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「取引相場のない株式評価」見直し、認知は36.6% 見直しの場合、評価額が「上昇見込み」は半数超える

~ 「取引相場のない株式評価」アンケート調査 ~


 国税庁はことし4月以降、 「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」を断続的に開催し、非上場企業の株式の相続評価について見直しを進めている。国内企業の大半は非上場のため、見直しとなった場合、実務への影響は避けられない。
 だが、こうした動きを「知っている」と答えた企業は36.6%にとどまり、4割に届かなかった。9月16日には、経済産業省・中小企業庁が有識者会議に「業種や経営状況に応じた個別具体的なケース別、類型別及びマクロでの分析・試算を示し、丁寧に検証・議論すべき」との意見を提出し、注目を集めている。

 東京商工リサーチは、「取引相場のない株式評価」についてアンケート調査を実施した。学習塾や自動車整備業、福祉・介護事業者は、見直し議論の認知度が2割以下だった。こうした業種は社会インフラの一部を担っているが、人手不足の影響を受けやすく、経営資源の集約による大規模化や収益力の向上が経営課題になっている。
 税制を考える際、被課税者の意向は別にしても、経営効率を改善するための投資などに悪影響が出ると、結果として税収自体にも影響が出かねない。
※本調査は、2026年10月1日~8日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答5,257社を集計・分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。



Q1.非上場株の相続評価について、国税庁は有識者会議を開催して見直しを進めています。これをご存知ですか?(択一回答)

◇「知っている」は36.6%にとどまる
 「知っている」は36.6%(5,257社中、1,925社)、「知らない」は63.3%(3,332社)だった。規模別でみると、大企業(資本金1億円以上)の46.0%(376社中、173社)が「知っている」と回答したのに対し、中小企業(資本金1億円未満、個人企業等)では35.8%(4,881社中、1,752社)にとどまった。
 「知っている」と回答した企業を業種別(中分類、母数10以上、規模問わず)でみると、トップは「輸送用機械器具製造業」の61.1%(54社中、33社)だった。
 「知らない」は、学習塾や英会話教室などを含む「その他の教育,学習支援業」が83.3%(24社中、20社)で最も構成比が高かった。

Q1.非上場株の相続評価について、国税庁は有識者会議を開催して見直しを進めています。これをご存知ですか?

Q2.Q1で「知っている」と回答された方に伺います。見直された場合、貴社の株式評価額にはどのように影響しますか?(択一回答) 

◇「上昇しそうだ」が過半
 Q1で「知っている」と回答した企業のうち1,604社から回答を得た。
 最も多かったのは、「上昇しそうだ」の56.2%(902社)だった。「影響はなさそうだ」は39.9%(641社)、「下落しそうだ」は3.8%(61社)。
 規模別では、大企業では「上昇しそうだ」が47.0%(151社中、71社)にとどまったのに対し、中小企業では57.1%(1,453社中、831社)に達した。
 「上昇しそうだ」と回答した企業を業種別(中分類、母数10以上、規模問わず)でみると、文房具やゲーム用品、パレットなどを含む「その他の製造業」が84.6%(13社中、11社)で最も構成比が高かった。
 「下落しそうだ」では、「パルプ・紙・紙加工品製造業」の17.6%(17社中、3社)がトップだった。

Q2.Q1で「知っている」と回答された方に伺います。見直された場合、貴社の株式評価額にはどのように影響しますか?



 今回の調査で、取引相場のない株式の評価が見直された場合、評価額が「上昇しそうだ」と回答した業種は上位に製造業が多くを占めた。サプライチェーンがグローバル化、高度化し、品質保持と価格競争力の向上には投資余力の確保が欠かせない。税の公平性の観点と、見直しが及ぼす影響を同列で論じることは難しいが、最終的に国力が削がれては元も子もない。
 一方、中小・中堅企業政策が資金繰り支援から成長支援へ急速に舵が切られるなか、非上場であるが故に透明性が低く、ガバナンスや社会通念上、問題を抱える企業への眼差しも厳しくなっている。補助や助成の成果が社会全体に還元されず、オーナーやその一族に偏るように映る場合、富の再分配として機能する税制に期待の声が高まることも予想される。
 中小・中堅企業への有形無形の支援には熱心なものの、規律強化や経営力向上の実効力改善に踏み込み切れなかった政府・官庁も振り返りが必要だろう。
 企業は政策や税制によって経営戦略を大きく揺さぶられ、時には廃業を決断することもある。こうしたことを念頭にした議論の深化が求められる。

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