• TSRデータインサイト

2025年度上半期の「ゼロゼロ融資」利用後の倒産214件 9月は今年最多の44件、1年4カ月ぶりに増加

2025年度上半期(4-9月)「ゼロゼロ融資」利用後の倒産状況


 コロナ借換保証の返済が本格化するなか、 「ゼロゼロ融資」利用後の倒産が2025年9月は44件(前年同月比2.3%増)と2024年5月以来、16カ月ぶりに前年同月を上回った。
 2025年度上半期(4-9月)は214件(前年同期比31.4%減)で、年度上半期では2年連続で減少した。 
 物価や人件費などのコストアップなどにより、返済原資を確保できない企業は、リスケ対応で返済をしのいできた。だが、リスケも利払いは必要で、新たな資金調達が難しいことも苦境に追い打ちをかけているようだ。
 なお、「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は、2020年7月の第一号から5年間で累計で2,115件に達した。

 資本金別では、1千万円未満が140件(構成比65.4%)と小規模企業が半数を超えた。また、形態別では、破産が206件(同96.2%)と大半を占め、民事再生法は2件(同75.0%減)だった。

 原材料や資材、エネルギー価格の上昇に加え、人材確保のための人件費も上昇が続いている。こうした環境をリスケ(返済猶予)でしのいできた小規模企業は少なくないが、新たな資金調達も必要な時期を迎えている。
 全国信用保証協会によると、代位弁済件数はことし8月まで6カ月連続で前年同月を下回ったが、業績改善で減少したのか、リスケ(返済猶予)対応で減少したのか検証が必要だろう。
 抜本的な経営改善への取り組みの遅れは、「ゼロゼロ融資」の返済原資の確保が難しい企業を増やしかねない。

※本調査は、2025年度上半期(4-9月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」を受けていたことが判明した倒産(法的・私的)を集計、分析した。

ゼロゼロ融資利用後倒産 月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ