高市早苗新総裁への期待は、「物価安定」と「内需拡大」 石破政権を「評価」は約3割、「物価対策」で支持急落
~2025年10月 「経済政策に関するアンケート」調査 ~
10月4日、高市早苗議員が第29代自民党総裁に決まった。東京商工リサーチの企業アンケート調査で石破政権の経済政策について、「評価する」と回答した企業は28.0%だった。
2024年10月のアンケート調査では、石破政権に「期待する」と回答した企業は40.9%だったが、期待と評価に12.9ポイントの差が出たことがわかった。石破政権が評価された点は、「経済安全保障の取り組み」の35.3%が最多だった。一方、評価されなかった点は「物価高対策」の80.7%で、長引く物価高への課題が重しになったようだ。
また、高市新総裁に期待する政策は、「物価の安定」が43.1%で最多。次いで、「内需拡大の推進」が38.6%、「人手不足への対応」が27.3%と続いた。
10月1日~8日、東京商工リサーチ(TSR)は企業向けアンケート調査を実施し、石破政権の経済政策の振り返りと新総裁に期待する経済政策を聞いた。
石破政権の評価では、最多は「経済安全保障の取り組み」で35.3%だった。次いで、「上昇した株価」が34.5%、「賃上げの持続」が32.8%で続いた。一方、評価されなかった点は、「物価高対策」が80.7%で圧倒的に多かった。次いで、「少子化対策」の45.6%だった。
長引く物価高への対策遅れで、企業は石破政権に不満を持っていた事が浮き彫りになった。
財政拡張路線と見られる高市新総裁が決まった直後の10月6日、日経平均株価は前週末から2,175円高の4万7,944円に急騰した。また、為替も1ドル=152円台と円安が加速している。
過度な円安は物価高を招き、インフレを助長するリスクもある。物価安定や内需拡大の推進、人手不足への対応など課題が山積しているなか、高市早苗新総裁の手腕が問われている。
※本調査は、2025年10月1~8日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答7,221社を集計・分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
Q1.貴社は、2024年10月1日からの石破政権の経済政策を評価しますか?(択一回答)
「評価する」が約3割
石破政権の経済対策の評価について聞いた。最多は「あまり評価しない」がほぼ半数の47.2%(7,221社中、3,410社)だった。次いで、「ある程度評価する」が27.2%(1,966社)、「全く評価しない」が24.7%(1,784社)、「高く評価する」が0.8%(61社)。
規模別では、「ある程度評価する」が大企業の33.6%(595社中、200社)に対し、中小企業は26.6%(6,626社中、1,766社)で、大企業が7.0ポイント上回った。
一方、「全く評価しない」は大企業15.1%(90社)に対し、中小企業が25.5%(1,694社)で、物価高や人手不足などの経営課題に晒されている中小企業ほど評価が低かった。
Q2.「高く評価する」「ある程度評価する」と回答された方に伺います。どの実績を評価しますか?(複数回答)
「経済安全保障の取り組み」が最多
石破政権の経済対策についてどの実績を評価しているか聞いた。1,891社から回答を得た。
最多は「経済安全保障の取り組み」が35.3%(1,891社中、668社)だった。僅差で「上昇した株価」が34.5%(653社)、「賃上げの持続」が32.8%(622社)が続いた。
規模別では、「賃上げの持続」が大企業の43.3%(189社中、82社)に対し、中小企業は31.7%(1,702社中、540社)で、大企業が11.6ポイント上回った。一方、「物価高対策」は中小企業が16.0%(273社)で、大企業の6.8%(13社)を9.2ポイント上回り、最も差が大きかった。
Q3.「全く評価しない」「あまり評価しない」と回答された方に伺います。どの点を評価しませんか?(複数回答)
「評価しない」は、「物価高対策」が8割
石破政権の経済対策についてどの点を評価していないか聞いた。5,031社から回答を得た。
最多は「物価高対策」が80.7%(5,031社中、4,064社)で突出した。次いで、「少子化対策」が45.6%(2,297社)、「賃上げの取り組み」が37.1%(1,867社)の順。
「最低賃金の引き上げ」は中小企業が31.5%(4,658社中、1,471社)で、大企業の16.8%(373社中、63社)を14.7ポイント上回り、中小企業の賃上げ疲れを示した格好となった。
Q4.貴社は、自民党の新総裁にどのような経済政策を期待しますか?以下から3つまで選択ください。(複数回答)
「物価の安定」が最多
高市早苗新総裁にどのような経済政策を期待しているか聞いた。6,721社から回答を得た。
最多は「物価の安定」が43.1%(6,721社中、2,902社)。次いで、「内需拡大の推進」が38.6%(2,598社)、「人手不足への対応」が27.3%(1,840社)と続く。
一方、「廃業支援への取り組み」1.7%(120社)、「スタートアップ支援の充実」2.4%(168社)は回答率が低く、物価高への対策や内需拡大など、各社が直面している課題に関する政策を求める声が多かった。