• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「塗装工事業」の倒産143件 23年ぶり高水準 イラン情勢で塗料価格が急騰、価格転嫁に注目

~ 2025年度「塗装工事業」倒産動向 ~


 塗料などの資材高騰に加えて、慢性的な人手不足、顧客の争奪戦などが長引き、塗装工事業者の倒産が急増している。2025年度は143件(前年度比22.2%増)で、過去20年で最多だった。統計を開始した1989年度以降では、2002年度の162件以来、23年ぶりに140件を超えた。
 現在、イラン情勢で石油製品「ナフサ」の供給懸念から、塗料メーカーは値上げに踏み切り、2倍近い約80%アップに価格改定したシンナー製品もある。市場の競争と資材高騰、人手不足など、深刻な内憂外患を抱え、塗装工事業者は難局に直面している。

 2025年度(4-3月)の「塗装工事業」の倒産(負債1,000万円以上)は143件(前年度比22.2%増)と大幅に増えた。倒産は、2013年度から100件を下回り、コロナ禍の2021年度は57件にまで減少した。だが、2024年度は再び増勢に転じて117件に増え、2025年度は143件と1989年度以降、ピークの2000年度の164件に迫る5番目の高水準だった。
 143件の倒産原因は、8割超が「販売不振」(117件、構成比81.8%)、1割超(同13.2%)が赤字累積の「既往のシワ寄せ」で、業績不振が直結する2原因が大半を占めた。また、資本金別は、資本金1,000万円未満が133件(同93.0%)と、小・零細企業が中心だった。
 長引く業績低迷に陥った小規模の塗装工事の息切れが目立つ。さらに、ホルムズ海峡の事実上の封鎖でナフサの安定供給も懸念され、大手塗料メーカーはシンナー価格を7割から8割の値上げを実施した。メーカーが仕入れる原料が上昇しているとみられ、供給を維持するため出荷調整をしているメーカーもある。
 すでに3月から塗料向けシンナーの値上げが実施され、品不足も生じている。それだけ値上げピッチが早く、在庫の少ない小・零細の塗装工事業者への影響が大きい。工事の受注価格も大幅値上げを迫られるが、価格競争が激しく値上がり分の引き上げは容易ではない。競争力の弱い小・零細規模の塗装工事業者の脱落が2026年度はさらに増える可能性が高まっている。
 
※ 本調査は、日本産業分類(細分類)の「塗装工事業」を抽出し、統計開始の1989年度から2025年度までの倒産を集計、分析した。

塗装工事業の倒産件数 年度推移

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

賃金上昇、従業員退職による倒産が過去最多 8月の「人手不足」倒産 8月では最多の32件

2026年8月の「人手不足」倒産は、32件(前年同月比39.1%増)だった。8月としては、前年の23件を大幅に上回り、最多を更新した。1-8月は333件(前年同期比38.7%増)で、年間最多ペースが続く。

2

  • TSRデータインサイト

出版業の倒産急増、利益も悪化傾向 ~ 存続に向けた書店との直取引、目指す姿と課題 ~

電子書籍が普及するなか、紙の書籍を主体に手掛ける老舗出版社を中心に、「出版業」の倒産(負債1,000万円以上)が急増している。 2026年1-7月の「出版業」の倒産は21件(前年同期比90.9%増)で、2019年同期の21件以来7年ぶりに20件を超えた。

3

  • TSRデータインサイト

「フィットネスクラブ」の倒産が過去最多を更新へ 1-8月は26件、市場拡大もレッドオーシャンの兆し

拡大するフィットネス市場で、「フィットネスクラブ」の倒産が急増している。2026年1-8月は26件(前年同期比160.0%増)と前年同期の2.6倍に達し、2023年同期の16件を抜いて過去最多を更新した。 現在のペースで推移すると、2026年は年間最多の2023年の27件を上回り、40件台も視野に入ってきた。

4

  • TSRデータインサイト

泥臭い再生支援と粉飾決算、銀行員の「違和感」~ 「実務家座談会」を開催(後編)~

(後編)事業再生に携わる金融機関は企業にどう向き合うのか。東京商工リサーチ(TSR)は、事業再生に携わる金融機関の担当者に、取り組みの現状や事例、特色、留意点などを聞いた。

5

  • TSRデータインサイト

「半導体関連メーカー」生成AI普及で業績好調 売上トップはキオクシア、TSMC日本子会社は売上高約143倍

生成AIの普及やデータセンター向け需要拡大で、国内の主要半導体関連メーカーの業績が好調だ。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約440万社)から、全国の主な半導体関連メーカー154社の2025年度業績を分析した。

TOPへ