辻産業(株)(佐世保市光町177-2、設立昭和14年5月28日、資本金3億円、辻恒充社長、従業員151名)は、12月12日東京地裁に会社更生手続開始を申し立て、同日保全命令がおりた。申立代理人は松嶋英機弁護士(東京都港区赤坂1-12-32、西村あさひ法律事務所、電話03-5562-8500)。保全管理人は小杉丈夫弁護士(東京都千代田区内幸町2-2-2、電話03-3500-0331)。負債総額は債権者約686社に対し741億4200万円。
同社は、明治21年に創業、昭和14年佐世保自動車工業(株)の商号で設立、同20年10月現商号に変更した。事業内容は、従来からの主力製品であるハッチカバー、デッキクレーン、ガントリークレーン、チップアンローダ-装置等の船舶機械製作・据付を主力に、橋梁・鉄構の製作・据付や船体ブロック、船体居住区の加工などを手掛けていた。本社工場と平成15年11月から操業開始した中国工場(当社の100%出資で現地法人「辻産業重機有限公司」で運営)の2ヶ所で製作・加工しており、中国工場は当社からの委託により主に船体ブロックやハッチカバー等船舶関連機器を加工していたが、同18年8月に造船事業に進出以後は造船業務が主体となっていた。
海運業界、造船業界の好調に支えられて近年受注が好調に推移、平成16年5月期115億7400万円だった売上は、以後毎期増収が続き同20年5月期には253億1300万円と大幅に増加していた。この間、同18年8月にはグループとして造船事業に参入、デンマークの企業等から3万トン級のバラ積み船や小型不定期船などの受注を中心に2000億円以上の受注を確保、今後の事業拡大が期待されていた。
しかし、中国工場への投資や既往の設備投資、運転資金等の有利子負債が資金面を圧迫。また、造船事業進出に伴い、現在グループで進めている中国の新工場建設なども絡み、資金的に厳しくなり今回の事態に至った模様。
日昭興産(株)(東大阪市旭町2-2、設立昭和48年7月23日、資本金1000万円、西尾健二社長)は、10月31日大阪地裁へ破産手続開始を申し立て、11月14日開始決定を受けた。破産管財人は柴田昭久弁護士(大阪市中央区北浜3-6-13日土地淀屋橋ビル、弁護士法人淀屋橋・山上合同、電話06-6202-0877)。負債総額は417億円(うち約150億円は関連会社に対する保証債務)。
同社は、昭和43年12月創業。分譲住宅を中心に不動産販売を行いバブル期に業容を拡大、平成1年6月期には年商40億9018万円を計上していた。しかし、販売用・賃貸用不動産に対する積極的な投資で借入金が膨張、またバブル崩壊により多額の含み損を抱えるようになった。以降は営業を継続しながら保有不動産の売却を進めていたが、概ね目処がついたこともあって残債の整理のため今回の措置となった。
ダイア建設(株)(新宿区新宿6-28-7、設立昭和51年3月、資本金71億8144万円、加治洋一社長、従業員354名)は、12月19日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は松村正哲弁護士(千代田区丸の内1-6-5、森・濱田松本法律事務所、電話03-5223-7755)ほか4名。負債総額は300億円。
同社は、昭和51年3月五光住宅(株)として法人化、同年8月ダイヤモンド建設(株)に商号変更、同52年6月現商号となったマンション分譲会社。平成1年12月東証2部に上場した。「ダイアパレスシリーズ」など、これまでに全国で約2000棟、約11万戸(同19年3月末現在)のマンションを供給している。バブル期の平成3年3月期には年商2306億8100万円を計上し、海外のリゾートマンション・コンドミニアムなどの販売も行なっていた。バブル崩壊後はこれらの在庫が重荷となり、同10年3月期には年商2003億3500万円にとどまり、377億6600万円の最終赤字を計上していた。
その後も不動産価格の下落などの影響により一段と経営が悪化、多額の不良債権・不稼動資産を抱え、同15年3月期には実質自己資本が大幅な債務超過に陥った。このため、同15年8月に産業再生機構の支援企業第1弾として、同年末に金融機関より900億円超の債権放棄を受けていた。
しかし、昨今の資材価格高騰、建築基準法改正による工事遅延等により収益が悪化し、分譲マンションの新規着工が困難となり、徐々に資金繰りに窮していった。平成20年3月に関連会社3社を売却したほか、完成在庫を一括処分し経営改善に努めたが、今回の金融危機によりマンション需要が急速に縮小。同20年10月以降はマンション分譲・販売が大きく落ち込み、同年12月の支払のための資金繰りに窮することとなり、民事再生手続を申し立てた。
(株)フレッグインターナショナル(渋谷区恵比寿4-20-3、設立平成5年4月、資本金5億7000万円、藤本保雅社長、従業員91名)は、12月18日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は高木裕康弁護士(千代田区丸の内3-3-1、東京丸の内・春木法律事務所、電話03-3213-1081)。負債総額は257億1300万円。
同社は、平成5年1月創業、同年4月法人化された不動産売買・仲介会社。都内港区・渋谷区を中心に、高級デザイナーズマンション及び商業デザインビルなどの売買・仲介を主業に、不動産のアセット・プロパティマネジメント事業及び不動産ファンドの組成業務なども行い、ピーク時の同18年9月期には年商255億5200万円を計上していた。
しかし、販売用不動産の増加などにより財務面は圧迫、多額の借入金が経営の重荷となっていた。また、不動産市況悪化により物件売却が進まず業績不振に陥り資金繰りは悪化、今回の申立となった。
キクオカ綜業(株)(岐阜県恵那市山岡町下手向786-100、設立昭和59年2月18日、資本金5000万円、菊岡深智子社長)は、12月4日名古屋地裁に民事再生手続開始を申し立て、同日監督命令が下りた。申立代理人は榊原正治朗弁護士(名古屋市中区丸の内3-15-3、セントラル法律事務所、電話052-953-6873)、監督委員には服部一郎弁護士(名古屋市中区丸の内2-1-37、服部一郎法律事務所、電話052-221-5955)が選任された。負債総額は債権者約4900名に対して250億円(このうち預託金が約226億円)。
同社は、山岡カントリークラブ(昭和62年10月オ-プン)、笹平カントリークラブ(平成3年11月オープン)を運営、ピークの平成5年1月期に売上高28億1600万円を計上していた。しかし、バブル崩壊の影響やゴルフ人口の減少により減収基調に転じたうえ、ゴルフ場建設への投資負担もあって億単位の赤字を連続計上し、債務超過となっていた。平成19年8月には地代の滞納により債権者から破産を申し立てられたため(現時点で開始決定は下りていない)信用不安が表面化、直近の同20年1月期の売上高も約9億5000万円まで減少するなど厳しい運営が続いていた。
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