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企業倒産は2年連続で年間1万件超えへ=2025年を振り返って(2)

 2025年の全国企業倒産は、1~11月までの累計で9,372件(前年同期比2.2%増)、負債総額は1兆2,940億円(同39.7%減)と、件数は前年同期を上回った。四半期別では、第1四半期(1‐3月)2,457件(同5.9%増)、第2四半期(4‐6月)2,533件(同3.0%減)、第3四半期(7‐9月)2,639件(同6.2%増)、第4四半期(10‐11月)1,743件(同0.4%減)と推移し、増減を繰り返しながら右肩上がりで増勢をたどる。2025年は前年(1万6件)に続き、2年連続で1万件を超えることが確実となった。

倒産件数・負債総額 年間推移

 

 2025年の企業倒産の特徴の1つは、負債1億円未満が7割超を超え、小・零細規模の倒産が目立ったことだ。前年は航空機開発のMSJ資産管理(株)(TSRコード: 402666453)の負債6,413億円など大型倒産が相次いだが、2025年1-11月までの最大の倒産は、洋紙業界4位のメーカーの丸住製紙(株)(TSRコード:810006448、愛媛、負債590億円)で、原材料やエネルギー価格の高騰などが重なり業績悪化から2月に民事再生法を申請した。次いで、2024年10月に破産開始決定を受けた船井電機(株)(大阪)の持株会社のFUNAI GROUP(株)(旧:船井電機・ホールディングス(株)、TSRコード:570182948、大阪、負債262億円)だ。債権者から破産を申し立てられ1月、破産開始決定を受けた。

 前年12件発生した100億円超の大型倒産は6件にとどまっている。
 中堅以下の倒産が件数を押し上げた格好だが、背景には「人手不足」、「物価高」など深刻な問題が潜んでいる。収益が伴わない無理な賃上げ、最低賃金改定などが資金繰り悪化の背中を押した倒産が増えている。さらに、円安が加速し、輸入財の価格が上昇している。このため、「物価高」が内需型企業のコスト構造を直撃し、価格転嫁の遅れは収益悪化に拍車をかけた。運輸業など、業種により価格転嫁は徐々に広がりつつあるが、業績格差に歯止めはかかっていない。加えて、ゼロゼロ融資などのコロナ借換保証の返済開始、金利上昇、米国の関税措置など、複合的なリスクが経営基盤を揺るがした。企業はコスト削減と収益改善という課題に直面し、抜本的な経営戦略の再構築を迫られた一年だった。

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