2025年度「焼肉店」の倒産 2年連続で過去最多の57件 輸入牛肉の高騰と大手参入で、中小・零細店の苦境続く
~ 2025年度「焼肉店」倒産動向 ~
輸入肉の価格高騰に加え、人手不足や物価高のなか、「焼肉店」の倒産が2年連続で過去最多を更新した。2025年度の「焼肉店」倒産は57件(前年度50件)で、コロナ禍の優等生だった「焼肉店」が窮地に立たされている。
2025年度(4-3月)の「焼肉店」倒産(負債1,000万円以上)は、57件(前年度比14.0%増)だった。57件のうち、資本金1千万円未満(個人企業含む)が約9割(89.4%)の51件で、小・零細店舗が大半を占めた。一方、負債総額は1億円以上10億円未満が10件(前年度7件)に増え、中小・中堅企業まで広がっている。
2011年4月、大規模な食中毒事件で焼肉店のイメージは大きく低下した。影響は全国に広がり、2012年度の倒産は過去最多(当時)の33件が発生した。その後、衛生管理の徹底や一人焼肉、希少部位の提供、食べ放題など、様々な営業強化が功を奏し、倒産は年間20件前後に減少した。
また、コロナ禍は高い換気能力が強みとなって、客足が途絶えた他の飲食店をよそに来店客が増加した。さらに、コロナ支援の効果もあって、2020年度から22年度は20件を下回って推移した。
だが、好調だった焼肉業界に大手チェーンが相次いで参入し、円安で輸入牛肉の価格も高騰した。こうしたコスト上昇を値上げで転嫁すると、客足が落ち込む。大手は潤沢な資金と仕入量でコスト削減につなげ、価格競争で優位に立っている。
2024年度は、販売不振(売上不振)が48件(構成比96.0%)と大半を占めたが、2025年度は46件(同80.7%)に低下した。一方、赤字累積の「既往のシワ寄せ」が4件(前年度ゼロ)に増え、「他社倒産の余波」(同ゼロ)と「事業上の失敗」(同1件)は各3件で、倒産原因が多様化をみせている。
「焼肉店」に行かなくなった利用者は、「昔は一皿、数百円で食べられたが、何度も値上げされ1,000円を大きく超える部位も増えた。焼肉は高級料理になっている」とため息をついた。
コメの価格は落ち着いてきたが、他の食材は依然として上昇している。このため、小・零細の「焼肉店」は苦戦を強いられ、2026年度は60件台に突入する可能性もある。
値上げで高級化路線を目指すのか、価格競争で勝ち残る道を選ぶのか、独自のサービスで差別化するのか。逆風が続く「焼肉店」の難局は、当分続きそうだ。
※ 本調査は、日本産業分類(細分類)の「焼肉店」を抽出し、統計開始の2008年度から2025年度までの倒産を集計、分析した。
