(株)ジョイント・コーポレーション(目黒区目黒2-10-11、設立昭和48年3月、資本金208億3404万円、東海林義信社長、従業員160名)及び、関連子会社の(株)ジョイント・レジデンシャル不動産(旧商号:(株)エルカクエイ、同所、設立昭和24年2月、資本金30億円、川島勝文社長)は、5月29日東京地裁に会社更生手続開始を申し立てた。申立代理人は松嶋英機弁護士(港区赤坂1-12-32、西村あさひ法律事務所、電話03-5562-8500)ほか14名。負債総額は、(株)ジョイント・コーポレーションが1476億円、(株)ジョイント・レジデンシャル不動産が204億円。
同社は、昭和61年9月(株)ジョイントとして創業し、平成1年9月(株)ジョイント・コーポレーションに商号変更。同9年4月に株式の額面金額を変更するため別会社(昭和48年3月設立)を存続会社として合併し、商号を(株)ジョイント・コーポレーションとした。同10年11月に株式を店頭登録、同11年11月に東証二部に上場、同13年3月には東証一部へと指定替えを果たした。
創業当初は首都圏を中心とするマンション分譲を主力としていたが、平成13年頃には賃貸マンションや商業施設などの新規開発物件をファンド等に売却する不動産流動化事業に参入。自社開発の分譲マンション「アデニウム」を中心とする不動産分譲事業と不動産流動化事業を二大柱として全国展開していた。また不動産販売事業を行う(株)エルカクエイ(同12年2月会社更生手続開始申立)のスポンサーとなり、(株)エルカクエイは早期弁済にて同17年7月に更生手続を終結させていた。最近は熱海市でのリゾートマンションの開発なども積極的に行い、連結子会社約50社を抱え、同20年3月期は連結ベースで過去最高となる年商約1877億8500万円(不動産流動化事業61.8%、不動産分譲事業29.7%)、経常利益230億6000万円を計上した。
しかし、その後の金融市場の信用収縮及び金融機関の融資姿勢の厳格化に伴い、不動産の流動性低下と価格の下落が顕著となった。このため、平成20年9月にオリックスグループからの資本参加を受け、総額99億9900万円の第三者割当増資を行った。同21年3月期は不動産流動化事業が前期比78.0%減の255億5500万円に大幅低下。このため、同期の総売上高は1195億8300万円にまで落ち込み、たな卸資産の収益性低下による簿価切下げ影響等により営業損失480億9100万円、さらに繰延税金資産の取り崩しなどから当期純損失は645億5500万円と大幅な赤字決算に陥った。その後、金融機関に支援協力も行ってきたが、調整がつかなかったとしている。
(株)研精舎(大田区下丸子2-28-10、設立昭和31年4月、資本金2億500万円、水谷渉社長、従業員385名)は、5月25日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には中村清弁護士(港区西新橋2-6-2、富士法律事務所、電話03-3580-1021)が選任された。 負債総額は185億2600万円。
同社は、昭和28年に創業、同31年4月に法人化した精密部品メーカー。新潟県柏崎市内及び長岡市内に5拠点、更にマレーシア国内に1拠点の工場を擁し、国内大手電気メーカーを得意先に精密部品切削・機械加工、金型製造を行い、近年は、携帯音楽プレーヤー「iPod」の受注増を受けて、平成15年1月期には約81億4800万円だった年商が、同20年1月期には約164億8176万円に倍増した。
しかし、平成20年9月のリーマン・ショック以降の世界同時不況の影響を受けて家電機構部品、自動車関連部品の受注が急減。また国内事業のハードディスク部門に新規参入企業が出現して価格競争が激しさを増すなか、円高が重なり同21年1月期の年商は139億9761万円まで下落し、17億6412万円の経常損失を計上していた。業績の急激な落ち込みに加え、金融市場の信用収縮により資金調達が困難となり、今後の決済資金の手当が見込めず今回の申立となった。
日本総合企画(株)(小平市美園町2-2-18、設立昭和57年10月、資本金9500万円、銭場茂社長、従業員18名)は、5月18日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には小林克典弁護士(千代田区麹町4-2-1、麹町パートナーズ法律事務所、電話03-3234-2941)が選任されている。負債総額は150億4400万円。
同社は、商業ビルを中心としたビルの賃貸管理及びサブリース事業を主体とするほか、不動産の企画管理、コンサルタント・マネジメントなどの事業を展開。取扱物件は鉄道の駅周辺が多く、自社賃貸ビル、サブリース受託ビル、企画管理ビルは100カ所以上。平成17年には大型のサブリース物件である「アクア木更津」(旧:木更津そごうが入居していたビル)をオープンさせるなど積極的に事業を展開、同20年3月期の年商は約55億5400万円を計上していた。
しかし、不動産市況の低迷から業況が急変。需要の減退から案件が減少するほか、資産価値の下落や多額の金融債務が重荷となるなど経営状態が悪化。このため、不良資産の売却等の各種合理化に努めていたが、今後の資金繰りのめどが立たず、今回の措置となった。
(株)日光霧降カントリークラブ(渋谷区代々木2-9-6、登記上:栃木県日光市所野1538-18、設立平成14年5月、村上恒雄社長、従業員6名)は、5月15日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には富永浩明弁護士(中央区銀座7-12-14、富永浩明法律事務所、電話03-3544-0381)が選任されている。負債総額は110億円。
同社は、平成6年5月にオープンした「日光霧降カントリークラブ」(18H)の経営を目的に、ゴルフ場・会員制リゾートクラブの運営会社から分割する形で設立した。同ゴルフ場は日光霧降高原にひろがるリゾートコースだったが、最近は来場者数の減少により同20年12月期の年商は約2億円にとどまっていた。また、今年5月には預託金の償還期限を迎えることから、会員に対して株主会員への転換を提案。約90%の会員から同意が得られていたものの、一部会員との交渉が進展しなかったため、株主会員への転換を確実に進める目的で、今回の申立となった。
(株)グランメール(千代田区神田佐久間町4-16、設立平成9年6月、資本金4000万円、内海さやか社長、従業員12名)は、5月1日東京地裁に破産手続開始を申し立て、5月20日に開始決定を受けた。破産管財人は田口和幸弁護士(中央区八重洲2-8-7、阿部・井窪・片山法律事務所、電話03-3273-2600)。負債総額は106億円。
同社は、平成9年に自社企画マンションの分譲業者として設立。暫く営業した後に休眠状態となったが、同14年4月に関連のパル興産(株)から、自社企画分譲業務を引継ぎ再稼動した。最近では商社、不動産ディベロッパー、リートなどを取引先として、自社建築のオフィスビル、マンションの販売などを手がけ、都心の大型物件の扱い増加に伴い業績は伸長。同20年3月期には年商90億円を計上していた。
しかし、財務面は以前より借入依存度が高く、特に昨年からはサブプライムローンに起因した金融機関における融資姿勢の変化に伴い資金繰りは多忙化。業績面も不動産市況の冷え込みに伴い苦戦に転じていた。そうした中、平成20年9月に千代田区に建設したオフィスビル(売価60億円)に買い手が付かなかったことから、資金繰りは逼迫。再度の資金ショートを起こし、5月8日行き詰まりを表面化した。
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