立昭和55年6月、資本金32億5420万円、甲斐田啓二社長、従業員129名)は、5月6日東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には宮川勝之弁護士(東京丸の内・春木法律事務所、千代田区丸の内3-3-1、電話03-3213-1081)が選任された。負債総額は155億6000万円。
同社は、平成7年10月にジャスダックに上場したプロパティマネジメント事業会社。事業系不動産プロパティマネジメント事業と賃貸収益をベースとした不動産有効活用・投資・ファンド組成を主要業務とするアセットマネジメント事業を展開し、ピーク時の平成20年3月期には年商465億4500万円を計上していた。
ところが、サブプライムローン問題に端を発する世界的な景気の減速に伴い不動産市場が急激に悪化。事業系不動産開発物件の価格が大幅に下落し、投資用アパートを中心とした住居系事業でも、不動産の購入者に対する融資環境の悪化から販売不振や価格を下げた販売を余儀なくされた。平成21年3月期第2四半期決算で大幅な損失を計上したことからコミットメントライン契約の財務制限条項に抵触、新規の資金調達が困難となり、資金繰りが急激に悪化。このため、金融機関と協議を行い同22年6月末までの返済猶予を得て経営再建に取り組んでいた。
しかし、有利子負債の圧縮も進まず、平成22年3月期第2四半期より大幅な債務超過に転落。同年3月期連結決算の売上高は377億3000万円に対し、34億3000万円の最終損失を見込むなど業績は好転せず、今後の債務弁済の見通しが立たなかった。
ニッセイ電機(株)(渋谷区広尾1-3-18、設立昭和36年7月、資本金3億2128万円、相澤正人社長、従業員208名)は、5月21日東京地裁に破産を申請した。申請代理人は内田公志弁護士(内田・鮫島法律事務所、港区西新橋1-20-3、電話03-5511-6211)。負債総額は100億6100万円。
同社は、昭和34年4月長野県岡谷市で日本精密電気研究所として創業。創業以来、フィルムコンデンサ専業メーカーとして事業を拡大させ、同60年12月期には売上高101億6100万円を計上した。平成2年にはアルコトロニクス社(イタリア)を買収、その後も上海、香港、シンガポールに現地法人を設立するなど積極的にグローバル化を推し進めた。
しかし、海外投資に思うような効果が出ず、海外子会社の株式処分損などから多額の損失を計上し、債務超過に転落。また、上海の生産現地法人が上海万博の都合で立ち退きを要請され、代替生産拠点として六和電子(江西)有限公司と合弁会社を設立するも、移転に際し合理化を実施したことが現地労働者に受け入れられず労働争議が勃発。争議が治まった後も中国行政府側の方針が二転三転したことで移管産業が予定通り進まず、生産能力低下を招く事態が生じた。
ここ数年、リーマン・ショックの影響も大きく響き、平成20年12月期には営業損失を計上。同21年12月期には業界全般に回復の兆しが窺われ受注も増加傾向にあったが、中国での生産体制が追いつかず売上高は約26億円にとどまり、2期連続営業損失を余儀なくされた。最近では、スポンサー企業と債務免除などの再建策を交渉していたが、4月末にかけて大口債権者が預金及び売掛金を差し押さえたことで事業継続に支障をきたし、5月6日事後処理を弁護士に一任した。
千葉興業(株)(千葉市中央区今井1-19-14、設立昭和28年5月、資本金1500万円、田中秀幸社長、従業員20名)は、5月19日東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。申請代理人は松田純一弁護士ほか7名(松田綜合法律事務所、東京都中央区京橋2-8-7、電話03-3562-7271)。負債総額は約97億円。
同社は、昭和28年5月に鋼材・スラグ販売を目的として設立。鋼材・鉄鋼二次製品などの販売を事業内容に大手ゼネコンを中心に販路基盤を形成して、平成19年3月期は年商77億4604万円、同20年3月期は年商78億1921万円と売上が順調に伸びた。同21年3月期は空港関連の受注などから年商88億8952万円まで拡大した。しかしこうした一方で、損益は過去に発生した不良債権の処理などで当期純損失329万円を計上していた。
その後、平成21年4月30日に旭鉄工(株)(福岡県博多区)の倒産で、約3億5000万円の不良債権が発生した。さらに関連会社にも約2億2000万円の焦げ付きが発生した。このため取引銀行の支援を取り付けて立て直しを図っていたが、業況を打開できなかった。
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