2025年の倒産企業は、7割が“債務超過” 3期連続経常赤字 最終赤字は6割超
~2025年「倒産企業の財務データ分析」調査~
2025年に全国で倒産した企業のうち、7割(71.1%)を超える企業が倒産直前の最新期で債務超過だったことがわかった。2期前の前々期の61.8%から9.3ポイント上昇し、倒産に追い込まれるまで急速に財務内容が悪化していることを示している。
また、最終赤字は、倒産企業が最新期で64.3%と6割を超えた一方、生存企業は26.3%にとどまり、収益悪化が倒産の大きな要因になっている。倒産は、予兆なく突然訪れるケースは少なく、財務データに危険信号が散りばめられている。
財務分析の代表的な5つの視点には、「収益性」「安全性」「効率性」「成長性」「生産性」がある。「収益性」は経常利益率でみると、生存企業の8.8%に対し、倒産企業は▲3.0%で11.8ポイントの差が開いた。物価高のなかで価格転嫁に対応できずに収益改善が遅れ、倒産に追い込まれた企業が多いことがわかる。
「安全性」では、有利子負債構成比率(借入金・社債等÷総資本)は生存企業27.6%に対し、倒産企業は70.2%で2.5倍の差があった。借入返済が進まないことに加え、金利上昇が重しとなって負のスパイラルに陥っているようだ。
2026年1月、中小受託取引適正化法(取適法)が施行されたが、債務超過の企業は物価高や人件費などのコストアップ分を価格転嫁し、いかに資金繰りの効率化を実現できるかを問われている。
※ 本調査は、2025年の倒産企業(負債1,000万円以上)のうち、東京商工リサーチが3期連続で財務データを保有する794社(個人企業を含む)と、生存企業44万7,153社の財務データを比較、分析した。
倒産企業の約6割が業績回復に遅れ
業績をみると、前期に比べ売上高が減少した減収企業は、倒産企業で前期50.3%、最新期58.6%と約6割に達した。
一方、生存企業は前期44.1%、最新期46.0%と4割超で推移した。
売上を伸ばせず、財務内容の悪化が進んだ企業ほど行き詰まる傾向が高いことを示している。

倒産企業は赤字体質
営業利益率では、倒産企業が前々期▲4.4%、前期▲4.3%、最新期▲3.0%と赤字体質から抜け出せず、本業の稼ぐ力が弱いことがわかる。
一方、生存企業は前々期5.7%から前期10.0%と改善し、最新期は6.6%と再び低下した。物価高や人件費高騰などのコスト上昇で、思うように営業利益を確保できなかったとみられる。

倒産企業は3期連続で経常赤字
経常利益率(経常利益÷売上高)は、倒産企業が前々期▲3.5%、前期▲4.2%、最新期▲3.0%と3期連続赤字で推移し、黒字転換に至らなかった。
一方、生存企業は3期連続黒字だったが、前期12.3%から最新期8.8%に3.5ポイント低下した。
営業利益率と比較すると、物価高や人件費高騰などの影響を受けるなかで、営業外損益を加味してもなお、プラスを維持している。

倒産企業の6割超が赤字決算
最終損益での赤字企業率は、倒産企業が前々期57.0%、前期59.1%、最新期64.3%と前々期から最新期にかけて7.3ポイント悪化した。
一方、生存企業は最新期が26.3%で、前期25.6%、前々期25.4%とほぼ横ばいで推移している。
倒産企業と生存企業の差は、前々期31.6ポイントから最新期38.0ポイントまで拡大している。

生存企業は約6割が自己資本比率30%以上
自己資本比率(純資産÷総資産)は、生存企業の約6割(59.8%)が自己資本比率30%以上で、大半の企業が安定した財務内容を維持している。
一方、倒産企業は最新期で自己資本比率30%以上は5.7%と1割に満たなかった。ただ、自己資本比率が高ければ“安心”ではなく、手元流動性が乏しいと急な資金需要に対応できず、短期間で資金がショートする“黒字倒産”もあり得る。

倒産企業は7割超が債務超過
自己資本比率がマイナスとなる債務超過比率は、倒産企業が前々期61.8%、前期66.6%、最新期71.1%と右肩上がりで推移している。累積損失が膨らんだ企業は増加をたどり、7割超に達した。
一方、生存企業は前々期16.3%、前期16.5%、最新期16.7%と、微増にとどまった。倒産企業と比べ財務の安定性が際立つ。

倒産企業の借入依存度は7割の高水準で推移
有利子負債構成比率【(長・短期借入金、社債など)÷総資本】は、借入金への依存度を示す。倒産企業は前々期64.0%、前期68.7%、最新期70.2%と高水準で推移、脆弱な自己資本を借入で補い続けている状態がうかがえる。
一方、生存企業は前々期28.0%、前期27.2%、最新期27.6%と30%以下で推移している。
金利上昇局面では、借入依存度の高い企業は借入返済が進まない負のスパイラルに陥る可能性がある。

倒産企業の人件費比率が減少
売上高人件費比率【(給料手当+役員報酬)÷売上高】を、加重平均で今回の調査と2019年調査を比較した。
生存企業は、2019年調査では前々期3.16%→前期3.08%→最新期3.04%で、今回の調査でも前々期3.29%→前期3.22%→最新期3.33%と3%台で推移した。売上高や従業員数、人件費(給料手当+役員報酬)の増減に関わらず、一定の水準を維持していることがわかる。
一方、倒産企業は、2019年調査では前々期6.48%→前期6.81%→最新期7.22%と6~7%台の推移だったが、今回の調査では前々期4.68%→前期4.39%→最新期4.18%と、2019年調査と比べて2~3ポイント程度の低下した。しかし、生存企業と比べて高い状況には変わりない。
最新期の従業員数別構成比を分析すると、従業員数5人未満の倒産企業が、2019年調査29.7%に対して、2025年調査42.0%と最も大きなポイント差があった。リストラやより良い環境を求めた労働力の流出が、売上高人件費比率の低下をもたらした一因と考えられる。
