こうして倒産した

2006年(平成18年)5月度こうして倒産した・・・
東京臨海副都心建設(株)
  • 東京
  • 不動産業
負債総額
1440億円
 

 東京都の第三セクターで臨海副都心地区のビル賃貸事業を手掛ける(株)東京テレポートセンター(江東区有明3−1−25、設立平成1年4月、資本金176億1500万円、齋藤康三社長、従業員82名)と東京臨海副都心建設(株)(同所、設立昭和63年11月、資本金220億円、同社長、従業員2名)、竹芝地域開発(株)(同所、設立昭和62年7月、資本金150億円、同社長、従業員1名)の3社は、過大投資から経営が行き詰まり5月12日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。

 申立代理人は浜中善彦弁護士(新宿区四谷4−1、電話03−5919−1236)ほか4名。監督委員には須藤英章弁護士(千代田区麹町3−3、電話03−3265−0691)が選任されている。負債は東京テレポートセンターが約1170億円東京臨海副都心建設が約1440億円竹芝地域開発が約1190億円で3社合計約3800億円。

 東京テレポートセンターは、平成1年4月東京都の「臨海副都心開発事業化計画」における「東京テレポートタウン」開発構想に基づき、東京都と民間の共同出資による第三セクターとして設立された不動産賃貸会社。主な事業は(1)同社が所有するテレコムセンタービル及び台場、青梅、有明の各フロンティアビル及びニューピア竹芝ノース・サウスタワー等のビル賃貸事業(91.6%)、(2)東京臨海部における共同構、公園、駅前広場などの管理受託(3.2%)、(3)臨海副都心地域に敷設した光ファイバー網を利用した情報通信事業(2.7%)、(4)「東京夢の島マリーナ」の施設管理事業(2.3%)などを行い、平成17年3月期には年商243億600万円をあげていた。

 だが、バブル期の過大投資に加え、賃料収入が計画の半分程度にとどまり経営が悪化し平成9年度には債務超過となっていた。平成10年4月より臨海関係第三セクターの経営安定化をはかるため、東京都の指導のもと、同社と東京臨海副都心建設、竹芝地域開発の3社が実質的に統合する10年間の経営安定化策を実行。東京都と金融機関から借入金残高の維持と金利引下げなどの支援を得ていたが、経営状況は改善されず17年9月中間期において減損会計の導入により債務超過額が3社合計で1400億円まで膨らみ、自力での再建が困難となったことから、取引金融機関の債権放棄を求めるため民事再生手続開始を申し立てることになった。

 また、東京臨海副都心建設は、東京都の基本計画に基づき、臨海副都心区域内の都市基盤施設整備、都市づくりにおけるモデルビル(フロンティアビル)賃貸等を目的に昭和63年11月に設立。

 竹芝地域開発は「竹芝ふ頭再開発事業の基本計画」(昭和60年9月策定)に基づき、老朽化した竹芝ふ頭の再開発、業務施設・商業施設・都市ホテル等都市機能施設の整備・運営等を目的に昭和62年7月に設立されたが、両社も債務超過状態が続き、債務返済が困難となったことから民事再生手続開始を申し立てることになった。

 なお、臨海三セクの今後の方針として(1)債権者(金融機関、都など)から債務免除を受けるとともに、減資を行なう。(2)3社は合併して、ビル事業、インフラ管理等を行なう新会社を設立する。(3)都に対して新株を発行して出資(現物出資)を受ける、としている。また、都において持株会社「臨海ホールディングス(仮称)」が設立され、臨海地域にある各監理団体(東京臨海熱供給(株)、(株)ゆりかもめ、(株)東京ビッグサイト、(財)東京港埠頭公社(民営化後))が子会社化する予定で、民事再生手続開始を申し立てた東京テレポートセンターなども経営基盤が強化された段階で子会社化する方針。

(株)北海道ゴルフ倶楽部
  • 北海道
  • ゴルフ場経営
負債総額
260億円
 

 (株)北海道ゴルフ倶楽部(苫小牧市錦岡440−1、設立昭和62年9月、資本金1億円、唐木澤康光社長、従業員6名)は5月11日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は三村藤明弁護士(東京都港区虎ノ門1−6−12、電話03−3519−8321)ほか2名。監督委員には高木裕康弁護士が選任されている。負債は債権者約1300名に対し約260億円。

 同社は昭和62年9月に設立されたゴルフ場経営会社。平成3年6月「北海道ゴルフ倶楽部苫小牧コース」をオープン、同ゴルフ場は道央自動車道苫小牧西インターチェンジの近隣に位置し、288万平方メートルの敷地に18ホール、7123ヤード、パー72と18ホール、6644ヤード、パー72の2コースで構成、平成9年12月期には年商約5億円をあげていた。

 しかし、不況と同業との競合による利用客の減少や料金の値下げで業績が低迷していたうえ、平成11年3月から開始した預託金の返還も殆ど進まず、現状での自力再建が困難な状況から民事再生法による再建を選択した。

 なお、スポンサーに(株)アーバンクラシック(東証1部上場会社の(株)アーバンコーポレイション100%子会社)が決定している。

(株)エルエルシー
  • 熊本
  • 不動産賃貸
負債総額
239億円
 

  (株)エルエルシー(熊本市出仲間6−11−3、設立昭和54年9月、資本金3億2000万円、大久保英二清算人)は5月22日、熊本地裁から特別清算開始決定を受けた。負債は約239億円。

 同社は昭和54年9月、スーパーマーケットの経営を目的に設立。その後大手総合スーパーの(株)壽屋(現:(株)カリーノ)に買収され、壽屋グループの1社となっていた。

 平成11年2月に旧:(株)ラララカードを吸収合併し、(株)エステート九州からラララカード(株)に商号変更。その後は壽屋関連店舗での買い物カードの発行、グループ会社への不動産賃貸、さらにはグループ内のファイナンス業務を手掛け、平成13年2月期には約57億円の売上高を計上した。

 しかし、平成13年12月に(株)壽屋及び壽屋グループ13社が民事再生手続開始を申し立てたことで業況は一変。翌14年2月までに壽屋の全店舗が閉鎖し、ラララカード(株)としてはカード事業から実質撤退せざるを得ない状況となった。その後は保有する不動産の賃貸業務を手掛けてきたが、平成17年2月期は3億1100万円まで売上高が落ち込んでいた。この間、特別損失の計上などで赤字が累積し、平成17年2月末時点で約232億円の債務超過に陥っていた。

 その様な中、(株)CRCに対して不動産賃貸部門を承継させる吸収分割を行なうこととなり、平成18年3月に会社分割を実施。4月にラララカード(株)から現商号の(株)エルエルシーに変更していた。そして同4月の臨時株主総会で解散を決議、残った負債を整理するため特別清算手続開始を申し立てた。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
負債額順にまとめた記事はこちら

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

丸住製紙(株)~ 倒産した地元の“名門”製紙会社の微妙な立ち位置 ~

2月28日に新聞用紙の国内4位の丸住製紙(株)(四国中央市)と関連2社が東京地裁に民事再生法の適用を申請してから2週間が経過した。負債総額は約590億円、債権者数は1,000名以上に及ぶ。愛媛県では過去2番目の大型倒産で、地元の取引先や雇用への影響が懸念されている。

2

  • TSRデータインサイト

「人材関連サービス業」の倒産、過去10年で最多 人手不足と過当競争に加え、福利厚生も負担に

深刻な人手不足で、転職や人材関連市場が活況を呈している。だが、その一方で、職業紹介業や人材派遣業などの「人材関連サービス業」で倒産が増加していることがわかった。

3

  • TSRデータインサイト

142年目の大転換、官報電子化で破産公告が検索不可に ~ プライバシー保護強化、与信業界は影響懸念 ~

いまから142年前。政府が1883(明治16)年7月、「官報」を創刊した。4月1日、官報の「正本」が紙から電子版へ移行する。

4

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

5

  • TSRデータインサイト

丸住製紙、上限15億円の当座貸越枠 ~ 「自主再建・リスケ」の私的整理、成立も延命できず ~

2月28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した丸住製紙(株)(TSRコード:810006448、四国中央市)の債権者が約1000名に上ることがわかった。

TOPへ