(株)マコト企業(千代田区神田司町2−13、設立昭和46年2月、資本金9000万円、江原正博社長、従業員2名)は3月10日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は約600億円。
同社は昭和46年2月に設立されたビル賃貸業者。設立当初はゴルフ場の管理業務を主体としていたが、昭和50年代より不動産業に進出、旧・住専の日本住宅金融(株)(平成8年解散)などからの借入金により都内各地に賃貸ビルを建設、ピーク時の平成2年1月期には年商277億5900万円をあげていた。
しかし、バブル崩壊、地価下落により保有資産の価値が大幅に下落。1000億円を超える借入返済が事実上困難となり、以降は大幅な赤字経営が続いていた。このため、社有ビルの売却などにより借入金の圧縮に務め、15年期は債務免除を受けるなどで一時的に黒字転換していたが、債務超過状態が続き債務圧縮を進めるため今回の申立となった。
サムトラスト(株)(神戸市中央区琴ノ緒町1−6−2、設立昭和62年4月、資本金5000万円、西井正博代表)とほか6社は3月13日、神戸地裁より破産手続開始決定を受けた。サムトラストの負債は約320億9500万円、関連含めた7社合計では約789億1700万円。
7社は全て平成7年5月に経営破綻した旧・兵庫銀行に関連した企業。サムトラスト(株)は同行の融資先で金融業を手掛けていたが、約320億円の負債を抱え、平成10年6月に解散していた。他の6社も平成9年から11年にかけて全て解散している。
ミサワキャピタル(株)(新宿区西新宿2−4−1、設立平成11年10月、資本金4億9000万円、中村克彦代表)は2月23日開催の株主総会で解散を決議、3月22日東京地裁より特別清算開始決定を受けた。負債は約251億円。
同社は平成11年10月にミサワホーム(株)(新宿区)の100%子会社として設立。同グループのファイナンス事業の一環として金銭貸付業務、保険代理業務などを手掛け、平成16年3月期は年商約13億5000万円をあげていた。しかし、地価下落など外部環境の悪化などから多額の不良債権を抱えて過剰債務を抱えていた。
そうした中、平成16年12月に産業再生機構によるミサワホームホールディングスグループ31社の支援が決定。17年3月に債権買取が決定したほか、スポンサーとしてトヨタ自動車などによる資本提携が行われた。
今回の事態は、グループの事業再生計画に基づきノンコア事業である同社の清算が決定、「貸付債権の処分等会社清算に向けた処理に目処がついた」として特別清算手続開始を申し立てた。
東洋リアルエステート(株)(港区南青山5−10−6、設立昭和53年12月、資本金2億4000万円、藤野堯久社長)と関連会社の東洋プロパティー(株)(同所、設立昭和58年6月、資本金1000万円、同代表)、東洋リアルサービス(株)(同所、設立昭和58年6月、資本金1000万円、同代表)の3社は3月17日、東京地裁に破産手続開始を申し立て、29日開始決定を受けた。負債は東洋リアルエステートが債権者10名に対し202億9784万円、東洋プロパティーが債権者5名に対し18億7552万円、東洋リアルサービスが債権者1名に対し8億7086万円。
東洋リアルエステートは昭和53年12月に設立された不動産売買業者。「オリエントコート」シリーズのマンション分譲や事務所ビル分譲などを手掛け、バブル期の不動産ブームに乗り急速に業績を拡大、ピーク時の昭和62年12月期には年商82億5500万円をあげていた。しかし、バブル崩壊の影響により平成2年以降は業績が悪化、地価の下落で大幅な赤字に転落していた。このため、マンション等の分譲事業から撤退し、本社ビルをはじめ所有資産の売却を進めていたが、借入負担が重く経営に行き詰まり、実質平成12年までに事業を停止し休眠状態にあった。
関連会社の東洋プロパティーは昭和58年6月に不動産仲介の目的で設立され、また、東洋リアルサービスは不動産賃貸・管理目的で設立されたが、東洋リアルエステートに連鎖する形でそれぞれ休眠状態にあった。
西宮マリナシティ開発(株)(西宮市西宮浜4−14−3、設立平成3年4月、資本金4億円、和田勇代表)は、昨年12月31日開催の株主総会で解散を決議、3月7日神戸地裁より特別清算手続開始決定を受けた。負債は約142億3000万円。
同社は大手住宅メーカー、積水ハウス(株)の100%出資子会社で、西宮市の人工島・西宮浜で大規模住宅開発事業「西宮マリナパークシティ」プロジェクトを手掛けるために設立された。プロジェクトは、当初都市近郊型リゾートの開発を目的にスタート、マンション・ホテル・商業施設などの建設に加え、1300艇を収容する国内最大のヨットハーバーの整備を行っていた。だが、バブル崩壊後の環境変化に加え、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災への対応を踏まえ、1750戸の住宅建設事業に転換、同社はプロジェクト用地を分譲マンションや戸建住宅用分譲の用地として販売、平成15年1月期には年商17億4800万円をあげていた。
しかし、地価の下落に伴う所有土地の評価損から多額の赤字を計上、17年1月期決算の時点で135億1900万円の債務超過に陥っていた。こうした中、開発事業が完了し同社の目的が終了したことで、債務整理のため特別清算手続開始を申し立てた。
なお、積水ハウスは同社の清算に伴い貸付金約136億円の債権放棄を実施するが、同債権は平成14年1月期中に貸倒引当金として計上しており、業績等には特段の影響はないとしている。
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