• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「生成AI」 大企業の約6割が組織で活用推進 将来的に人員配置・抑制の見直し検討 53.4%

~2026年4月「生成AI」に関するアンケート調査~


 ビジネスや日常生活のあらゆる場面で、生成AIの存在感が日増しに高まっている。東京商工リサーチが行った生成AIに関する企業向けアンケート調査で、生成AIツールを「会社として活用を推進」している企業は20.3%(1,289社)で、5社に1社に達していることがわかった。
 また、「方針は決めていない」企業は37.5%で、前回調査(2025年8月)の50.9%から大幅に低下した。
 中小企業では、組織・個人のどちらの活用も広がる局面にあるが、大企業では個人利用が減少し、組織的な本格導入へ軸足が移り始めている。 

 「生成AI」活用について、大企業は「会社として活用を推進する」との回答が36.4%(455社中、166社)で最も高く、前回調査から10ポイント以上伸びた。一方、「個人で活用していることもある」は前回19.4%(116社)から今回18.9%(86社)と0.5ポイント低下した。
 「生成AI」の活用で、今後5年以内にホワイトカラーの早期退職を募集する可能性が「ある」と回答した企業は3.6%(211社)で、生成AIが直ちに大規模な人員削減につながる状況にはない。
 ただ、活用を進める企業では、今後の人員構成に「影響はない」との回答は46.5%と半数を切り、「既存業務の効率化で、従業員を配置転換する可能性がある」との回答が28.9%あった。大企業を中心に、生成AI活用による既存業務の効率化で、人員構成の見直しを検討している。
 企業規模や業種により、生成AIの受け止め方や活用の進捗具合に差がみられる。だが、導入は着実に広がっている。生成AIの活用効果は、単なる業務効率化にとどまらず、社内体制の見直しまで幅広く波及するフェーズに突入しつつあるようだ。
※本調査は、2026年3月31日~4月7日、企業を対象にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答6,327社を集計、分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。


Q1.貴社では、生成AIツールの業務活用を推進していますか?(単一回答)

■「方針は決めていない」が37.5%で最多だが、前回調査から大幅に低下
 生成AIツールの業務活用の推進状況は、「方針は決めていない」が37.5%(6,327社中、2,374社)で最も多かった。次いで、「個人で活用していることもある」27.1%(1,718社)、「会社として活用を推進」20.3%(1,289社)と続く。
 前回調査と比べ、企業の取組み姿勢に変化が出てきた。「方針は決めていない」は前回50.9%(3,388社)から、今回37.5%(2,374社)へ13.4ポイント低下した。一方、「会社として活用を推進」は前回13.8%(919社)から、今回20.3%(1,289社)に6.5ポイント上昇、「個人で活用していることもある」も前回22.3%(1,482社)から、今回27.1%(1,718社)で4.8ポイント上昇した。生成AIは、様子見の姿勢が後退し、全社導入や部門導入、個人利用を含めた活用がジワリと広がっている。

Q1.貴社では、生成AIツールの業務活用を推進していますか?

規模別 大企業で活用の進展が目立つ

 規模別では、大企業では「会社として活用を推進」が36.4%(455社中、166社)で最も高く、「部門によっては活用を推進している」の22.6%(103社)を合わせ、半数超が組織的な活用を進めている。
 一方、中小企業は「方針は決めていない」が38.7%(5,872社中、2,276社)で最も多く、次いで「個人で活用していることもある」が27.7%(1,632社)だった。「会社として活用を推進」は19.1%(1,123社)、「部門によっては活用を推進」は13.2%(776社)で、どちらも2割未満にとどまり、大企業に比べ組織としての活用は進展していない。
 前回調査との比較では、「会社として活用を推進」と「部門によっては活用を推進」を合算した組織的な活用状況は、大企業が前回43.3%(259社)から今回59.1%(269社)で15.8ポイント上昇した。中小企業も前回23.4%(1,420社)から今回32.3%(1,899社)に8.9ポイント上昇したが、大企業の上昇幅の大きさが目立った。
 一方、「個人で活用していることもある」は、中小企業が前回22.5%(1,366社)から今回27.7%(1,632社)で5.2ポイント上昇に対し、大企業は前回19.4%(116社)から今回18.9%(86社)で、0.5ポイント低下した。

規模別 大企業で活用の進展が目立つ

産業別 組織的AI活用率は情報通信業の64.4%がトップ

 産業別では、「(全社で・部門毎に)活用を推進」は、情報通信業が64.4%(349社中、225社)で最も高く、金融・保険業が42.4%(66社中、28社)、サービス業他が38.5%(1,282社中、494社)で続いた。一方、「方針は決めていない」は、農・林・漁・鉱業53.9%(63社中、34社)、建設業47.3%(952社中、451社)で高く、組織的導入が進む業種がある一方、活用方針の明確化が進まない業種もみられた。

産業別 組織的AI活用率は情報通信業の64.4%がトップ

Q2.貴社では今後5年以内にホワイトカラー(事務や企画など)の従業員に対する早期退職を募集する可能性はありますか?(単一回答)

■「(早期退職を募集する可能性)ある」が3.6%
 5年以内にホワイトカラー人材を対象にした早期退職募集の可能性について、「ある」は3.6%(211社)だった。今後を見据えてホワイトカラー人材の削減を視野に入れる動きも一部でみられるが、現時点では大規模な削減より、配置転換や業務見直しなどで対応する企業が中心とみられる。
 規模別では、「ある」は中小企業が3.7%(5,367社中、200社)で、大企業の3.0%(364社中、11社)を0.7ポイント上回った。
 産業別・規模別では、「ある」が5%以上は分母の少ない大企業の小売業のみで、直ちに人員削減が広がる状況にはないようだ。

Q2.貴社では今後5年以内にホワイトカラー(事務や企画など)の従業員に対する早期退職を募集する可能性はありますか?

Q3.今後5年を考えた際、生成AIツールの活用は貴社の人員構成にどのような影響を与えますか?可能性が最も高いものをお選びください(単一回答)

■「人員構成への影響はない」が46.5%
 Q1で「会社として活用を推進」、もしくは「部門によっては活用を推進」と回答した企業に、今後の人員構成への影響を聞くと、「人員構成への影響はない」が46.5%(2,088社、971社)で最大だった。何らかの影響があると回答した企業は53.4%(1,117社)で、「既存業務の効率化で、従業員を配置転換する可能性がある」28.9%(605社)、「既存業務の効率化で、総従業員数を抑制する可能性がある」16.1%(337社)が続き、現時点では新規事業の立ち上げによる構造改革よりも既存業務の効率化を通じた人員再配置が中心となっている。
 規模別では、大企業は「既存業務の効率化で、従業員を配置転換する可能性がある」が46.7%(115社)で最も高く、中小企業の26.6%(490社)を大きく上回った。生成AIの活用に伴う人員面への影響は、配置転換を軸に、大企業でより具体化が進んでいる。

Q3.今後5年を考えた際、生成AIツールの活用は貴社の人員構成にどのような影響を与えますか?可能性が最も高いものをお選びください。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

4

  • TSRデータインサイト

「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。10月1~8日企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明

デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。

TOPへ