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2025年度上場企業「内部統制の不備」は41社・42件 関連部門の人材不足が課題の企業も目立つ

~ 2025年度 全上場企業「内部統制不備の開示企業」調査 ~


 2025年度(4-3月)に自社の内部管理体制の不備を開示した上場企業は41社(42件)だった。2012年度以降、最多の2024年度の58社(58件)から減少したが、2021年度と並び3番目に多かった。
 2025年度は、ニデック(株)(プライム)、KDDI(株)(プライム)など、業界を代表する企業で内部統制不全の事例が相次いだ。ただ、上場各社や監査法人は、これまで以上に監査機能の強化を図っており、その効果が出た格好となった。2025年度の不祥事の事例は、大企業でも潜在的な内部統制不全の可能性を示すもので、継続的な実態把握の取り組みと強化がますます重要になっている。

 上場企業は、自社の財務諸表やその他の財務情報の適正性を確保するため、必要な内部統制体制について評価した内部統制報告書を事業年度ごとに金融庁への提出が金融商品取引法で義務付けられている。内部統制報告書は、投資家保護の観点から2006年に義務化された。
 財務情報を正しく管理する体制が構築されているか自己評価し、「有効」、「開示すべき重要な不備があり、内部統制は有効ではない」、「表明できない」のいずれにあたるか記載し、内部統制の有効性を外部監査人が監査する。
 2025年度の42件を内容別でみると、会計処理の誤りなどの「決算・財務報告プロセスの不備」が21件(構成比50.0%)で最多だった。次いで、監査機能の不全や役職員のコンプライアンス意識の不足などを起因とする「全社的な内部統制の不備」が19件(同45.2%)と続く。

※本調査は、自社開示、金融庁・東京証券取引所などの公表資料に基づく。上場企業、有価証券報告書提出企業を対象に、「財務 報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備」について開示した企業を集計した。
※同一企業が調査期間内に内容を異にした開示を行った場合、社数は1社、件数は2件としてカウントした。
※業種分類は、証券コード協議会の業種分類に基づく。上場の市場は、東証プライム、スタンダード、グロース、名証プレミア、メイン、ネクスト、札証、アンビシャス、福証、Q-Boardを対象にした。

「内部統制不備」開示社数(年度推移)


「決算・財務報告プロセスの不備」が21件で最多

 2025年度に内部統制の不備が開示された42件では、内容別の最多は、経理や会計処理ミスなどの「決算・財務報告プロセスの不備」の21件(前年度比12.5%減)で、全体の50.0%と半数を占めた。
 次いで、監査機能の不全や役職員のコンプライアンス意識の不足などの「全社的な内部統制の不備」の19件(同36.6%減)、商流における売上計上時期を適切に把握していなかったなどの「業務プロセスの不備」の2件(同50.0%減)と続く。
 2022年度から2024年度の3期は「全社的な内部統制の不備」が最多だった。だが、不適切会計開示企業の「誤り」を原因とする割合が、「着服横領」や「粉飾」と比べても増加しており、2025年度は「決算・財務報告プロセスの不備」が「全社的な内部統括の不備」を逆転し、最多となった。

「内部統制不備」件数内容別 年度推移

市場別 最多はスタンダードの18社

 市場別では、スタンダードが18社(構成比43.9%)で最多。次いで、グロースが12社(同29.2%)、プライムが11社(同26.8%)で続く。
 ダイワ通信(株)(開示当時スタンダード)は2025年9月、売上を本来計上すべき時点よりも早く計上するなど、内部統制の不備を2度にわたりリリースした。開示以降、株価は低迷し、流通株式時価総額の上場維持基準を下回ったことで、2026年3月25日上場廃止となった。

「内部統制不備」市場別 年度推移

業種別 最多はサービス業の12社

 産業別では、サービス業が12社(構成比29.2%)で最も多かった。次いで、製造業の10社(同24.3%)、情報通信業の7社(同17.0%)と続く。
 サービス業の(株)サイバーエージェント(プライム)、情報通信業のKDDI(株)(プライム)は、アフィリエイト広告事業に関わる内部統制の不備を公表した。2社とも当該事業のビジネスモデルの特殊性が不備を招いたとしており、同業界の各社は取引の透明性の確保が一層求められる。

「内部統制不備」業種別 年度推移



 2025年10月に内部統制の不備を開示した(株)トーシンホールディングス(スタンダード)は2026年5月8日、東京地裁に会社更生法の適用を申請、同日開始決定を受けた。
 管財人の下での内部管理体制の改善など、諸課題に対処するための異例の申請となった。
 同社の不適切な会計には元代表の重要な関与が認められたほか、上場会社のトップとして必要な倫理観・誠実性を欠く元代表の下で、ガバナンス不全に陥ったことなどを指摘された。
 信用が失墜しており、今後は管財人の管理下で元代表の影響力を排除し、上場維持したまま内部管理体制の改善を進める方針だ。

 内部管理体制では、経理人員が不十分で確実な決算業務の遂行が不可能なことも指摘された。経理の組織体制が不十分であることは、上場・非上場を問わず多くの企業が抱える課題である。2025年度開示の内部統制の不備でも、開示した41社中、15社が関連部門の人材不足または担当者の知識不足を原因に挙げており、人員体制の強化は各企業にとって急務といえる。
 ニデック、KDDIなど大手企業の内部統制の不備が相次いでいる。信頼を維持するため、金融庁や東京証券取引所の処分方針にも注目が集まる。上場各社は人員体制強化に加え、コーポレートガバナンスやコンプライアンスの意識を徹底し、内部統制の不備を防ぐ風通しの良い組織の構築も急務となっている。

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